人間の理解

【ICIDH】人間の尊厳と利用者主体のポイント3つ

2020-07-01

こんにちは、介護ラボ★kanalogのカナです♬ 今回は、人間の尊厳と利用者主体について書いていきます。

障害者福祉法とICIDH

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人間の尊厳と利用者主体

①人間を理解するということ

人間の理解は、まず生活の営みの姿を知ることから始まります。人は、誰しも日々の生活を平穏で幸せに過ごしたいと思っています。

しかしその生活は、現実の中にだけに留まっているのではありません。「よりよく生きる」という明日の希望を含んでいるといえます。

  • いつの時代でも、生きていくうえで人は老い、病や障害を負うことがあります。

それらのさまざまな困難な状況を乗り越える過程で、介護福祉職の支援を受けることがあります。そして、その介護は「人間関係」を基盤に行われます。

人間関係の構築は、現在の生活状況を理解することはもとより、人間としての尊厳を保持すること、社会の人々との人間的なコミュニケーションのもとに自立した豊かな生活を営みたいという人間の真の姿を理解することから始まります。

②人間の尊厳という理念

「人間の尊厳」とは、人間が個人として尊重されること。そして、社会の中で”個人の幸せにとって大切な考え方”、つまり理念として共有されます。

理念とは・・・人々の生活の営みにおいて目指すべきもの。「すべての人が共通のものとして理解し尊重する」という意味で、理念は普遍的なものですが、抽象的でもあります。

◉障害者基本法

例えば『障害者基本法』を見ると・・・

◉障害者基本法
(目的)
第1条 この法律は、全ての国民が、障害の有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものであるとの理念にのっとり、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現するため、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策に関し、基本原則を定め、及び国、地方公共団体等の責務を明らかにするとともに、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策の基本となる事項を定めること等により、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策を総合的かつ計画的に推進することを目的とする。

この法律では、

「全ての国民が、障害の有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものである」という理念を掲げています。

理念自体は個人の生活を具体的・個人的に具現化してはいません。

しかし、理念は「個人の幸せにとっての大切な考え方」つまり、「人間の幸せな生活への願い」になるので、個々の生活を密接な関係になければなりません。

現実の生活のいろどりの中にこそ理念が含まれていなければならないのです。

言い換えれば、毎日の生活の中でこそ、より良い生活という理念を目指す意味があります。

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③人間の尊厳と利用者主体

人間の尊厳とは、「個人の生き方の尊重であり、その人自身の個性を大切にしていくこと」だとすると、その生活設計を利用者と共に立てていくときに、しっかりと踏まえておかねばならないこと、それが『利用者主体』という考え方です。

人は1人ひとりみんな違う、かけがえのない存在であり唯一無二の人生を生きています。たとえその人がどんな状況にあったとしても、その人の人生はその人のものであり、主役はその人自身です。

このことが世界に向けてはっきり示されたのが、2006年に国連で採択された障害者の権利に関する条約でした。

この条約は、21世紀に入って最初に作られた人権条約であり、国際人権法に基づいて、障害者の法の下の平等をうたいました。

そしてWHO(世界保健機関)のICIDH:国際障害分類(1980年)での社会的不利を根拠に障害は個人ではなく社会にあり、それゆえの合理的配慮の必要性が示されました

ICIDH:国際障害分類の概念図

疾患または変調 ➡ 機能障害 ➡ 能力障害 ➡ 社会的不利

例)疾病 ➡ 運動麻痺、失語 ➡ ADLの低下 ➡職場復帰困難、経済的不利益

ICIDHでは、このように、障害を「その人自身の障害」ととらえる2つのレベル(機能障害・能力障害)に加えて、「その障害のある人が社会の中でどのように生きたいのかによってぶつかる壁」(社会的不利)という3つ目の障害のとらえ方が示されました。

障害は、その人自身にではなく、その人が生きにくい世の中、「社会」の側にあるとするこの考え方が、社会福祉・介護福祉分野が担当する「障害」のとらえ方ではないのでしょうか。

そしてその人たちが、

  • 暮らしやすいように生活場面での環境を整え、
  • 必要な支援を行い、
  • その人がその人らしく生きるための社会の側の条件を改善していくこと

が大切です。

最後に利用者主体の実現を考えます。

「障害者の権利に関する条約」の策定には、初めて当事者である障害者団体が加わったことも画期的でした。

またこの団体の活動スローガンは、

  • 「私たち抜きに私たちのことを決めないで」

とし、大きなインパクトを与えました。

私たちはこのスローガンを胸に刻み、利用者と共にあろうとする努力が必要だと思います。


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kana

はじめまして(^-^)/ 介護ラボのカナです。
ブロガー歴3年超(818記事執筆)
介護のあれこれを2020年6月~2022年9/8まで毎日投稿(現在リライト作業中)

社会人経験10➡介護の専門学校➡2021年3月卒業➡2021年4月~回復期のリハビリテーション病院で介護福祉士➡2023年1月~リモートワークに。

好きな言葉は『日日是好日』
「福祉住環境コーディネーター2級」・「介護福祉士」取得
◉福祉住環境コーディネーター1級勉強中!
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