【権利侵害の背景と権利擁護の視点】6つのポイント vol.26

こんにちは

介護ラボ・kanalogのカナです。

前回のvol.25で「利用者の権利侵害が起こる2つの状況」を書きましたが、今日はその続き、

権利侵害の背景と権利擁護の視点6つのポイントについて

Contents

1⃣権利侵害の背景
 ①他者への依存を否定する傾向
 ②利用者と介護者の関係性
(1)利用者の心情
(2)介護者の存在
2⃣権利擁護の視点
 ③利用者主体を徹底的につらぬく
 ④家族・関係者の権利擁護も視野に入れる
 ⑤エンパワメントの視点を持つ
 ⑥多職種連携による支援で権利擁護を高める

1⃣権利侵害の背景

他者への依存を否定する傾向

私たちの生活は、他者との関係や他者への依存なしに成立するものではありません。そもそも私たちは、生まれたときは絶対的に他者へ依存する存在です。

現代社会における生活は、自分1人ではなく、多くの人々の存在や社会による分業によって成り立っているという事実があります。しかし同時に、私たちは、他者に依存せずに独立して存在したいという願望も持ち合わせており、それが、「他者に依存せずに生きることが、人間として望ましい姿である」という意識に通じていくことにもなります。

そのため、日常生活における動作や行為について、

「自分ですることが望ましい」

「自分でできることが他者に助けを借りるより望ましい」

という価値観が生じてきます。

この価値観は、他者による介入や他者への依存、さらには他者から支援を受けることを『望ましくない事』ととらえることに繋がっていきます。

こういったことから、利用者が支援を受ける自分を「役に立たない存在」「他者に迷惑をかける存在」と否定的にとらえる傾向が生み出されていきます。その傾向は自らの希望や願いを我慢する事、隠すことに繋がります。

そして、利用者が自らの権利を主張しなくなることが、権利侵害が起きやすい状況をしょうじさせていると考えることができます。

利用者と介護者の関係性

介護を通じて生じる権利侵害は、利用者と介護者の両方の思いと関係性が背景にあって生じるということを理解することが重要です。

(1)利用者の心情

利用者自身もつ様々な心情が権利侵害を生じさせることもあります。利用者の多くは、他者からの支援を受ける必要がある自分の状況を理解しながらも、心の中ではそのことを受け入れずにいます。

そのような場合、自分を「他者に依存しなければならない弱く貧しい存在」ととらえて、わざと自分を低い立場に置くことで、自分のふがいなさや他者に対する負い目・遠慮を感じつつ、葛藤に折り合いをつけていこうとすることがあります。

そうすると支援関係の中で、利用者自身の希望が叶わなかったり、不快な思いを感じたりしても、それは仕方のないこと、自分の責任ととらえて我慢したり、諦めたりすることも生じてきます。

(2)介護者の存在

介護にかかわる権利侵害は、介護福祉職や家族などの介護者に起因するものであることが多くあります。つまり、利用者の生活上の権利について十分に認識せず、鋭敏な感覚を持たず、配慮を怠ることによって権利侵害が生じることが多いと言えます。また同時に、介護者の支援に対する知識や技術の未熟さによって起こる場合もあります。

中には悪意や敵意を持って意図的に相手を傷つけ、権利を侵害することもありますが、決してそればかりではないことに留意が必要です。

高齢者や障害者に対する虐待防止法においては、家族などの養護者と共に、介護福祉職などの要介護従事者や就職先の使用者なども虐待加害者の範囲に含めてその防止と支援策を定めています。

日常的な援助関係のなかでは、利用者の権利を侵害してい居たとしても、介護者としてそれに気付くことができず、それが当たり前の状態になってしまう危険性があります。また高齢者などにみられる遠慮や慎み深い性格が、権利侵害を見えなくしてしまうことに留意しておくことが必要です。

利用者と介護者の関係は、決して一定の固定化されたものではなく、シーソーのように、絶えず上下動を繰り返すものであると言えます。介護福祉職としてこのバランス関係を視野に入れながら、利用者との対等な関係を築いていくことが求められます。

2⃣権利擁護の視点

次は専門職として、利用者に対してどのような権利擁護の視点を持つべきか考えていきます。

利用者主体を徹底的につらぬく

最も重要な権利擁護の視点とは?
徹底的に利用者主体・利用者中心の支援の姿勢をつらぬくことです。

つまり、利用者を1人の人間として、生活者として、権利の主体としてとらえること、その人らしい生活の実現に向けて、その人の権利と意思を最大限に尊重し、その権利を行使できるようはたらきかけていくことが権利擁護に繋がるのです。

権利侵害から利用者を守るために適切に対応する事、「権利の代弁、擁護」という意味で使われる「アドボカシー(advocacy)」を実践していかなければならないのです。

また同時に、自らが利用者の権利を侵害しないために細心の注意を払い、そのための努力を積み重ねていかなければなりません。絶えず、自らの支援と考え方、具体的行為を振り返り自らを律することが求められます。

家族・関係者の権利擁護も視野に入れる

介護福祉職は、利用者の権利擁護と共に、利用者の家族など、周囲の人々の権利擁護を担うことも必要とされています。利用者の生活をどのように支えていくのかをめぐって、利用者本にとその家族の意向や見解が食い違うこともあります。

本人の自己実現と権利擁護を中心に据えながらも、家族を含めた幸福の実現に寄与することが求められています。

エンパワメントの視点を持つ

利用者自身やその家族が、権利を侵害されていることに気が付いてなかったり、認識していなかったりすることもあります。さらには虐待などの権利侵害が常態化してしまうことや、利用者や家族が諦めてしまい自らを抑制してしまうことで、権利侵害が顕在化していないこともあります。

このようなことから、介護福祉職は、権利侵害を現に受けている利用者、受けやすい状況にある利用者や家族を権利侵害から守るだけでなく、その抑圧された意識を開放し、利用者や家族自らが権利侵害を認識できるようにすること、いわばエンパワメントの視点を持って支援していくことが重要になります。

エンパワメント

エンパワメントとは?
権利侵害や抑圧された状況にある利用者が自らその状況を克服していく力(パワー)を獲得していくこと。またそのための支援。

多職種連携による支援で権利擁護を進める

利用者の権利侵害の状況の解決や権利擁護へ向けた支援は、1人だけで、もしくは介護福祉職だけで実現できることばかりではありません。

介護福祉の領域における権利擁護の実践は、同職種は勿論、介護支援専門員(ケアマネージャー)や社会福祉士、法律の専門家などの他職種と連携して行うことが求められています。

連携にあたって介護福祉職は、利用者の一番身近にいる生活支援の専門職として、利用者の生活上とニーズを的確に把握し、利用者の代弁をすることが求められています。また、介護という具体的な実践を通じて、利用者の自立てな生活を実現すべく役割を果たしていくことが求められています。

以上の①~⑥のように、介護福祉職は、利用者の生活支援を通じて、利用者やその家族・関係者の権利擁護の担い手としての意識と実践力を高めていくことが求められています。


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