【①社会福祉施策の整備と地域福祉】日本国憲法・第25条と措置制度　vol.686

こんにちは💚　介護ラボのkanaです。今日は「福祉住環境」の中から『社会福祉施策の整備と地域福祉』について、今日と明日の２回に分けて書いていきます！

コミュニティケアの理念

１．社会福祉施策の整備と地域福祉
　1⃣社会福祉制度の基盤整備
　（１）日本国憲法・第25条
　（２）措置制度
　2⃣社会福祉施策におけるコミュニティの注目
　（１）コミュニティケアの理念

１．社会福祉施策の整備と地域福祉

1⃣社会福祉制度の基盤整備

第２次世界大戦前、独立して生活を営むことが困難な人に対する社会的支援策は存在していましたが、その適用条件は極めて厳しく、責任の殆どは家族や親族が負っていました。

（１）日本国憲法・第25条

第２次世界大戦を経て制定された「日本国憲法」第25条（生存権）では、国民の最低限度の生活保障に対する国の責務が明記され、以降、様々な社会福祉制度が整備されました。

その制度体系の大枠を示した、1950年（昭和25年）の社会保障制度審議会「社会保障制度に関する勧告」は、社会福祉の目的を説明した後に、「国、都道府県及び市町村は、この目的を達成するために、必要な施設を設け、その分布の合理化と整備拡充を図る必要がある」として、社会福祉の目的達成には、施設の整備拡充が必要という考え方を提示しました。

この勧告を受け、以降、順次制定された福祉６法では、いずれも入所施設を中心に福祉サービスの整備が進められました。

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（２）措置制度

入所施設は、多数の高齢者や障害者を「収容」するために大規模化し、土地を確保するため、あるいは周囲との「摩擦」を避けるために、多くが住宅地から離れた場所に整備されました。

施設サービスの利用は『措置制度』によって進められ、福祉施設は必ずしも地域社会と接点を持ったり支援を受けなくても経営自体は成り立ちました。

そして、そのことは、施設で暮らす障害者や高齢者の生活もまた、地域と疎遠になったり、特別な存在と認識されるようになっていく要因にもなりました。

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2⃣社会福祉施策におけるコミュニティの注目

1970年（昭和45年）前後から、福祉施策に関して地域社会やコミュニティを視野に入れた検討が始まった背景には、前項の通り、コミュニティに対する社会全体の関心の高まりとともに、当時、イギリスで取り組まれていた「コミュニティケアの理念」が、わが国に紹介されたという点も挙げられます。

（１）コミュニティケアの理念

コミュニティケアは、イギリスの精神障害者医療分野で構想されたもので、精神障害者の社会復帰を促し、地域での自立生活を実現するために、病院内ではなく、地域に居住の場や各種の支援サービスを整備し、病院との連携システムの下で支援を行うというものでした。

この構想は、イギリスでは他の障害者施策や高齢者分野にも広がり、もっぱら収容者のことだけを考えていた入所施設の在り方に変革を迫ることとなりました。

これらの影響を受けながら、1971年（昭和46年）12月、厚生省（現・厚生労働省）中央社会福祉審議会は、「コミュニティ形成と社会福祉」の答申をまとめ、社会福祉協議会を中心とする地域組織化活動によるコミュニティ形成への期待や、地域福祉センターや地区福祉館など、住民のサービス拠点や活動拠点となる施設の整備を提案しました。

また、コミュニティケアを重視し、「社会福祉の対象を収容施設において保護するだけでなく、地域社会すなわち居宅において保護を行い、その対象者の能力のより一層の維持発展を図ろうとするものである。」と定義したうえで、整備の必要性を提議しました。