こんにちは(^▽^)/ 介護ラボのkanaです。今日は「生活支援技術」の中から『自立に向けた食事介護』について、様々な側面から7回に分けて書いていきます。今日は1回目になります!
自立した食事とは(経管栄養や誤嚥性肺炎)
Contents
1.自立した食事とは(経管栄養や誤嚥性肺炎)
2.自立した食事の一連の流れ
1⃣摂食・嚥下の5つの流れ
3.自立に向けた食事介護をするために介護福祉職がすべきこと
1.自立した食事とは(経管栄養や誤嚥性肺炎)
食という字は「人に良い」と書き、この字の意味通り、食は人の生活において重要な役割を担っています。
食事とは一般に「口から食べる」ことをいい、栄養素を体内に取り入れることで、健康の維持・増進を図り、生きるエネルギーを生み出します。
食事は、生命を維持し、健康的に生活するために必要不可欠な行為といえます。
「口から食べる」ということは、ただ単に栄養摂取することに留まらず、生活の中での「楽しみ」となります。好きな物や美味しいものを食べている時、人は幸福感に浸ることが出来ます。
さらに、家族や友人など気の合った人と一緒に食べるひと時は、楽しさがより増して充実した時間を過ごすことが出来ます。
このように、食事は人と人を結び付けるコミュニケーションの場となり、人間関係を築いていくうえでも大切な役割を果たしています。
食事には、
- 「栄養」
- 「美味しさ」
- 「楽しさ」
という要素が求められますが、栄養摂取のみで捉えるならば、『胃ろう』等の経管栄養という方法もあります。しかしながら、エネルギーや栄養素は摂れても、美味しさや楽しさを実感することは出来ません。
また、口から食べ、味わうことは大脳の活性化に繋がります。
- 食べ物を見る(視覚)
- 匂いをかぐ(嗅覚)
- 音を聞く(聴覚)
- 味を感じる(味覚)
- 口唇で触れ舌や頬で触れる(触覚)
という行為から知覚や感覚が刺激されます。
さらに食べるための姿勢を保持し、手を使い口に運ぶ「咀嚼して嚥下する」といった行為は、身体の様々な筋肉や骨を活用することになります。
そして何よりも「口から食べる」ことは、人が生まれてから自然に親しんできた行為であり、生活の根幹となっています。人生最期まで残る楽しみや喜びは「食べること」ともいわれます。
その意味において、食事の支援では「口から食べる」ということにこだわりを持つことが大切です。一方で、食事の介護はあらゆる介護の技術において、最も危険が伴うといっても過言ではありません。
なぜなら、利用者の口まで食べ物を運ぶまでは介護者の手を介していますが、そこから先、咀嚼して嚥下するまでは介護者の手を離れ利用者自身の力に委ねられることになるからです。
そのため、誤嚥や窒息といった危険と隣り合わせであることを十分認識しておく必要があります。
なかには、誤嚥性肺炎や重度の嚥下障害によって、「口から食べる」ことが難しい利用者もいます。その場合は経管栄養という方法を取ることがあります。
経管栄養を実施するか否かについては、医療職や利用者本人とその家族との相談が不可欠となりますが、本人の意思を大切にしていくことは自立支援の大切な考え方です。
そして、経管栄養となってからも「口から食べる」ことを諦めずに、様々な角度から可能性を探っていくことが大切です。
- 誤嚥性肺炎とは?
-
嚥下機能の低下により、食べ物や唾液など食道に入るべきものが気管に入ってしまうことで生じる肺炎のこと。
食事において、
- 「いつ」
- 「どこで」
- 「誰と」
- 「何を」
食べるのか、を決めるのは利用者自身であることが求めらえます。
食事は嗜好性によって個人差が大きく、その人の人生において培ってきた食生活週間、食事に対する価値観、こだわりがあります。
在宅や施設において、全てが利用者の希望通りになることは難しいかもしれません。必要なエネルギー、栄養素を確保するための食事をしなければならないケースや、病気等の健康上の理由により食事制限が求められるケースもあるでしょう。
ただし、そのような場合においても生活の主体は利用者にあることを踏まえ、利用者自身が納得して選択できるよう対応していくことが自立支援に繋がります。
そして、利用者が自分で食べることを尊重していくことが大切です。自分で食べることが出来れば、食べたいものを選び、自分のペースで自由に食べることが可能となります。
多少の食べこぼしがあったり、時間が掛かったとしても、可能な限りその人自身の力で食べられるよう支援していくことが求められます。
また、自分で食べることが出来ず介助が必要な場合には、その人の立場に立って、その人が出来ることを見極めたうえで必要な支援を行っていく姿勢が求められます。
2.自立した食事の一連の流れ
生活の中で食事は、何気なく自然に行っている行為でありますが、そこには様々な意思決定があり、行動していることがわかります。一般的なプロセスを簡単にたどってみると、次項のような流れになります。
食事の一連の動作
❶食事と取ろうと思う
・まず、お腹がすくことにより、食事とを摂ることに意識が向きます。空腹を感じるのは脳であり、そのメカニズムは次の通りです。
・食べ物を摂取すると、食べ物からブドウ糖が血液に取り込まれ血糖値が上昇します。摂取した食べ物が活動により分解され消費されると、血液に取り込めるブドウ糖がなくなります。そうなると血糖値が下降し脳がエネルギーを必要としていると認識することで空腹を感じるようになります。おおよそ、食後3~4時間後に血糖値は下がり、空腹を感じる状態となります。
・その他、食事を摂ろうと思うきっかけには、家族や自身の生活習慣により、食事を摂ると定めた時間になること、友人等に食事に誘われるなど、様々な理由が考えられます。
❷食卓まで移動する
・歩く、車いすを利用するなど、その人の身体機能等に合った手段を用いて食事が準備される食卓まで移動します。
❸配膳する
・食べ物が食卓に準備されます(します)。
❹姿勢を整える(座位)
・椅子に座り、自然に食事を摂る姿勢を作ります。
❺摂食・嚥下
・食べ物を選択し、箸やスプーン等を使い食べ物を口まで運びます。噛んで(咀嚼)飲み込み(嚥下)ます。
❻食べ終わる
❼次の活動場所へ移動する
1⃣摂食・嚥下の5つの流れ
咀嚼・嚥下の流れとして、❶~❺までの段階に分けられます(上記とは若干表記が異なりますが流れは同じです)。下記で詳しくまとめていきます。
❶先行期 (認知期)
・食べ物の形や色、においなどを認知します。
❷準備期(咀嚼期)
・食べ物を摂りこみ、唾液と共に咀嚼し飲み込みやすい食塊を形成します。
❸口腔期
・形成した食塊を主に舌を使って口腔から咽頭へと移送します。
❹咽頭期
・嚥下反射(ゴクンと飲み込む運動)により、食塊を食道へ移送します。
❺食道期
・蠕動運動により、食塊を食道から胃へ移送します。
この❶~❺の流れのうち、どこかに障害がみられると安全に食べ物を摂取することが難しくなり、これを「摂食・嚥下障害」といいます。
この一連の流れのどこに手助けが必要かを分析し、利用者のこれまでの生活習慣や社会参加状況を踏まえて適切な支援方法を身に付ける必要があります。
他の『嚥下機能』記事はこちらから・・・
【摂食嚥下の5分類】食事に関連したからだのしくみ vol.90
3.自立に向けた食事介護をするために介護福祉職がすべきこと
介護を必要とする利用者は、何らかの疾患・障害があることが多く、食事の一連の流れのどこかで何らかの手助けが必要になります。
例えば、活動量の不足や体調不良、便秘など原因は様々ありますが、空腹を感じていなかったり、認知機能の低下により自ら食事を摂ろうとしなくなっている場合があります。
食卓に着いて、食事を摂る際には正しい座位姿勢を確保する必要がありますが、座位バランス能力の低下や、身体が椅子に合っていない等の理由により姿勢が崩れていることもあります。
そして、いざ食べるという場面になっても、認知機能の低下によって食事を認識することが出来なかったり、食べ方が分からなくなっていることもあります。
また、運動機能障害によって、
- 食器を持つことや支えることが出来ない、
- 箸やスプーンなどを上手に使うことが出来ない、
- 上肢を使って食べ物を口まで運ぶことが出来ない、
ということもあります。
介護福祉職は、自立に向けた食事を介護するために、食事の際の一連の流れを理解したうえで、利用者の出来るところ、出来ないところ、不自由な部分等を観察して見極め、何をどのように補い手助けすれば自立した食事が可能となるかを検討して支援にあたる姿勢が求められます。
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