こんにちは。介護ラボのkanaです。『介護実践におけるチームマネジメント』について7回に分けてまとめていきます。今回は5回目になります。
介護福祉職のリーダーとして必要とされる3つの能力
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介護福祉士に期待される役割
介護サービスの質を高めるために、効果的、効率的な介護を提供し、介護福祉士には「介護福祉職チームのリーダー」としての役割が期待されています。
社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会(厚生労働省)では、2016年(平成28)10月より、介護人材の機能やキャリアパス等について議論を重ねてきました。
同委員会は報告書の中で、介護福祉職のグループにおけるリーダーの能力を「介護福祉職のリーダーとして必要とされる3つの能力」にまとめています。(次項に詳しくまとめてます!)
介護福祉士養成カリキュラムを充実させるべき点として、リーダーシップやフォロワーシップをあげ、それらを介護福祉士や介護福祉職のグループのなかで専門職としての役割を発揮するために求められる能力としています。
1⃣介護福祉職のリーダーとして必要とされる3つの能力
下記の3つのリーダーとしての役割は、チームマネジメントの取り組みとしている
①ケアの展開
②人材育成・自己研鑽
③組織の目標達成
に対する内容で、リーダーとして必要とされる能力は「チームマネジメント」の大切な柱でもあります(社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会「介護人材に求められる機能の明確化とキャリアパスの実現に向けて」2017年参照)。
- 介護福祉職のリーダーとして必要とされる3つの能力
- ❶【高度な知識・技術を有する介護の実践者としての役割】
・認知症の症状に応じた対応
・医療やリハビリテーションの必要性が高い人への対応
・終末期の人に対する看取りを含めた対応
・障害の特性に応じた対応
・複合的な支援ニーズを抱える家族等への対応
❷【介護技術の指導者としての役割】
・グループ内の介護福祉職に対する能力開発(介護技術の指導や助言)と、能力を引き出す支援(適切な業務・役割の配分やスーパーバイズ)
❸【介護福祉職のグループにおけるサービスをマネジメントする役割】
・介護過程の展開における介護実践の管理、グループ内の介護福祉職のフォロー
・様々な職種や機関からの利用者に関する情報収集と共有、介護福祉職のグループからの情報提供
上記❸【介護福祉職のグループにおけるサービスをマネジメントする役割】がチームマネジメントを指す部分です。
この役割を果たしていくために求められる能力として、
- ❶介護計画等に沿った介護が提供されているのかの管理やチーム内の介護福祉職に対するフォローなどのマネジメント力
- ❷多職種と情報共有できる多職種連携力
- ❸チーム内のサービスの質の改善力
が指摘されています。
これからの介護福祉書士は、介護福祉職チームのリーダーとしてのマネジメント力が求められているのです。
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介護実践におけるチームマネジメントの取り組み
介護実践におけるチームマネジメントとは、介護の質を高め、より良いケアを行うために、チームメンバー全員で行うチームとサービスのための取り組みです。
これから介護実践における「チームマネジメント」を、次の3点に整理してまとめていきます。
- ①ケアの展開
- ②人材育成・自己研鑽
- ③組織の目標達成
上記の図から分かるように、矢印の先に❶~❸が位置付けられています。この3つは、チームマネジメントの具体的な取り組みである道順であり、チームマネジメントの狙いである目標ともいえるものです。
これら以外にも、介護の質を高めるチームマネジメントには様々な取り組みがありますが、この3つは、介護の質を高めるために欠くことの出来ない中心的な取り組みです。
1⃣ケアの展開とチーム
介護福祉士は、介護を必要とする人の生活を支えるために、その人の状態の変化を把握しながら、方針に沿って目標に向けてチームでケアを展開していくことになります。
介護保険上で考えると、ケアマネージャー(介護支援専門員)によって、利用者の生活全体を支えるケアプラン、「居宅サービス計画」又は「施設サービス計画」が立てられ、利用者にどのようなサービスを提供するのかが計画されています。
また在宅であれば、「どの事業所が利用者にサービスを提供するのか」、施設であれば「どの職種が利用者にサービスを提供するのか」ということがコーディネートされています。
ケアプラン作成の過程で、サービス担当者会議等を通じ、利用者がどのような生活を送りたいと望んでいるのかを多事業所・多職種のチームで確認し、どのような目標に向かって、どのようなケアを行っていくのかという方針を共有します。
そのうえで、介護福祉士はより具体的・専門的な介護計画(個別サービス計画)を立案し、目標の達成に向けて同職種チームで介護過程を展開します。
介護福祉士は、交代勤務をするなど、同職種とチームを組むと共に、異なる視点で利用者にかかわっている他職種と協働して利用者の生活を支え、法人や施設、事業所といった所属組織の中でも様々なチームメンバーとなり、良いケアのための仕組み作りにもかかわりながら、常に「チーム」でケアを展開していきます。
そして、その1つひとつのチームでのケアの展開が、利用者の望む自立した生活を実現させていきます。
チームで協働する意味を踏まえて、丁寧な実践を積み重ねることでチームの力は高まります。これに伴い人材育成や自己研鑽、組織の運営管理の必要性を感じることも多くなるでしょう。
例えば・・・
利用者〇さんへのケアを提供する中で、アセスメントのプロセスにおいて〇さんの障害に対する理解不足に気付いたとします。このことは再アセスメントの実施に繋がると同時に、チームとしてアセスメントの力を高めるために、〇さんの疾病・障害の勉強会を開催することや個人学習を重ねるといった取り組みに繋がります。
さらに、組織の運営管理の視点からみると、〇さんの疾病・障害だけでなく、他の疾病や障害を含めた研修計画や介護マニュアルの充実に向けた取り組みに繋がることもあるでしょう。
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2⃣チームマネジメントの出発点となる取り組み
ケアの展開は、「人材育成・自己研鑽」「組織の目標達成の取り組み」に繋がっていくものであり、介護福祉士がチームマネジメントを学びに実践するための最も大切な出発点といえます。
ケアの展開・実践場面での気付きが、新しい取り組みを順に導く例をまとめましたが、ケアの展開過程において個別サービス計画や、サービスの利用計画(ケアプラン)をチームで検討するケアカンファレンスは、そのものがチームマネジメントの視点から見て非常に重要な取り組みです。
「介護福祉職」や「多職種」が集まり、利用者の意向を踏まえながら、それぞれの立場からの意見交換や情報共有を行い、ケアの方針や内容を決定していくプロセスは、人材育成の場としても大きな意味を持ちます。
ケアカンファレンスの本来の意味に加えて、専門職を育てる大きな力があるのです。
- ケアカンファレンスとは?
-
ケアに関する会議のこと。介護の現場ではより良いサービス提供のために、利用者を含む関係者が情報の共有や共通理解を図るため、課題を検討・解決するために開かれる会議をケアカンファレンスといいます。なおカンファレンスとは「会議や協議」「検討会」のこと。
また、組織の運営管理の視点からみると、法令を遵守しているか、適切なケアが行われているかを複数の立場・職種でチェックする管理機能が働き、充足できていないニーズに着目すること不足している社会資源である人や設備、サービス等を把握し、整備、開発していく機能もはたらきます。
介護業務と通して目にする日常的なチームの取り組みがどのような意味を持つものなのかを考察することも、チームマネジメントを実践するうえで大切な視点です。
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