障害の理解

【❸障害者家族の支援】より良い支援方法の提案とは? vol.279

2021-03-19

こんにちは★介護ラボのkanaです。「障害の理解」の中から『障害者家族の支援』について、前々回「【❶障害者家族の支援】障害を持って生まれた子どもの家族の場合 vol.277」、前回「【❷障害者家族の支援】スティグマと障害受容についての4つの提言 vol.278」、今回の3回に分けて書いていきます。

家族支援とは何か

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家族の人生計画の変更

これから結婚して家族をつくろうという年代の人であれば、結婚したら暫くは2人で働き、その後子どもが生まれたら、育児休業後は子どもを保育所に通わせて2人で働いて、子どもには習い事をさせて、休みには家族で旅行に行って・・・など、将来のことについて色々考えたりするかもしれません。

もし、生まれた子どもに障害があった場合や、配偶者が病気が事故で障害を持った場合はどうでしょうか・・・

1⃣子どもに障害があった場合

現在、障害のある子どもを受け入れる保育所は増えてはきましたが、重度の障害がある場合、受け入れ先の保育所を探すことが難しい可能性があります。保育所が見つかったとしても、定期的な医療機関への通院やリハビリが必要な場合、仕事を休む必要が出てきます。

また、障害児の療育を行う「児童童発達支援センター」や、「児童発達支援事業」を利用する場合、保育所のように出勤時間の前から勤務時間が終わるまでといった長い時間の利用は出来ないので、自宅からの送り迎えを考えると、常勤職員として働き続けることが難しくなる場合もあります。

生まれる前に考えていた人生計画を、考え直す必要があるかもしれません。

2⃣配偶者が病気や事故で障害を持つことになった場合

配偶者が障害によって働くことが難しくなった場合、2人で働いて収入を得るという計画を、1人で働いて家計を支えるように見直しが必要になります。子どもがいる場合の子育てや、障害のある配偶者への介護や家事などを1人で行うことになるかもしれません。

このように、障害のある人の家族は、思い描いていた人生の計画を見直しながら生活しています。

  • 家族を支援しようとするとき、支援者には家族が口に出さない家族の持つ背景への想像力が求められます。

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家族支援とは何か

ここで、障害のある人の家族支援をするための福祉サービスのイメージとして、【事例1】と【事例2】を示し、1⃣~5⃣で考えていきます。

【事例1】

【事例1】障害のある子どものいる家族の結婚式
◉Aさんは妻と2人の子どもの4人家族で、1人の子どもには障害があります。ある日、Aさんの兄弟が結婚することになり、家族で結婚式に出席することになりました。しかし、障害の重い子どもを連れて、正装して結婚式に出ることは困難です。相談支援専門員から「ショートステイにお子さんを預けて結婚式に出てはどうですか?」と勧められました。

Aさんは、親としてどのような事を感じているでしょうか、また障害のある子どもはどのように感じるでしょうか。兄弟の結婚式であれば、一般的には家族・親族が揃って参加するものでしょう。しかし、障害のある子どもを連れて参加することが難しいため、その子をショートステイに預けて、他の家族だけで参加せざる得ないと考えています。

結婚式は、相手の親族と知り合う機会でもありますし、親族揃って記念写真も撮ります。その機会を障害のある子どもは失ってしまうことになります。本当は、障害のある子どもも含めて全員で参加したい、と考え人もいるのではないでしょうか。

【事例2】

【事例2】障害の子どものいる家族のスキー旅行
◉Bさんの3人いる子どものうちの1人には障害があります。ある時、日帰りのスキー旅行を計画しました。障害のある子どもが一緒だと、親のうちどちらかが障害のある子の面倒を見なくてはなりません。そこでショートステイに障害のある子どもを預けてスキー旅行に行くことを考えました。

Bさんは親としてどのような事を感じるでしょうか。また障害のある子どもはどのように感じるでしょうか。

家族でスキー旅行に行くときに、障害のある子どもだけをショートステイに預けて連れて行かないという選択は、親としてはどこかで子どもに対して申し訳なく寂しい気持ちが残ることもあるのではないでしょうか。

1⃣より良い支援方法の提案

障害のある子どもの視点から考えると、家族・親族で参加する結婚式に、自分だけ出席できないとしたら、仲間外れにされたような気持になるかもしれません。家族のスキー旅行に連れて行ってもらえないとしたら、悲しく寂しい気持ちにならないでしょうか?

家族支援を、家族の介護負担の軽減という視点だけで考えてしまうと、家族、障害のある本人の両方の気持ちの理解が抜け落ちてしまう恐れがあります。

この2つの事例の場合、他にどのような支援の方法が考えられるでしょうか。

例えば、【事例1】のように結婚式に家族だけでは対応が難しい場合、障害のある子どもに支援者が1人ついて、家族と一緒に参加する方法が考えられます。家族にとっても障害のある子どもの対応を支援者に任せることが出来るので、一緒に無理なく参加することが出来ます。

【事例2】のスキー旅行の場合も、支援者が同行する方法が考えられます。スキー場での障害のある子どもの反り遊びの対応は支援者が行い、お昼を一緒に食べたり、雪遊びをしながら楽しい家族旅行の思い出を作ることが出来ます。

2⃣家族の負担軽減と家族の気持ち

次に、家族の介護負担を軽減する場合について考えます。

家族で生活する障害者の介護の担い手は、家族に負うところが大きいです。日々の障害者の家庭での生活を直接支援している家族にとって、介護を続けるために、その役割から一時的に解放されて、息抜きをする「レスパイトケア」は必要な事です

レスパイトケアとは?

サービスの利用者が必要とする一時的な介護サービスを利用者中心に提供するサービスのことで、具体的には「ショートステイ」や「放課後デイサービス」などがある。

ショートステイを利用して、何日間か障害のある家族を預け、日頃の介護疲れを回復しようとした場合、家族は「この人も、本当は家で過ごしたいと思っているのは分かっているけれど、私も時々休みが無いと続かないから、申し訳ないけれどショートステイに泊まってきてもらおう」と思うかもしれません。

3⃣家族の負担軽減と本人の思い

今度は、障害のある本人の側から考えてみます。

介護している家族から、「介護負担の軽減のためにショートステイに行ってきて欲しい」と言われた場合、障害のある人は「私の存在が、家族にとって負担になっているのだな。本当は家で過ごしたいけれど、我慢してショートステイに行ってこよう」という気持ちになるかもしれません。

4⃣ショートステイでの支援内容を考える

この問題を解決するにはどうしたらよいのか考えてみます。

ショートステイを利用している時間が、障害のある人にとって我慢を強いられるのではなく、本人がやりたいと思えることができ、過ごしたい時間を希望通りに過ごすことが出来れば、本人も満足した生活を送ることが出来ます。

ショートステイの場所から、普段通っている学校や通所事業所に通うことが出来れが、自宅での生活を大きく変えることなく、負担と同じような生活を送ることが出来ます。

そうなれば、家族は自分の負担軽減のために、障害のある本人をショートステイに預けて申し訳ないという気持ちにならずに済むかもしれません。

5⃣家族支援と本人支援の本質は同じ

家族支援は、家族を支援することのように見えて、本質は障害のある本人の生活を支援することであるといえます。家族支援と聞いて、家族の負担軽減の側面だけを考えてしまうと、家族も障害のある本人も本当は納得できていないのに、仕方なく諦めるという生活に誘導してしまう恐れがあります。

  • 家族の気持ち
  • 障害のある本人の気持ち

それぞれの立場になって考えてみて、どちらも納得できるような支援の選択肢を提案し、障害のある本人と家族に自分の望む選択をしてらうことが重要になります。

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kana

はじめまして(^-^)/ 介護ラボのカナです。
ブロガー歴3年超(818記事執筆)
介護のあれこれを2020年6月~2022年9/8まで毎日投稿(現在リライト作業中)

社会人経験10➡介護の専門学校➡2021年3月卒業➡2021年4月~回復期のリハビリテーション病院で介護福祉士➡2023年1月~リモートワークに。

好きな言葉は『日日是好日』
「福祉住環境コーディネーター2級」・「介護福祉士」取得
◉福祉住環境コーディネーター1級勉強中!
介護のことを少しでも分かり易く書いていきたいと思っています。
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