こんにちは 介護ラボ・カナログのカナです。今日は・・・
障害の個人モデルと社会モデルについて
Contents
1.障害者福祉の現状
1⃣障害の個人モデル
2⃣障害の社会モデル
2.障害者権利条約における障害
3.障害者をめぐる現状
1⃣障害者基本法の定義
2⃣共生社会とは?
1.障害者福祉の現状
突然ですが・・・これから書くことをイメージしてみて下さい。
美味しいと評判のお店があったとします。車椅子を使用する人が、そのお店を利用しようとやってきました。でも、その店には階段があり、お店に入ることが出来ません。
これから「障害の2つのモデル」では、どんな捉え方をするのか書いていきます。
1⃣障害の個人モデル(または医学モデル)
従来は、この場面を見た時、多くの人は障害者に原因を求め、
- どうすれば歩けるようになるか
- 1人で階段を上れるようになるか
に、目が向けられてきました。
このように障害を個人の問題としてとらえ、解決を本人の努力にゆだねるべきであるとする考え方を「個人モデル」又は「医学モデル」と呼ばれています。
2⃣障害の社会モデル
しかし、障害の個人モデルには多くの矛盾があります。
視野を広げてこの場面を考えてみると、お店に入れない状況を作ったのは、お店が車いすの人を想定して設計しなかったことにあり、障害は階段の段差であることに気付きます。
このように、障害は社会によってつくられた障壁(バリア)であるという捉え方を「社会モデル」といいます。
このような視野の広がりから、お店がどうすれば段差を解消できるかに目が向けられ、その取り組みとして「バリアフリー(障壁を除去する)」という考え方が一般化してきました。
2.障害者権利条約における障害
障害のとらえ方の変化は、2006年(平成18)に国際連合(国連)で採択された「障害者の権利に関する条約(障害者権利条約)」に明確に打ち出されています。
条約では、障害は社会によってつくられる状況を含めて定義し、それを社会的障壁と呼んでいます。また、障害者権利条約では合理的配慮を欠いた状態を差別としています。
例えば、店を訪れた車いすを使用する人を一方的に無視したり、追い返したりすることも合理的配慮を欠いた状態であり、障害に基づく差別に該当します。
本人が何を訴えかけているのかに真面目に熱心に耳を傾け、スロープを準備したり、介助をしたりと、店側には入店のための社会的障壁の除去に必要な対応を図っていくことが義務付けられています。
障害者権利条約によって、日本でも差別の問題に本格的に取り組むきっかけとなりました。障害者権利条約を批准するため、日本で合理的配慮の扱いについて具体的に定めたのが、2013年(平成25)に制定された「障害を理由とする別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)」です。
これまで多くの差別に直面させられてきた障害者にとって、人権を守るための大事な柱となることが期待されています。
3.障害者をめぐる現状
今も、障害者差別の問題は沢山あります。
例えば、障害者のための福祉施設や事業所を作ろうとしても、
- 障害者は危険だ
- 障害者は地域社会にとってコストがかさむ存在だ
として、地域住民から反対されることがあります。
こうした住民から起こる反対運動による施設側と地域の間の紛争は「施設コンフリクト」と呼ばれています。なぜ差別はなくならないのでしょうか・・・
1⃣障害者基本法の定義
障害者施策の基本理念を定めた障害者基本法では、その目的が次のように定められています。
- 障害者基本法(目的)
- 第1条 この法律は、すべての国民が、障害の有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものであるとの理念にのっとり、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現するため、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策に関し、基本原則を定め、及び国、地方公共団体等の責務を明らかにするとともに、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策の基本となる事項を定めること等により、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策を総合的かつ計画的に推進することを目的とする。
障害者基本法では、
- 障害者は個人として尊重され、
- 障害の有無によって分け隔てられることなく、
- 障害者と障害のない人が相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現
が、目的に定められています。
裏を返せば・・・障害者が一般社会から分け隔てられている状況があるからこそ、法律で理念を明記し、その実現を目指しているともいえます。
2⃣共生社会とは?
皆さん、「障害者」と聞いて少し縁の無い話のように聞こえてしまうかもしれません。
家族や身近な人に障害を持った方がいれば違うかもしれませんが、多くの人にとって障害者の存在は身近に感じることがなく、障害者や家族が抱える介護問題もまたどこか他人事のように思ってしまうかもしれません。
その要因の1つが、障害者と障害のない人が分け隔てられて人生を送る仕組みがつくられてきたことがあります。子どもの時に障害があることがわかると、多くの障害児は地域社会にある小学校・中学校ではなく、「特別支援学校」という障害児だけが通う学校に通学したり、「放課後等デイサービス」という障害児に利用が限定された学童保育に通ったりします。
因みに私が小学校の時、同じ学年に障害を持った子が通っていました。先天性で左足の膝から下が欠損し、義足をして登校していました。たまに普通に義足を外し、ポジションを変えたり、夏のプール授業の時は義足を外し、ゆっくりですが一緒に泳いでいました。
殆どの障害を持つ子は特別支援学校に通いますが、その子は普通学級で本当に普通に生活していました。義足を外した姿も皆見慣れていて、特別何も思わない、ごく普通の光景でした。欠損していることは人と違うかもしれないけれど、それ以外は何も変わらないんだ、欠損していても泳ぐこともできるし、義足をすれば普通に走ることも出来ると身近に見てきたその体験は、今思えば貴重だったんだなと思います。
今の例は、実際はほとんどないと思います。特別学級に通い、卒業後の大学などへの進学率も極めて低く、一般企業に勤めたとしても特例子会社という障害者だけの働く場が準備されていたり、一般就労が難しい場合には、障害者に就労の機会を提供したり、就労に必要な訓練などを行ったりする就労継続支援という障害福祉サービスを利用したりしています。
さらに、自宅での生活が難しい場合は、入所施設で生活を送ることになりますが、入所施設は地域社会から隔絶された場所に立地していることが良くあります。
つまり、障害者は障害のない人と物理的に分けられてしまい、日常的な交流やふれあいが自然とできなくなる仕組みになってしまっているのです。
日常的な触れ合いが無くなると、引き起こされてしまうのが障害者に対する偏見や差別です。
共生社会を実現するということは、このような分け隔てをなくすことで、偏見や差別を解消していくことでもあるのです。
⭐気になるワードがありましたら、サイドバー(携帯スマホは最下部)にサイト内検索があります。良かったらキーワード、もしくは下記をクリック検索してみて下さい(^▽^)/
ADL QOL グループホーム ケーススタディ コミュニケーション ノーマライゼーション バリアフリー ブログについて ユニバーサルデザイン 介護の法律や制度 介護サービス 介護予防 介護保険 介護福祉士 介護福祉職 他職種 住環境整備 入浴 入浴の介護 医行為 喀痰吸引 地域包括ケアシステム 多職種 尊厳 感染症 支援 施設 権利擁護 社会保障 福祉住環境 福祉住環境整備 福祉用具 経管栄養 老化 脳性麻痺 自立支援 視覚障害 認知症 誤嚥性肺炎 障害について 障害者 障害者総合支援制度 障害者総合支援法 食事 高齢者
に参加しています。よかったら応援お願いします💛
Twitterのフォローお願いします🥺