介護総合演習

【特別養護老人ホームとは?】サービス内容や利用者の要件について vol.102

2020-09-23

こんにちは 介護ラボ・kanalogのカナです。今回は「特別養護老人ホーム」について

特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)

特別養護老人ホームとは

1⃣どのようなサービスなのか?

特別養護老人ホーム

特別養護老人ホーム(以下、特養)は、老人福祉法(昭和38年法律第133号)の第5条の3に定められている老人ホームの中の1つとして創設された施設です。

おもに、身体上、又は精神上著しい障害があるために常時介護を必要とし、在宅での生活が困難となった高齢者が長期的に入所できる施設として位置付けられ、入所にあたっては地方自治体が老人福祉法に基づく措置制度によって判断し、決定されました。

その後、2000年(平成12)4月から介護保険法が施行されたことにより、老人福祉法で設置されていた特養が、都道府県より指定を受け運営を行う形となり、その名称も特養から「指定介護老人福祉施設」に改められました。

介護保険制度では身体の状況や介護の手間、医師の意見をもとに介護が必要であるかどうかを認定し、その要介護度に応じて利用できるサービス制限を設けました。特養は、要介護1~5の認定を受けていれば、入所を希望する人が直接施設と契約し、入所できるようになりました。

特養では、利用者が認知症や疾病に伴る障害があっても安心して生活を送ることが出来るよう、

  • 入浴
  • 食事
  • 排泄

などの、介護と日常生活における医療サービスを提供します。

現在は従来の多床室のほかに、個室を中心とした「従来型鼓室介護」、全室個室で1ユニット10人程度の小単位で生活する「ユニット型個室介護」など、様々な形で介護の提供がなされています。

2006年(平成18)4月からは、入所定員が29名以下は「地域密着型介護老人保健施設」となっています。

2015年(平成27)の介護保険法改正の施工により、入所の基準が、以前は要介護1~5だったものが、要介護3以上に限定されました。

施設の形態も増え、より状態の重度な人が入所する施設となりましたが、入所後もその人の意思や人格を尊重し、必要なサービスを提供するとともに、その人らしい生活の維持と、自立した生活を営むことが出来るよう支援していくことが求められています。

2⃣どのような人たちが利用しているのか?

入所者の原則

特養の入所者は原則として、要介護3以上の認定を受けた、65歳以上の第1号被保険者及び40~64歳の第2号被保険者(特定疾病に該当し、介護が必要と判断された人)が対象となります。

入所者には、下記のような様々な理由を持つ人が施設へ入所しています。

  • 認知症の悪化や急な病気による状態の変更により1人での生活が困難
  • 同居する家族の都合により在宅での生活が困難
  • 入院治療を終えたものの在宅に復帰することが出来なかった
  • 1人での生活に不安を感じ相談機関を通して入所

通常は、入所を希望する人、又は家族が直接施設に申し込みを行い契約を行った後に入所となりますが、それ以外にも市町村において「虐待の認定」を受けると、措置による入所となる場合があります。
また要介護が1、2であっても、重度の認知症や精神疾患等で日常生活において生命の危険がある人や、やむを得ない利用により在宅生活の継続が困難な場合には、市町村により入所の必要性があると判断されれば、特例入所として特養に入所することが可能です。

3⃣どのような生活や活動をしているのか?

特養では、基本的な生活の流れが決まっていますが、入所者の個々の病気や状態に応じて提供される介護サービスの内容や回数が違います。

また、快適に生活できるようになるべく自宅で生活していた環境やリズムを維持した生活をしています。

4⃣どのようなケアを行っているのか?

特養では、「食事」「入浴」「排泄」「衣類の準備や着脱」「移乗と移動」「身体状況の確認」など、日常生活における介護全般を介護福祉職がサービスとして提供します
介護と言えば、「食事・入浴・排泄」の3つと思われがちですが、それ以外の生活にかかわるもの、移動の支援や、車いすを利用する人であれば、車いすへの移動・移乗、歯磨き、髪をとかす、顔を洗う等、その業務は多岐に渡ります。

直接的な介護以外にも入所されている人の身体状況を確認し、異変があれば介護職員に連絡したり、会話の中で精神的に落ち込んだり、不安を感じたりしているような発言があれば、励ますような言葉がけを行う必要があります。

特養では介護の技術だけではなく、入所者の変化に気付く観察力も求められます。

ケアを提供するうえで、情報の共有も重要です。

介護支援専門員(ケアマネージャー)が在宅から特養への入所前に事前に自宅又は病院、施設等を訪問調査を行い、作成した施設サービス計画に沿って介護サービスの提供を行います。

施設サービス計画は入所者の必要と思われる介護サービスを、どの介護福祉士が携わっても共通して提供が出来るよう書面化したものであり、必ず確認しケアを行う必要があります。

近年、在宅支援と同様に、自立支援の視点が大きく求められるようになりました。介護福祉士は入所者の生活の全てを、介護すればよいという視点ではなく、出来ることはなるべく自分で行ってもらうという側面的な介護を提供することで、入所者自身に自分で出来る喜びを感じてもらい、そのことにより生きる気力を感じてもらいます。

出来る能力があるにもかかわらず、全てにおいて介護を行うと、残された能力も失い状態の悪化に繋がることが予測されるので、介護福祉職は入所者が持つ意欲と、その残された能力をしっかりと把握し、入所者個々に応じた個別ケアを提供することが求められています

入所者にとって特養は自宅です。介護福祉職はその点をしっかり理解し、その人らしい生活を送ることが出来るようケアの視点を見極めながら介護の提供を行います。

5⃣どのような人たちと一緒に働いているのか?

他職種協働(どのような人達と一緒に働いているか)
🔸施設長
施設運営全般の責任者

🔸医師
入所者の病気や怪我の診断、治療を行う。
入院の必要があると判断すれば入院する病院の手配等を行う。看護職員への指示や緊急時の対応も行う。

🔸看護師(准看護師)
入所者の健康管理を行う。バイタルチェックや薬の管理・配薬、経管栄養の準備と注入、褥瘡や皮膚トラブルの処置、入所者の急変時の対応など。病院とは違い医師が24時間常駐していないので、状況と緊急度を判断し必要に応じて医師へ連絡対応を行う。

🔸生活相談員
入所者や家族、職員に対して、相談援助業務を行う。また新規入所に関しての受付・相談・事前調査等を行い、入所の際は介護支援専門員や他の施設・事業所・病院等と連携を図る。
特養での行事計画や実施にも携わり、多方面で介護福祉職をサポートする。

🔸介護支援専門員(ケアマネージャー)
入所者の家族の希望などを踏まえ、施設サービス計画を作成する。作成後は達成度や満足度、新たな課題などを定期的に入所者や家族、他職種に確認し、経項の必要性がないかを確認する。
入所者が特養を退所する時も状況に応じて、関係機関への情報提供を行う。

🔸菅理栄養士・栄養士・調理員
入所者の食事の献立の考案、カロリー管理、療養食の提供や1人ひとりにあった食事形態の提供を行う。日々の食事摂取量や体重などを把握し、他職種と連携をとり、健康状態の維持・改善を行う。

🔸事務員
施設における会計業務全般と物品管理、必要に応じて入所者の金銭管理等を行う

6⃣他の職種の人とどのように協働しているのか?

特養には様々な職種の人が勤務しています。1人ひとりの入所者に対して多職種で連携しながらケアを提供します。特養では介護福祉士が全職種の7割ほどを占めますが、介護福祉職だけの考えではよいケアを提供することは出来ません

入所者の体調が悪い時や急な状態の悪化があれば介護職員に連絡し、指示を仰ぎます。必要に応じて看護職員は医師へ相談し、病院受診や入院等の手続きを行います。

入所者から食事内容について相談を受けたり、体重が低下したりするようであれば、管理栄養士や栄養士に相談し、食事内容や栄養管理について対応を依頼します。

施設サービスについては介護支援専門員が作成し、生活支援における相談業務については生活相談員が対応します。

またケアカンファレンスでは、介護福祉職が看護師等に意見交換をしたりすることでそれぞれの役割を再確認し、入所者にとってより良いケアの提供に努めます。こうした情報を共有し多職種協働でかをしている実感を持つことが大きな役割の1つであり、目に見える情報だけでなく、隠れているニーズも把握し参加者全員で目標設定を行ったりします

そして今後予測されるリスクについて参加者全員が理解し、どの職種が携わっても協働できる体制を作っています。

このように、特養では様々な職種の人が連携し、入所者の生活を支えています

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kana

はじめまして(^-^)/ 介護ラボのカナです。
ブロガー歴3年超(818記事執筆)
介護のあれこれを2020年6月~2022年9/8まで毎日投稿(現在リライト作業中)

社会人経験10➡介護の専門学校➡2021年3月卒業➡2021年4月~回復期のリハビリテーション病院で介護福祉士➡2023年1月~リモートワークに。

好きな言葉は『日日是好日』
「福祉住環境コーディネーター2級」・「介護福祉士」取得
◉福祉住環境コーディネーター1級勉強中!
介護のことを少しでも分かり易く書いていきたいと思っています。
よろしくお願いします♡

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