認知症の理解

【❸新オレンジプラン設立の経緯】若年認知症の人への支援 vol.554

2021-12-19

こんにちは 介護ラボのkanaです。今日は「認知症の理解」の中から『新オレンジプランの経緯』について3回に分けて書いていきます。今日は最終の3回目です!

認知症当事者による支援

Contents

1.新オレンジプラン
 1⃣若年性認知症の人への支援
 2⃣認知症当事者による支援
2.まとめ

1.新オレンジプラン

1⃣若年性認知症の人への支援

若年性認知症とは?

若年性認知症とは、65歳未満の人をいい、全国で4万人近くの人がいるといわれています。

若年性認知症は、仕事や家事、子育てを担う年代に発症するため、経済的な問題を抱えることが多く、介護者はダブルケアといわれる介護と子育てを同時にしなければならない状態になることもあります。

したがって、就労支援など、高齢者の認知症とは異なる支援が必要になります。

  • 介護や就労支援
  • 居場所づくり
  • 社会参加支援

などの多岐に渡る支援を総合的に行う必要があります。

認知症が病気であることを普及・啓発し、認知症への偏見を払拭する中で、若年性認知症の人を早期診断・早期対応へ繋げていかなければなりません。

そのために、医療機関や市町村窓口等を通じて「若年性認知症」と診断された人やその家族に対して配布する、

『若年性認知症ハンドブック』

が作成されています。

そして、若年性認知症の相談業務の担当者用には『若年性認知症支援ガイドブック』が作成されています。

新オレンジプランでは、都道府県ごとに若年性認知症の人やその家族からの相談窓口を設置し、そこに若年性認知症の人の自立支援にかかわる関係者のネットワークの調整役を配置し、若年性認知症の人の視点に立った対策を進めることとしています。

その調整役は「若年性認知症支援コーディネーター」と呼ばれ、全都道府県に配置されています。

2⃣認知症当事者による支援

1998年にオーストラリアのブライデンさん(Bryden,C.)が出版した「Who Will I Be I Die?」は、2003年に日本でも翻訳され、「私は誰になっていくの?アルツハイマー病者からみた世界」が出版されました。

ブライデンさんは2001年(平成13年)からは世界各国で講演活動をはじめ、日本にも訪れ、我が国の認知症当事者に対するイメージに変化が生まれ始めました。

2004年(平成16年)10月には、国際アルツハイマー病協会第20回国際会議が京都で開催されました。そこで日本人として初めて越智俊二さん(当時57歳)が氏名を公表して、認知症当事者としての思いを語りました。

そして、それを契機に日本でも認知症であることを公表する人々が増えました。

講演をしたり、書籍を出版したりして、認知症当事者自らが気持ちや受けたい支援について世間に知らせる活動が広がりを見せています。

そして、2017年(平成29年)4月に同協会の第32回国際会議が同じく京都で開かれたときには、多くの認知粗油当事者がスピーチを行い、分科会を当事者だけで運営するプログラムも実施されました。

  • 「私たち抜きに私たちのことを決めないで」

というスローガンは、認知症当事者の口々から多く聞かれるようになりました。

仙台市の「おれんじドア」、それに啓発されて始まった名古屋市の「おれんじドア~やっこなごや」は、認知症当事者による認知症相談として全国から注目されています。

また、2014年(平成26年)に活動を始めた認知症当事者の団体「日本認知症ワーキンググループ」は、2017年(平成29年)に「日本認知症本人ワーキンググループ(JDWG)と名称を変え、一般社団法人になりました。

このJDWGの代表理事になった藤田和子さんは就任の挨拶で、「JDWGが一般社団法人として新たなスタートを切ることになりました。私たち本人が自ら活動する組織であることをより明確にするため、法人名に”本人”の2文字を新たに加えました。英文名はこれまでと同じJDWGです。2014年から活動してきた初めてのワーキンググループは、認知症と共に生きる私たち本人が『希望と尊厳を持って生きる』という理想を社会に発信し、当事者組織としての存在と可能性を社会に示すことができました。それをさらに発展させ、これからは『希望と尊厳を持って生きる』という理想を1つひとつ具体的に実現していくことが、JDWGの社会的な使命・ミッションです。「希望と尊厳を持って暮らせる」ことが、全国どこに住んでいても当たり前になるように、皆さまとともに、語り合い、力を合わせて進んでいきたいと思います」と述べています。

メンバーの意見を集約して、厚生労働省へ提案することや、後援会活動を通して全国各地で当事者から発信すること、社会の重要なトピックスに関して意見集約し、厚生労働省やメディアに発信することなどを活動としています。

そして、JDWGは、2018年(平成31年)11月に、「認知症と共に生きる希望宣言」を発表しました。

これまで長い間、介護の対象者としてしか見られてこなかった認知症の人達自身がそれに対して異論を唱え、認知症当事者の人権擁護を訴えています。

2.まとめ

このように、今まで発言してこなかった認知症当事者が陰に隠れることなく発信するように少しずつ変わってきています。

「認知症は決して恥ずかしい病気ではない。認知症になったら何もわからなくなるのではない。認知症になったらすぐに介護が必要になるのではない。認知症の人にもできることは沢山ある。」

このような認知症当事者たちの声に耳を傾けながら、地域の中で、どのような支援体制を整えると認知症になっても笑顔で暮らし続けることができる社会が作れるのか、考えていくことが大切です。

認知症

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kana

はじめまして(^-^)/ 介護ラボのカナです。
ブロガー歴3年超(818記事執筆)
介護のあれこれを2020年6月~2022年9/8まで毎日投稿(現在リライト作業中)

社会人経験10➡介護の専門学校➡2021年3月卒業➡2021年4月~回復期のリハビリテーション病院で介護福祉士➡2023年1月~リモートワークに。

好きな言葉は『日日是好日』
「福祉住環境コーディネーター2級」・「介護福祉士」取得
◉福祉住環境コーディネーター1級勉強中!
介護のことを少しでも分かり易く書いていきたいと思っています。
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