社会の理解

【❷高齢者保健福祉】オレンジプランと新オレンジプランの7つの柱 vol.599

2022-02-02

こんにちは 介護ラボのkanaです。今日は「社会の理解」の中から『高齢者保健福祉』について5回に分けて書いていきます。今日は2回目です!

利用者主体のための仕組みの創設

Contents

1.介護保険法制定までの高齢者保健福祉
 1⃣介護保険法の制定
 2⃣利用者主体のための仕組みの創設
2.介護保険制度のもとにおける高齢者保健福祉
 1⃣「2015年の高齢者介護」報告書にみる高齢者保健福祉制度の課題
 2⃣認知症施策の動向
 ◉オレンジプランと新オレンジプランの7つの柱

1.介護保険法制定までの高齢者保健福祉

1⃣介護保険法の制定

ゴールドプランが策定されて以降、高齢者保健福祉サービスにおける供給体制についての整備が進められていきました。

そして、1990年代半ばごろになると、老人福祉法と老人保健法による制度そのものが抱える構造的な問題が指摘されるようになりました。

具体的には、1994年(平成6年)に旧・厚生省の中に高齢者介護・自立支援システム研究会が設置され、「新たな高齢者介護システムの構築を目指して」と題する報告書が提出されました。

その中で、老人福祉法が採用する「措置制度」は、行政機関である市町村がサービスの必要性を判断し、決定する仕組みであるため利用者がサービスを選択できないことや、この仕組みの下ではサービス事業者間の競争原理が働かないことなどが指摘されました。

また、老人保健法については社会的入院の問題を取り上げ、老人医療が介護を必要とする高齢者をカバーしており、医療の枠組みの中では日常生活に対する十分なケアを行えていないことなどが言及されました。

社会的入院とは?

社会的入院とは、医学的には入院の必要がないにもかかわらず、家庭の事情や地域での受け皿がないために病院で生活している状態のこと。

さらにこの報告書では、社会保険方式による新たな高齢者介護システムである介護保険制度を創設することが提案されました。

そしてこれをもとに、1997年(平成9年)に介護保険法が成立し、2000年(平成12年)4月に施工されることになりました。

2⃣利用者主体のための仕組みの創設

介護保険制度が創設されたことにより、これまで老人保健法の下で「措置」という仕組みで提供されていた福祉サービスが、「契約」によって提供されることになりました。

「契約」は、サービス利用者とサービス事業者が対等な関係で契約を結び、サービスを利用する仕組みです。

しかし、このような契約の仕組みを導入するにあたっては、自己決定能力が低下している者などの権利擁護を図るなど、契約制度を補完する仕組みを設けることも必要になりました。

こうした仕組みについては、社会福祉基礎構造改革に関する議論の中で検討されていきました。

この改革の中で、「契約」の仕組みが高齢者分野以外に児童分野や障害者分野に拡大されるとともに、社会福祉事業法が社会福祉法に改称され、苦情解決の仕組みや福祉サービス利用援助事業に関する規定が定められました。

福祉サービス利用援助事業
判断能力が不十分な人を対象として、福祉サービスを利用する上での援助を行う事業であり、成年後見制度を補完する仕組みとして位置づけられています。

2.介護保険制度のもとにおける高齢者保健福祉

1⃣「2015年の高齢者介護」報告書にみる高齢者保健福祉制度の課題

介護保険制度が施工して3年後の2003年(平成15年)に、厚生労働省健康局長の私的研究会である高齢者介護研究会が「2015年高齢者介護ー高齢者の尊厳を支えるケアの確立に向けて」という報告書を発表しました。

この報告書は、高齢者介護の課題を整理したうえで、2015年(平成27年)までに実現すべき高齢者介護の姿を提起することを狙いとしていました。

そしてこの報告書の中で、要介護高齢者及び要支援高齢者の増加が高齢者数の伸びを上回る勢いで増加しており、とりわけ

  • 軽度の者の増加が著しいこと
  • 当時の介護保険制度における在宅サービスが重度の要介護者を支えることができていないこと
  • 当時においては認知症ケアが発展途上にあったこと
  • 要介護高齢者の生活を出来る限り継続して支えるためには様々な支援が継続的かつ包括的に提供される地域包括ケアシステムの確立が必要である

ことなどが指摘されました。

その後、これらの指摘を踏まえ、2005年(平成17年)に介護保険制度は介護予防を重視したシステムへと転換を図るため新予防給付が創設され、さらに中重度の要介護状態や認知症となっても、可能な限り住み慣れた環境の中でそれまでと変わらない生活を送ることができるようにするために、新たなサービス体系として、地域密着型サービスが創設されるなどの改正が行われました。

そしてこれ以降、前述の報告書がきっかけとなって、地域包括ケアシステムの構築を図ることが高齢者保健福祉における政策課題として位置づけられるようになり、介護保険制度を含む様々な制度の改正がそれに基づいた方向で行われていくことになります。

2⃣認知症施策の動向

2011年(平成23年)に厚生労働省内に認知症施策検討プロジェックとチームが設置され、過去10年間の認知症施策が再検証され、この検討を踏まえて2012年(平成24年)6月に「今後の認知症施策の方向性について」という報告書が公表されました。

そして同年9月に、この報告書に基づき、2013年度(平成25年)からの5か年間で認知症施策を具体的に推進するための計画として、「認知症施策推進5か年計画・オレンジプラン」が定められました。

その後、2015年(平成27年)1月に、団塊の世代が75歳以上となる2025年を目標として、「認知症の人の意思が尊重され、出来る限り住み慣れた地域の良い環境で自分らしく暮らし続けることができる社会」の実現を図ることを狙いとして実現を図ることを狙いとして「認知所施策推進総合戦略・新オレンジプランー認知症高齢者等に優しい地域づくりに向けて」が策定されました

◉オレンジプランと新オレンジプランの7つの柱
※厚生労働省「認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)」「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)より

この新オレンジプランでは、認知症高齢者に優しい地域づくりを推進していくために上記の図に示す「7つの柱」が定められました。

新オレンジプランは認知症の人を取り巻く、

  • 行政
  • 民間
  • 地域住民

などの様々な主体がそれぞれの役割を果たすことを求めており、さらに計画の進捗状況について認知症の人やその家族の意見を聞きながら随時点検をしていくことを定め、現在その取り組みが着実に進められています。

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kana

はじめまして(^-^)/ 介護ラボのカナです。
ブロガー歴3年超(818記事執筆)
介護のあれこれを2020年6月~2022年9/8まで毎日投稿(現在リライト作業中)

社会人経験10➡介護の専門学校➡2021年3月卒業➡2021年4月~回復期のリハビリテーション病院で介護福祉士➡2023年1月~リモートワークに。

好きな言葉は『日日是好日』
「福祉住環境コーディネーター2級」・「介護福祉士」取得
◉福祉住環境コーディネーター1級勉強中!
介護のことを少しでも分かり易く書いていきたいと思っています。
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