こんにちは(^▽^)/ 介護ラボのkanaです。今日は「発達と老化の理解」の中から高齢者に多い疾患として『熱中症』についてまとめていきます。
熱中症の3つの予防方法
Contents
1.熱中症
1⃣概要
◉発生場所ごとの構成比
◉初診時における疾病程度
2⃣原因
(1)皮膚の温度感受性の鈍下
(2)熱放散能力の低下
(3)体液量の低下
3⃣症状
(1)熱中症Ⅰ度
(2) 熱中症Ⅱ度 (重症度Ⅱ度)
(3) 熱中症Ⅲ度 (重症度Ⅲ度)
(4) 熱中症の3つの予防
4⃣治療
(1)熱中症Ⅰ度
(2) 熱中症Ⅱ度 (重症度Ⅱ度)
(3) 熱中症Ⅲ度 (重症度Ⅲ度)
1.熱中症
今回は、高齢者に多い疾患として、近年特に話題となっている「熱中症」について書いていきます。
1⃣概要
熱中症は、暑い環境や体温が下がりにくい環境で起こる様々な症状の総称です。
- 「日射病」
- 「熱疲労」
- 「熱射病」
- 「熱けいれん」
などと症状から分類されていましたが、『熱中症診療ガイドライン』では【熱中症】と定義しています。
熱中症は、真夏日(日最高気温が30℃以上の日のこと)になると発生し始め、猛暑日(日最高気温が35℃以上の日のこと)では急激に増加します。
年齢区分を見ると高齢者が最も多く、約半数を占めており、発生場所ごとでは「住居」が最も多く、熱中症で救急搬送された人のうち0.1%以上の人が亡くなっています。
◉発生場所ごとの構成比
下記のグラフは熱中症の発生場所構成比になります。
※出典は、総務省「平成30年5月~9月の熱中症による救急搬送状況」から、グラフを作成しています。(グラフでは小数点以下を省略)。
- ①住居(40.3%):敷地内全ての場所を含む
- ②仕事場-1(10.8%):道路工事現場、工場、作業所等
- ③仕事場-2(2.1%):田畑、森林、川、海等
- ④教育機関(6.7%):幼稚園、保育園、小学校、中学校、高等学校、専門学校、大学等
- ⑤公衆-1(9.2%):屋内)不特定者が出入りする場所の屋内部分、劇場、コンサート会場、飲食店、百貨店、病院、公衆浴場等
- ⑥公衆-2(12.8%):屋外)不特定者が出入りする場所の屋外部分、競技場、各対象物の野外駐車場、野外コンサート会場、駅等
- ⑦その他(4.7%):上記に該当しない項目
◉初診時における疾病程度
熱中症の初診時における疾病程度の構成比は・・・
◉軽症:65.3%
◉中等症:32.0%
◉重症:2.2%
◉その他:0.3%
◉亡くなる:0.2%
※出典は、総務省「平成30年5月~9月の熱中症による救急搬送状況」より
2⃣原因
熱中症の要因は、
- 環境要因
- 身体要因
- 行動要因
があります。
(1)皮膚の温度感受性の鈍下
高齢者は温度感覚が鈍くなり、反応するのに時間が掛かるようになります。そして「行動性体温調整」をとることが困難となり発症します。
- 行動性体温調整とは?
-
暑さ寒さを感じた時に衣服で調整したり、エアコンを付けて体温の上昇を防ぐ行動のこと。
(2)熱放散能力の低下
老化が進むと皮膚血流量と発汗量の増加が遅れ、その後の体温の上昇に伴う増加の程度も小さくなります。
そのため、高齢者は若年者予より汗をかきにくく、体内に熱が溜まりやすくなり、深部体温がより上昇しやすくなります。
(3)体液量の低下
身体の総水分量は成人では約60%だったのが、高齢者は約50%となり、水分不足が起こりやすい状態にあります。この状態は熱放散反応の低下に繋がり、尿の濃縮機能の低下も要因になっています。
3⃣症状
(1)熱中症Ⅰ度
従来の「熱失神」「熱けいれん」に相当します。
- 手足のしびれ
- めまい・立ち眩み
- こむら返り
- ぼーっとする
- 気分が悪い
- 大量の発汗
などがあります。
熱中症の起こり得る環境で、いつもと違う状態に気付いたら熱中症を疑い速やかに応急処置をすることが必要です。
(2) 熱中症Ⅱ度 (重症度Ⅱ度)
従来の「熱疲労」に相当します。
- 頭がガンガンする(頭痛)
- 吐き気・嘔吐
- 身体がだるいなどの倦怠感
- 意識が何となくおかしい
- 集中力や判断力の低下
などが認められます。
(3) 熱中症Ⅲ度 (重症度Ⅲ度)
従来の「熱射病」に相当します。
- 意識がない
- 身体がひきつる・けいれん
- 呼びかけに対し反応がおかしい
- まっすぐに歩けない・走れない
- 体が熱い
などになります。
(4)熱中症の3つの予防
熱中症の予防には、水分補給や環境の調整などが必要です。
- 涼しい環境の調整:温度計を設置して確認する。肩掛けやひざ掛けを使用しエアコンの利用を上手に工夫する。
- 暑い日の外出:「暑さ指数」や「高温注意情報」に注意する。外出を控えたり外出時間を短くする。
- 水分補給:早めに水分と塩分を補給。バランスの摂れた食事と十分な睡眠で体力を保持する。
4⃣治療
(1)熱中症Ⅰ度
冷所で安静にし、衣服を緩め、頸部や腋の下、足の付け根を冷やします。熱中症では水分と共に塩化ナトリウムなどの電解質の喪失があるので、塩分と水分が適切に配合された「経口補水液」が適切です。
自力でに飲めない場合や嚥下障害などで誤嚥が予測されるような場合は、症状が軽そうに見えても医療機関を受診することが必要です。
(2) 熱中症Ⅱ度 (重症度Ⅱ度)
医療機関での診察が必要な病態です。直ぐに救急車を要請します。救急車が到着するまでの間、身体を冷やします。
(3) 熱中症Ⅲ度 (重症度Ⅲ度)
採血、医療者による判断により入院加療が必要な病態です。場合によっては集中治療が必要になります。
今回は「熱中症」についてまとめました。
熱中症は予防できる疾患なので、環境を調整し熱中症をおこさない対策が必要になります。今回まとめたことを踏まえ、環境設定を見直したり、水分補給の大切さに気付いてもらえたら幸いです。
ここ数年異常気象が続き、猛暑日が連続する夏なので、熱中症の知識を持ち、予防と対策をすることが大切です。
他の『高齢者』記事はこちらから・・・
【適応とは?】適応機制とライチャード・2つの分類 vol.22
高齢者の生活支援において大切なこと【10の方法】 vol.55
【高齢者に多い骨粗鬆症とは?】原因や治療方法、日常生活への影響や支援について vol.216
【高齢者に多い骨折】頸椎圧迫骨折・大腿骨頸部骨折・橈骨遠位端骨折・上腕骨近位部骨折とは? vol.217
【高齢者に多い変形性膝関節症】原因と2つの治療方法について vol.218
【高齢者に多い関節リウマチ】原因と3つの薬物療法について vol.219
【高齢者に多い脊柱管狭窄症】主な症状の4つの特徴、間欠性跛行とは? vol.221
【高齢者に多い消化性潰瘍とは?】胃潰瘍と十二指腸潰瘍の違い vol.233
【高齢者に多い疾患・逆流性食道炎とは?】原因と代表的な4つの症状 vol.234
【高齢者に多い感染症】感染性胃腸炎・ノロウイルスの原因と治療方法 vol.428
⭐気になるワードがありましたら、下記の「ワード」若しくは、サイドバー(携帯スマホは最下部)に「サイト内検索」があります。良かったらキーワード検索してみて下さい(^▽^)/
ADL QOL グループホーム ケーススタディ コミュニケーション ノーマライゼーション バリアフリー ブログについて ユニバーサルデザイン 介護の法律や制度 介護サービス 介護予防 介護保険 介護福祉士 介護福祉職 他職種 住環境整備 入浴 入浴の介護 医行為 喀痰吸引 地域包括ケアシステム 多職種 尊厳 感染症 支援 施設 権利擁護 社会保障 福祉住環境 福祉住環境整備 福祉用具 経管栄養 老化 脳性麻痺 自立支援 視覚障害 認知症 誤嚥性肺炎 障害について 障害者 障害者総合支援制度 障害者総合支援法 食事 高齢者
に参加しています。よかったら応援お願いします💛
Twitterのフォローよろしくお願いします🥺