こんにちは💚 介護ラボのkanaです。今日は「福祉住環境」の中から『廃用症候群』について書いていきます。
誤嚥性肺炎・老年症候群
Contents
1.加齢に伴う身体的特性
1⃣生理機能の低下
2⃣運動機能の低下
2.老化が急速に進行した病的な老化
1⃣通常老化(健常老化)
2⃣病的老化
3⃣老年症候群
3.高齢者に現れやすい老年症候群
4.廃用症候群
1.加齢に伴う身体的特性
高齢者は、加齢に伴う身体的特性の低下により、様々な疾患障害を持つようになります。福祉住環境整備を考えるうえで高齢者の身体的特性をまとめていきます。
1⃣生理機能の低下
加齢に伴う心身の生理機能の低下を「老化現象」といいます。一般的には、以下のような機能の低下がみられます。
- 腎・肺機能などの低下:30歳代を100%とした場合、糸球体濾過率は80歳代で約60%にまで低下し、肺で酸素を交換する最大換気量は50%以下になります。生理機能は日常の働きの数倍もの予備能力があり、腎臓や肺の働きが半分になっても、通常の生活を送ることが可能です。
- 反射機能の低下:80歳代の高齢者の神経伝導速度は、30歳代の人と比べて15%程度の低下がみられます。
- 動脈の硬化:老化に伴い動脈が硬化、大量の血液の流れに対応できなくなるため、血流速度は加齢とともに速くなり、10歳の子どもに比べて70歳の高齢者は約2倍になります。
- 運動器、感覚器の機能低下:筋力や平衡感覚機能の低下により転倒しやすくなります。また、視力や聴力などが弱くなります。
- 糸球体濾過率とは?
-
腎臓内で血液を濾過する割合のこと。
2⃣運動機能の低下
加齢に伴う身体的特性として、「早足で歩く能力の低下」があります。
東京都老人総合研究所によると、都市部の80歳以上の高齢者は、65~69歳の高齢者に比べて早足で歩く能力が約20%低下、また、都市部の高齢者に比べて農村部の男性は約10%低下、女性では約30%低下しているとの結果がでています。
高齢者の運動機能の低下への配慮として、さまざまな機能低下により生じやすくなる交通事故や転倒は、ADL(日常生活動作)の低下を招くため、住宅内や玄関アプローチ、道路や階段、信号機などの福祉住環境を考える際には注意することが必要です。
他の『身体的特性』記事はこちらから・・・
【②肢体不自由】身体的特性と障害の原因となる疾患 vol.73
2.老化が急速に進行した病的な老化
1⃣通常老化(健常老化)
通常老化(健常老化)は、老化現象の進行が遅く、高齢期になっても心身の機能の低下が少ない状態のことをいいます。
2⃣病的老化
病的老化とは、さまざまな老化促進因子により、老化現象が急を苦に進み、病気になりやすい状態のことをいいます。
非活動的な生活を送り、身体に好ましくない生活の継続により、
- 動脈硬化を基盤とした心疾患や脳血管障害
- 骨粗鬆症
- 誤嚥性肺炎
などが生じやすくなり、これらの疾患の治療後も病的老化に陥ります。
- 誤嚥性肺炎とは?
-
食べ物や唾液(細菌)などが誤って気管や肺に入って発症する肺炎のこと。摂食・嚥下機能(咽頭や喉頭の運動機能)など、高齢者特有の生理機能の低下や、低栄養などによる免疫機能の低下に伴って生じやすくなります。
3⃣老年症候群
老年症候群とは、健常老化から病的老化になって疾患を患い、やがて複数の疾患を持つようになり、低栄養や摂食、嚥下障害、認知機能低下、歩行障害など高齢者特有の症状を見せるようになった状態をいいます。
介護保険の対象者数などから推測すると、高齢者の8割以上が元気な人達とみられています。但し、予備能力の低下や身体機能の低下により、ひとたび病気にかかると他の病気も併発しやすいなどの特徴も指摘されています。
3.高齢者に現れやすい老年症候群
「老年症候群」は1つの臓器の症状や疾患ではなく、「症候群」と呼ばれるように、排尿障害や摂食・嚥下障害、免疫機能低下など、多くの器官が関与した症状・疾患で、複数の原因が重なって生じることが多いです。
高齢者に現れる徴候の1つが褥瘡(じょくそう)となります。
「褥瘡」は、からだの骨ばった部分に長時間持続して圧迫力が加わり、血液の循環障害が起こることによって生じます。
- 「皮膚が薄くなって傷つきやすくなる」
- 「皮脂の分泌量が減少する」
- 「傷が治りにくくなる」
- 「痛みを感じにくくなる」
などの徴候が現れて、より褥瘡を作りやすくなります。
- ◉老年症候群の諸症状。病態と互いの関連性
- ・感覚障害
・精神機能の脆弱化・低下⇒健忘・せん妄・認知症
・摂食・嚥下障害⇒肺炎
・低栄養⇒脱水
・免疫機能低下⇒易感染症
・医療性疾患⇒医療行為が原因となり起こる疾患
・褥瘡
・閉じこもり現象⇒寝たきり状態
・排尿障害
・異常姿勢⇒へ中や腰が丸くなるといった円背
・歩行障害
・易転倒性
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【高齢者の疾患7つの特徴】廃用症候群の3種類と老年症候群の3分類 vol.588
【老年症候群予防】老年症候群の3つの特徴と解決すべき3つの対応 vol.733
4.廃用症候群
片麻痺や骨折などによる長時間の臥床、関節の固定により、身体的活動性が減少して起こる心身の病的状態のことを「廃用症候群」と呼びます。
高齢者の場合、失われた機能の回復には、失われた時よりもさらに長い期間の訓練が必要となるので、廃用症候群にならないように予防することが最も大切になります。
高齢者に高頻度に現れる徴候として、褥瘡の他に、
- 難聴(高い音を中心に聞こえにくくなる)や白内障などの感覚障害
- 精神機能が脆弱化(健忘、錯覚、幻覚、せん妄などが生じ、認知症に陥ったりする)
- 摂食・嚥下障害
- 便秘
- 低体温
- るい痩(体形が通常の範囲を超えて痩せていること)
- 不眠
など様々な徴候が挙げられます。
背中の丸い高齢者ほど、膝関節の伸びが悪く、歩く速さが遅く、歩幅が狭く小さな段差でも躓く傾向があるので注意が必要です。
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