軽費老人ホーム(ケアハウス)の2種類について
Contents
1.軽費老人ホーム(ケアハウス)とは
1⃣どのようなサービスなのか(2種類)?
2⃣どのような人たちが利用しているのか?
3⃣どのような生活や活動をしているのか?
4⃣どのようなケアを行っているのか?
5⃣どのような人たちと一緒に働いているのか?
6⃣他の職種の人とどのように協働しているのか?
7⃣介護福祉職はどんなチームを組んでいるのか?
1.軽費老人ホームとは
1⃣どのようなサービスなのか?(2種類)
ケアハウスとは、老人福祉法に規定される軽費老人ホームの一種です。
老人福祉法第20条の6には「軽費老人ホームは、無料または低額な料金で、老人を入所させ、食事の提供その他日常生活上必要な便宜を供与することを目的とする施設」と規定しています。
自治体からの補助金により運営されていることから、営利法人が運営を行う有料老人ホーム等と比較して入居費用が安価であることも特徴です。
軽費老人ホームの歴史は古く、1963年(昭和38)の老人福祉法制定時に、特別養護老人ホーム、養護老人ホームと共に老人福祉施設の一種として制定されました。
当初、軽費老人ホームは家庭環境などの理由により、自宅で生活できない高齢者のための施設として創設されましたが、高齢者の増加や高齢者のための住まいのニーズの変化に伴い、その制度も変わってきました。
1989年(平成元)に、「軽費老人ホームA型」「軽費老人ホームB型」に続く軽費老人ホームの新類型として「ケアハウス」が創設されました。当時は安価でかつ元気な高齢者向けの住宅を指すものとして、多くの高齢者が利用をしてきました。
サービス付き高齢者向け住宅等、比較的安価な高齢者向けの住居が増えてきたため、高齢者の住まいの選択肢も多くなりましたが、現在でも「ケアハウス」の需要は多くあります。
一般のケアハウスは、ある程度自分の身の回りのことが出来る人を対象とした施設であり、日常的に介護の必要な人が生活するには困難な施設です。しかし、2000年(平成12)に、介護保険制度が始まって以降は、一般のケアハウスの入居者は、介護保険サービスを利用することが出来るようになりました。
ケアハウスは・・・
- 老人福祉法上は「施設」ですが、
- 介護保険上は「居宅」の扱いになります。
そのため、
- 居宅サービスである「訪問介護(ホームヘルプサービス)」や
- 通所介護(デイサービス)等を利用することが出来ます。
また介護保険サービスの1つである特定施設入居者生活介護の指定を受けている「介護付きのケアハウス」もあります。介護付きのケアハウスでは、入居者は施設から提供される介護サービスを定額で利用することが出来ます。
ケアハウスの2種類
- 一般のケアハウス
- 介護付きケアハウス
になります。介護付きケアハウスは一般のケアハウスと比較し、介護福祉職の配置が手厚く規定されているため、日常的な介護を要する人でも利用できます。一般のケアハウスや介護付きのケアハウスのほか、その両方の機能を持つケアハウスもあります。
2⃣どのような人たちが利用しているのか?
ケアハウスの入居対象者は、原則として次の1⃣・2⃣にかかげる要件を満たすものとされています。
1⃣身体機能の低下等により自立した日常生活を営むことについて不安があると認められるものであって、家族による援助を受けることが困難な者。
2⃣60歳以上の者(但し、その他の配偶者、三親等内の親族その他特別な事情により当該者と共に入居させることが必要と認められるものについては、その限りではない)。
特別養護老人ホーム等の施設と比較して、心身の状況や、年齢等における入居の条件が緩やかであり、また、入居生活上の制限も少ないため、ある程度元気な人が、自信の判断で入居の申し込みをするケースも多くあります。
なお、介護付きのケアハウスの入居対象者は、介護予防特定施設入居者生活介護の指定も含めると要支援又は要介護の認定を受けている必要があります。
3⃣どのような生活や活動をしているのか?
ケアハウスは名前の通り、入居者にとって自宅と同じです。そのため、自宅と同じ生活が出来るように設備や運営に工夫がされています。
ケアハウスの居室は個室になっていて、夫婦や兄弟・姉妹で入居することが出来るように2人部屋を設置しているところもあります。居室には、洗面所、トイレ、収納設備やミニキッチン等も設置されていて、単身者用のワンルームマンションのような構造になっています。
部屋の中にあるものは基本的には自由に使うことができ、家具等を持ち込むことも出来るため、自分好みの部屋にすることが可能です。
ケアハウスの入居者の生活は原則として自由です。
但し、食事の提供は定められたサービスの1つですので、食事の時間はある程度決まっており、また安全のために入浴の日数や時間を定めているケアハウスもあります。
その他の日課については、入居者がそれぞれ、自分のペースに合わせた生活をしています。
居室内の管理は入居者自身で行うことになっていますので、部屋の掃除や洗濯などは自分で行っています。家事が困難な人については介護保険を利用して外部の訪問介護を利用し、掃除や洗濯をしてもらっている人もいます(特定施設の指定を受けた介護付きのケアハウスについては、施設サービスと言われます)。
外出や外泊も届け出を行えば原則として自由であり、地域の行事やサークル活動に参加する人や、自分で公共料金か車を利用して買い物や旅行に行く元気な人もいます。
4⃣どのようなケアを行っているのか?
ケアハウスは1⃣項の通り、一般のケアハウスと介護付きのケアハウスがあります。それぞれの施設で利用者の状況もサービスの提供方法も異なるため、介護福祉職の役割も異なってきます。
一般のケアハウスが入居者に提供するサービスは主に、
- 食事の提供
- 入浴等の準備
- 相談及び援助
- 社会生活上便宜の供与
- その他の日常生活上必要な便宜の提供
とされています。一般のケアハウスでは身体的に自立した入居者が多いため基本的に身の回りのことは入居者自身でしてもらいます。例えば・・・
- 食事:食事は施設がつくりますが、入居者自身が食堂に行き、自分で取ります。
- 入浴:入浴における介助は基本的に行いません。
- 掃除:共用部の掃除は施設で行いますが、自室内の掃除は原則として自分で行います。
自分で出来ることは自分で行い、自分ですることが困難なことや不安なことについては、助言・支援をしていきます。身の回りのことについて日常的な支援が必要になった時は、通所介護や訪問介護などの居宅サービスを利用することも出来ます。
一般のケアハウスにおける介護福祉職の業務は、身体的な介護よりも、相談援助業務の方が主となります。今後も自立した生活を維持してもらうために、体力低下の予防や日常生活上の助言など、いわゆる介護予防の視点を持った支援が必要となります。
介護福祉職は依頼があれば何でもケアを行うのではなく、入居者自身が行えることについては、見守ったり、助言を行ったりしながら、必要に応じたケアに行っていくことが大切です。ただし、高齢者の心身の状況は急激に変化していくことも多いので、身体的な介護の知識や技術を持っておくことは当然必要となります。
介護付きのケアハウスでは、要支援・要介護認定を受けた人が入居しているため、「食事」「入浴」「排泄」などの介護は日常的に必要な人が多くいます。入居者への日常的な介護はケアハウスの職員がすることになっているので、職員の業務は、一般のケアハウスと比較し、身体的介護の比重が多くなります。
また、介護付きのケアハウスでは、計画作成担当者が入居者又はその家族の希望、入居者について把握された解決すべき課題に基づいて他の職員と協議をします。
そのうえでサービスの目標およびその達成時期、サービス内容並びにサービスを提供する際の留意点等を盛り込んだ特定施設サービス計画(ケアプラン)を作成します。介護福祉職はこのケアプランに基づいた介護サービスを提供していく必要があります。
5⃣どのような人たちと一緒に働いているのか?
他職種協働(どのような人達と一緒に働いているか)
🔹管理者
ケアハウスの運営全般に関する事を管理します。施設の維持管理及び運営を統括し、職員の指揮監督を行います。
🔹看護師(准看護師)
要介護者の多い介護付きのケアハウスには配置が必要となっています。利用者の健康の状況に注意するとともに、健康保持のための適切な措置を講じます。
🔹生活相談員
入居者の生活相談の他、入居・退去にかかる手続き等を行います。外部サービス事業者、介護支援専門員や家族との連絡調整なども行います。社会福祉士等、相談援助の専門職が従事することが多いですが、介護福祉職が従事することもあります。
🔹理学療法士(PT)作業療法士(OT)言語聴覚士(ST)歯科衛生士
要介護者の多い介護付きのケアハウスには配置が必要となっています。また看護師等でも従事することができ、他職種との兼務も認められています。入居者の心身の状況を踏まえ、必要に応じて日常生活を送るうえで必要な生活機能の改善又は維持のための機能訓練を行います。
🔹計画作成担当者
介護付きのケアハウスのみに配置され、介護支援専門員が1人以上必要です。計画作成担当者は入居者の日常生活上の課題を把握したうえで、サービスの目標及びその達成時期、サービスの内容やサービスを提供する際の留意点等を盛り込んだ特定施設サービス計画を作成します。
🔹事務員
利用料の計算や、会計業務などを行います。家族などの来訪者の受付業務を行うこともあります。
6⃣他の職種の人とどのように協働しているのか?
ケアハウスで働く介護福祉職は、入居者がケアハウスで快適な生活をしていくために施設内外の多くの職種の人たちと協働していく必要があります。
介護福祉職は、他の職種の人たちから情報や助言を得るだけでなく、現場で得た情報を共有したうえで、多職種でケアの方針を決め、支援を実施していく必要があります。
一般のケアハウスであれば、外部の介護サービス事業者との連携も必要になってきます。
- 居宅介護支援事業所の介護支援専門員
- 通所介護事業所の生活相談員
- 介護福祉職
- 訪問介護事業所の訪問介護員
- サービス提供責任者
など、外部の各サービス事業者の担当者と情報共有を行い、協働で入居者のケアを行います。
7⃣介護福祉職はどんなチームを組んでいるのか?
一般のケアハウスは、ある程度身体的に自立した人を入居対象者と想定しています。そのため日常的な介護が必要な人の支援は想定しておらず、介護福祉職の配置は多くありません。店員30名以下のケアハウスであれば、制度上では介護福祉職は1人で良いとされています。
介護が必要な人で、「訪問介護」や「通所介護」などの居宅サービスを受けていることもあるので、ケアハウスで働く介護福祉職は、外部の職員とも連携や情報共有を行いながら入居者の生活支援を行っていきます。
直接的な介護を行うことは少ないものの、入居者と多くの時間を接していますので、外部サービス事業者の職員への情報伝達等の連携が必要になる重要な立場といえます。
介護付きのケアハウスでは、入居者の多くが要介護者となるため、施設内には多くの介護福祉職が配置されています。他の高齢者施設と同じように、職員は24時間のシフトで仕事をしています。多くの職員が1人の利用者に接するので、介護をする人によってやり方が違わないように、均一なサービスを提供するため、各職員が、各入居者の状況を把握することが必要です。
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