こんにちは 介護ラボのkanaです。今日は「医療的ケア」の中から『喀痰吸引での急変・事故発生時の対応と事前対策』について書いていきます。
急変・事故発生時の対応
Contents
1.喀痰吸引での急変・事故発生時の対応と事前対策
1⃣緊急を要する状態
2⃣急変・事故発生時の対応
◉事例1
3⃣急変・事故発生時の事前対策(医師・看護職との連携体制の確認)
◉事例2
2.まとめ
1.喀痰吸引での急変・事故発生時の対応と事前対策
1⃣緊急を要する状態
喀痰吸引に関連して吸引を要する状態とは、「呼吸が停止している場合」「呼吸状態が悪化している場合(苦しそうな表情や顔色が悪くなった場合)」「多量に出血している場合」「嘔吐して気管に嘔吐したものが詰まっている場合」です。
また、人工呼吸器を装着している人の緊急を要する場合とは、上記に加えて、「人工呼吸器が作動していない場合」や「アラームが鳴りやまず苦しそうにしている場合」などです。
その他にも、急な停電などによって人工呼吸器が作動しなくなってしまう場合には、早急な対処が必要になります。
2⃣急変・事故発生時の対応
緊急を要する状態であると気付いた時には、いずれの場合も直ちに医師・看護職への報告・連絡をします。
その際の報告相手や報告内容については、事前に緊急時対応のマニュアルとして利用者・家族・医師・看護職と共有しておくことが必要です。
医師・看護職への報告内容は、
- 「いつ」
- 「どこで」
- 「誰がまたは何が」
- 「どのように」
- 「どうしたか」
- 「どうなったか」
を明確に伝えます。
◉事例1
【事例❶】
「8分前に吸引をした後、2分位してから吸引瓶の中身を片付けて戻ってきたら、利用者が居室のベッド上で呼吸を苦しがっています。顔色が紫色に変化して、声を掛けてもいつものような応答がなくなっています。喉の奥の方から、いつもよりもゴロゴロと大きめな音がします。…」
上記のようなことが起こった時、「8分」や「2分」というように、時間を正確に覚えて伝えることが重要です。
「どのように・どうなったか」ということについては、わかる範囲で詳細に報告します。また、利用者の変化に気付いた時間やその時の変化については、正確な時間を確認し、随時記録しておきます。
その記録が、その後の医師・看護職の対応に重要な情報となります。
- 呼吸状態や顔色が悪くなる
- 嘔吐がみられる
- 痰の色が赤く出血が疑われる
このような場合は、吸引を直ちに中止します。
意識がなく(通常意識のある人が呼びかけても応答しない)、呼吸が停止しているような状態(胸や腹部が動いていない)で人工呼吸器を装着していない人の場合は、ただちに心肺蘇生に従い胸骨圧迫(30回)と人工呼吸(2回)を開始して、医師・看護職の到着を待ちます。
在宅においては救急車を要請することもあるでしょう。
明らかに口の中に何かが詰まっていて呼吸が苦しい様子である場合には、気道に異物が入った際の「背部叩打法」などを開始して医師・看護職(あるいは救急車)の到着を待ちます。
医師。看護職の到着を待つ間は利用者のそばを離れず、そのあとの状態にさらに変化が無いかどうかを確認・記録していきます。
3⃣急変・事故発生時の事前対策(医師・看護職との連携体制の確認)
急変・事故発生の事態に備えて、事前に緊急時の連絡先について連絡網を用意して利用者・家族・医師・看護職と共有しておく必要があります。
そして、誰に何を報告すべきかについて整理しておきます。
緊急時の、医師・看護職への報告は、前項と同様、
- 「いつ・どこで・誰が(または何が)・どのように・どうしたか・どうなったか」
という内容です。
◉事例2
【事例❷】
『いつ』という内容は、どのような状況の時かということが重要です。「吸引前か」「吸引後か」「何をしている時か」など。
『どのように・どうしたか・どうなったか』という内容は、主に利用者にどのような変化があったのか「呼吸の状態」「顔色」「痰の色」「吐瀉物の有無」「出血している場合はどのくらいの量か」など、吸引器や人工呼吸器の不具合の様子などを伝えます。
緊急時の対応方法については、事前に医師・看護職と相談して利用者個々の「応急手当方法のマニュアル」として共有しておきます。
また、急変事故発生時の記録には、前項にも書いてある通り、「いつ・どこで・誰が(または何が)・どのように・どうしたか・どうなったか(利用者に起こった事、いりょ機器等に起こった事)」 を正確に記録します。
2.まとめ
記録は、医師・看護職がその後の治療や対処を決めるための重要な情報になります。
さらに、急変・事故発生後には、記録を関係者・医師・看護職と共に共有して、なぜそのようなことが起こったのかということについて話し合う機会を持ち、それぞれの立場からの再発防止策を共有しておくことで再発の防止に繋げます。
また、急変・事故発生後の記録については、どのような急変・事故がどのようにして起こっているのかという状況を、定期的に施設や事業所でまとめて、振り返りや事例検討などにより評価できるようにしておくことが大切です。
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