【❶リスクマネジメントとは何か?】過誤・事故・苦情について vol.314

こんにちは(^▽^)/ 介護ラボのkanaです。今日は「介護の基本」の中から『リスクマネジメント』について。リスクマネジメントは多岐に渡るため、今日から5回に分けて項目ごとにまとめていきます。

苦情の段階と基本原則とは??

Contents

1.尊厳ある暮らしの継続のためのリスクマネジメント
2.過誤・事故・苦情
 1⃣過誤とは?
 2⃣事故とは?
 ●各施設において多く発生してる事故類型
 3⃣苦情とは?
3.苦情解決制度
 1⃣苦情の段階
 2⃣苦情対応の基本原則

1.尊厳ある暮らしの継続のためのリスクマネジメント

安全で安心出来る生活

人は皆、安心・安全に生活することを望みます。安全で安心出来る生活は、生命と健康を守ることにあります。介護は障害があって身体的・精神的・社会的に自立することが困難な人の生活を、直接的または継続的に支援する、生命と生活に関わるサービスです。

介護のサービスは、単に介護の技術的な提供だけではなく、その人の権利を守り、

  • 自己決定の保障
  • 習慣・価値観の尊重
  • 自立支援

を行うことを目的にしています。つまり、介護を受ける人の心身がどのような状態であっても、誰もが望む安心・安全を守るためには、介護に携わる人の適切な介護実践が必要といえます。

リスクとは?

リスクとは、「ある行動に伴って生じる損失や危険の可能性」という意味で使われます。リスクは心身の変化や疾病の特性、環境などが要因となって起こります。

そして、「リスクマネジメント」とは、これから起こるかもしれない事故や災害に対して事前に予測や予防の対応をする活動だけでなく、事故や災害が起こってしまったら、その被害が拡大しないようにするための事後の対応も含まれます。

介護は生活を継続するための支援であり、生活の場で提供されます。介護を必要とする人であっても、自分の意思や感情をもっており、介護者は、その利用者の意向を尊重して尊厳を保持しようとすると、何らかのリスクが生じることが予測されれも、それをわかった上でサービスを提供せざるを得ないことが多くあります。

2000年(平成12)、日本の社会福祉制度は、それまで措置制度(行政がサービスを指示、決定する)から、契約制度(自らサービスを選択し、個々に事業所と契約する)へ移行しました。

事業所では、措置制度の時には問われなかった損害賠償請求等の対応が法人の責任として問われることとなり、1999年(平成11)頃からリスクマネジメントの検討が始められていました。

また、2001年(平成13)には、当時の厚生労働省が「身体拘束ゼロ作戦」を掲げて、利用者の安全確保のために身体拘束を日常的に行っていた特別養護老人ホームなどに、身体拘束の廃止と利用者の安全確保を同時に取り組むように推進することとしました。

リスクマネジメントのガイドラインとしては、厚生労働省から「福祉サービスにおける危機管理・リスクマネジメントに関する取り組み指針ー利用者の笑顔と満足を求めて」や、全国社会福祉施設経営者協議会から、「社会福祉法人・福祉施設におけるリスクマネジメントの基本的な視点」が2002年(平成14)に作成されました。

福祉サービスのリスクマネジメントの基本的視点として、

❶セーフティマネジメント(安全管理)の視点の重要性を理解すること

❷福祉サービスのリスクマネジメントは、主に現場で起こる事故・過誤や苦情への対応になること

❸事故や過誤の未然防止に加え、それらの発生を想定しその時の適切な対応を視野に入れた、セーフティマネジメント(安全管理)の視点が重要

であることが書かれています。

福祉サービスの利用者の状態は変化していき、認知症の高齢者や医療的ケアが必要な要介護者の数は増加しています。そのため福祉サービスの提供の場は地域へと移行していますが、提供する場では認知症高齢者の対応方法や、基礎的な医療の知識が必要となっており、これらの知識がないと過誤や事故に繋がる可能性が高くなります。

2.過誤・事故・苦情

1⃣過誤とは?

過誤とは?

過誤とは、過ちややり損じを指し、サービス提供側の不適切な行為で発生するものです。

サービス提供中に利用者に対して起こりうる過誤としては、

  • 配薬のミス
  • 手洗い不備による食中毒や感染症の発症
  • 介護中の皮膚への傷や打撲
  • 見守りの不足による転落・転倒

などがあります。

また、福祉用具や送迎車、特殊浴槽等の設備の定期点検や取り扱いの不備によるものがあげられます。

2⃣事故とは?

事故とは?

事故とは、思いがけずに起こった悪い出来事を指します。何か1つの要因があって発生するものではなく、様々な事柄が重なり合って発生します。サービス提供側にすべて要因があるのではなく、利用者自身がとった行動で起きることが多いです。

施設を利用している利用者は、そこが生活の場面であるので、利用者自身の特性から必ずしも介護福祉職が注意するよう促したことについて理解を示して実践してもらえるとは限りません。

最も多いのが転倒事故であり、利用者の歩行や移動中に多く発生します。

安心・安全]
●各施設において多く発生してる事故類型

上位3つの事故類型

【特別養護老人ホーム】
1位:転倒(198件:50.0%)
2位:誤嚥(37件:9.3%)
3位:転落(37件:9.3%)

【身体障害者療養施設】
1位:転倒(225件:40.3%)
2位:転落(62件:11.1%)
3位:打ち付け(62件:11.1%)

【知的障害者療養施設(入所)】
1位:転倒(86件:34.8%)
2位:利用者の行為(59件:23.9%)
3位:転落(16件:6.5%)

【重度心身障害児施設】
1位:転倒(34件:34.8%)
2位:利用者の行為(19件:13.9%)
3位:転落(17件:12.4%)

※厚生労働省福祉サービスにおける危機管理に関する検討会「福祉サービスにおける危機管理(リスクマネジメント)に関する取り組み指針ー利用者の笑顔と満足を求めて」2002年を一部改変。

3⃣苦情とは?

苦情とは?

苦情とは、被害を受けたり、不公平な扱いをされたり、迷惑を受けたりすることに対する不満・不快な気持ち、またはそれを述べた言葉を指します。

福祉サービスは生活の全般にかかわるサービスを提供しているため、人それぞれで異なる生活習慣や価値観を持っており、その多様な要望の全てに応えることは難しいです。

しかし、利用者との信頼関係を築くためには、要望を聴き取り、実現するにはどこが難しいのかを利用者に納得してもらえるよう、根拠を含めて丁寧に説明していく必要があります。

3.苦情解決制度

社会福祉法第82条に基づき、2000年(平成12)に、社会福祉事業の経営者による苦情解決の仕組みの指針を同時の厚生労働省が示し、苦情解決体制として、
「苦情解決責任者」
「苦情受付担当」
「第三者委員」
を設置して、苦情の解決に当たるように求めました。

また、社会福祉法第83条に基づき、都道府県社会福祉協議会には、利用者からの福祉サービスに関する苦情の解決のための運営適正化委員会が設置されました。介護保険の事業所では、国民健康保険団体連合会(国保連)が苦情の窓口とされています。

福祉サービスの内容は、物を買うように視覚や触覚を使って確認できず、利用してはじめてその具体的な内容を知ることになります。利用開始時は、身体機能や判断力が低下している状況であるため、事業所側がサービス内容を説明したとしても十分な理解が得られないこともあります。

返品を要求できるものではないため、

  • こんなことだとは思っていなかった
  • 聞いていない

などの苦情に繋がりやすくなります。

利用者の苦情の中には、サービスを提供する側からは見落としてしまいそうな問題を鋭く指摘する者が少なくありません。見過ごしてしまえば、大きなトラブルに繋がってしまう場合もあります。

例えば、「ベッドへの以上後の車いすを置く位置が、職員によって異なるから統一してほしい」という要望が出されていながらも対策を考えず、その間に転落事故が発生し、利用者が骨折などのケガをした場合にはどうなるでしょう?

要望の段階でしっかりとした早期対応が出来ていれば、多いな問題にならなかったと思われる場合であっても、その対応を取らなかったために施設側の責任問題にまで至ることがあります。

1⃣苦情の段階

苦情の4段階

❶【質問レベル】
説明やサービスの具体的内容に、「なぜだろう」「自分の考えと少し違うところがあるから理由を聞こう」など気楽な気持ちで質問できる段階。

❷【希望・要望レベル】
前段の❶の質問を踏まえて、「こうして欲しい」と要望が伝えられる段階。ここで可能か不可能化を曖昧にしていると苦情に繋がりやすい。十分な説明と納得を得られるように努力する必要がある。

❸【請求レベル】
伝えた要望が未だ叶えられない状態であるため、請求して実施を求める段階。前段の要望の内容の回答に納得を得られず、時間を要してしまうとこのレベルになり、コミュニケーションに問題を抱えてしまう。

❹【責任追及レベル】
請求されたことを実施せず、その結果事故に至り、何らかの損害が生じたときに責任の追及がなされる段階。組織としての改善を求められるレベルとなる。

2⃣苦情対応の基本原則

苦情対応の基本遠足

苦情対応の基本原則は、下記の5つあります。

❶公平性:事業者が設置する苦情解決の仕組みであっても、その基本は利用者の立場に立って対応することが基本となる。

❷公正性:第三者委員という客観的かつ公正な存在が、解決の方向性を正当化しうることになる。

❸迅速性:より迅速な苦情対応は利用者との円滑なコミュニケーションを助長し、より一層の信頼関係の形成を促進する。

❹透明性:苦情を隠蔽することなく、苦情情報をプライバシーを侵害しない範囲内で公開するなど、組織として対応している姿勢を示す。

❺応答性:苦情に対する応答がなされ、それに対する利用者からの反応があるといった双方向のやり取りが継続的に行われて、サービスの質の向上に繋がる。

リスクマネジメントの取り組みの1つ

このように、事故が起こる前に防止するというリスクマネジメントの取り組みの1つとして、苦情解決の対応を積極的に行っていくことが求められます。苦情の受付は「嫌なこと」ではなく、事故防止のための積極的な情報と位置付けて前向きに捉え、少しでも早い段階で利用者と共に解決に取り組むことが必要です。

ヒヤリハット・アクシデント報告]

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