【⑩高齢者及び障害児・者の喀痰吸引概論】吸引実施に関する5つの説明項目とは vol.536

こんにちは 介護ラボのkanaです。今日は「医療的ケア」の中から『高齢者及び障害児・者の喀痰吸引概論』について10回にわけて(呼吸のしくみから吸引についての理解、利用する家族の気持ち…など)書いていきます。今日は最終の10回目です!!

利用者・家族の気持ちに沿った対応と留意点

Contents

1.吸引を受ける利用者や家族の気持ちと対応、説明と同意
 1⃣利用者の吸引に対する気持ち
 2⃣家族の吸引に対する気持ち
 3⃣利用者・家族の気持ちに沿った対応と留意点
 4⃣吸引の実施に関する説明と同意
 (1)吸引実施に関する5つの説明項目
 (2)利用者への説明(声掛け)と同意
2.まとめ

1.吸引を受ける利用者や家族の気持ちと対応、説明と同意

1⃣利用者の吸引に対する気持ち

吸引を必要とする状態とは、何らかの病気や障害により痰を自力で排出することができない状態です。利用者は、自分の病気や障害に対して、「治るのか」「悪化しないか」などといった不安や、症状にと伴う苦痛を抱えています。

また吸引が必要な状態になってしまったことを受け止めるまでに、それぞれの経過に沿った思いがあり、それに伴う苦痛を抱えています。

吸引は、口や鼻からかたい管を挿入します。吸引の間、呼吸を止めるような状態になり苦痛を伴います。

しかし、これらの苦痛があっても、「痰が詰まってしまったら呼吸が苦しくなり、生命に危険をきたしてしまう」というような思いから、吸引を受け入れていることと思います。

または、このような苦痛を伴うことや、吸引の必要性が十分理解できずに、吸引に対して拒否的な気持ちを抱いていることもあります。

そして、利用者は、必要時に迅速かつ安全に吸引してもらえることを望んでいます。

吸引は前もって吸引する時間が確実に推測できるものではありません。昼夜を問わず吸引が必要な場合もあります。

家族への気遣いや吸引をしてもらう者に対して申し訳ないという思いを抱きながら療養を続けいていることもあります。

「吸引」に対する利用者の気持ちは、療養生活の中で日々変化します。喀痰吸引は、利用者の協力が無ければ効果的に実施できないばかりか、危険を伴うことにもなりかねません。

利用者の気持ちを受け止めるとともに、その変化にも留意しながら接することが大切です。

2⃣家族の吸引に対する気持ち

利用者が吸引を必要とする状態になってしまうことに対して、家族も利用者本人と同じように様々な不安や希望を抱いています。

利用者の症状や障害の見通しに加えて、

  • 家族の生活
  • 仕事のこと
  • 経済的な事

など、様々な心配事や不安を抱えている可能性があります。

とくに、退院・退所により、在宅での療養を開始・継続していくには介護の見通しについて考えることが多いでしょう。

喀痰吸引を必要とする利用者の介護では、昼夜を問わず吸引が必要になったり、生命に関わる緊急事態が生じたりするかもしれません。

吸引を家族が受け入れるには、その技術を習得するだけでなく、その覚悟と家族自身が精神的、身体的に健康であることが必要になります。

このような家族の不安や精神的な不安感について、十分に把握しておく必要があります。

また吸引の方法や、介護の体制などについて、家族の希望も十分確認しておくことが大切です。

療養生活の経過に伴い、介護を担う家族の疲労感も増していく可能性があります。家族の気持ちの変化についても留意しておくことが重要です。

また、家族が不安や負担を感じていることを把握した際には、支援の体制そのものについて関係職種を含めた検討が必要なこともあります。

療養経過に沿って家族の気持ちを把握し、その思いを関係職種間で共有できるように、適宜情報を提供していくことが望まれます。

3⃣利用者・家族の気持ちに沿った対応と留意点

このような利用者・家族の気持ちや、気持ちの変化に対して、介護福祉職はまず、それを否定せずに受け止めることが大切です。利用者・家族の気持ちは変化することがあることを念頭におき、療養生活の中で、不安や希望などについて具体的な話を聞くようにしましょう。

また、不安や希望の訴えや相談内容によっては、医療的な対処を必要とすることがあるかもしれません。

例えば、利用者が「痰を取りきるために、もっと長く深く吸引チューブを入れて欲しい」と希望するかもしれません。しかし、吸引チューブを長く深く挿入することは非常に危険な行為です。

そのような時には、利用者の気持ちを受け止めた上で「痰が取り切れていない」という思いがあることを、医師や看護師に連絡相談して、痰をとりやすくする別の専門的な手段を検討・対処してもらうことが必要です。

居宅などでは、日中の間の確実な喀痰吸引や医師・看護職等による専門的な排痰ケアによって、夜間の吸引を軽減し、家族の負担軽減にも繋げられる場合があります。

また、吸引の必要性を十分に理解できなかったり、吸引を受け入れられなかったりして激しく抵抗することもあるかもしれません。抵抗する際に帰って吸引によって身体を傷つけてしまう危険性もあります。

そのような場合には、医師・看護職と共に理解が得られるように説明したり、複数名で関わったりするなど、安全な吸引を行うための方法について十分検討する必要があります。

医師・看護職に対する連絡・相談を通じて利用者の気持ちを共有することは、適切な医療の対応に繋がりますので、非常に重要なことになります。

4⃣吸引の実施に関する説明と同意

吸引は、苦痛を伴います。したがって利用者自身の協力や吸引の実施者との信頼関係が必要となります。そこで吸引の実施に関する説明と同意であるインフォームドコンセント、さらに吸引を実施する前の適切な説明(声掛け)と利用者の同意を確認することが重要になります。

「説明と同意」については、利用者の自己決定に必要な情報をわかりやすく提供することと、自由に決定できる環境が必要です。

インフォームドコンセント
(1)吸引実施に関する5つの説明項目

吸引の実施に関する説明項目

❶なぜ吸引が必要なのか(どのような病状であるから吸引が必要なのか)

❷吸引の方法(どのように実施されるのか)

❸吸引により予想される結果や危険性

❹吸引以外にも痰を取り除く方法があるかどうか、またその方法について

❺吸引をしないことにより予想される結果

異常を十分に説明したうえで、利用者の同意を得なければなりません。その際、利用者それぞれの年齢や理解力に応じた分かりやすく、丁寧な説明が必要になります。

説明を聞くだけでは、恐怖心を増してしまう危険性もあります。

できれば実際の吸引器具等を見せながらイメージできるように説明して、利用者の同意を得ることが必要になります。

また、事前の説明と同意に加えて、吸引を実施する毎に利用者への説明(声掛け)と同意が必要です。

可能であれば、

  • 「呼吸が苦しいか」
  • 「どこにどれくらい痰がありそうか」
  • 「痰が絡む感じがあるか」

など、吸引の希望を確認します。

利用者の希望が無かったり、意思の疎通が困難な場合でも、痰の音や呼吸の仕方、顔色に変化がみられたり、客観的に見て吸引が必要で考えられる場合もあります。そのような時には、その様子を利用者に伝え、吸引したほうが良い理由を説明し、同意を得たうえで実施します。

例えば、

  • 「痰の音がゴロゴロとしてきましたね痰をチューブで吸い取りましょうか?よろしいですか?」
  • 「痰を取る間少しだけ苦しいかもしれませんが、痰が取れると少し呼吸が楽になりますので頑張って下さい」

などといった声掛けをします。

声を掛けて確認する際には、吸引に関する説明と同様、利用者それぞれの状況や理解力、年齢などに合わせた説明や声掛けを心掛けましょう。

ただし、吸引のタイミング(喀痰吸引が必要な状態)は、利用者それぞれの状態や前後のケア(食後・体位変換後や入院前後など)の状況によって異なりますので、事前に十分看護職と相談して確認をしておきましょう。

(2)利用者への説明(声掛け)と同意

前項の通り、事前に声を掛けずに実施すると、吸引の苦痛や恐怖心をさらに増すことになりますので、声掛けは毎回必要になります。合わせて利用者の協力が得られるよう、励ましの言葉も掛けましょう。

吸引に対して否定的な思いを抱いている人や、必要性が十分理解できない人などは、吸引に対して激しい抵抗をするかもしれません。無理に吸引をしようとすると、かえって力をいれて噛んだり、からだの動きによって気道が傷ついてしまうなどの危険があります。

吸引に協力が得られない場合は、

  • 看護職が実施する
  • 複数名で関わる

など、安全策が必要となりますので、看護職に連絡・相談をしましょう。

また、吸引の際に家族が近くにいる状況では、利用者が苦痛を伴う吸引を受ける姿を目の当たりにすることになります。

吸引前の利用者に対する説明と同様、家族に対しても、その都度吸引の必要性を説明して同意を得ることが必要です。

利用者のみでなく、家族とも協力的な関係を築くことが大切です。

更に、吸引の実施後は、まず苦痛を伴う処置を受けたことに対するねぎらいの言葉を掛けたり、吸引の効果を伝えましょう。

例えば、

  • 「お疲れさまでした。痰のゴロゴロという音がなくなりましたね」
  • 「呼吸は楽になりましたか? 沢山取れましたよ」

などと声を掛けます。

居宅などで家族がそばに居る時は、家族に対しても痰が取れたことを伝え利用者の状態を家族と共有しておくことも大切です。

そして、

  • 「痰が十分取りきれたか」
  • 「痛い所は無いか」
  • 「息は苦しくないか」

ということを確認します。

また、言葉によって不快な気持ちなどが表現できない人もいますので、表情の変化などにも留意して確認します。

なお、吸引直後には不快に感じることがない場合でも、時間の経過とともに変化が生じることもあります。

吸引後は、暫く利用者の様子を見て、通常の呼吸状態や行状に戻ったかどうかを確認します。

2.まとめ

  • 「痰が取り切れていない」
  • 「喉が痛い」

などの訴えや、その他の苦痛・不満などがあった場合には、医師・看護職に連絡・相談をして対処を検討してもらいましょう。

利用者も家族も、療養の経過に伴って吸引に対する気持ちが変化することがあることを念頭におき、丁寧でわかりやすい説明や声掛け、励ましをすることが大切になります。

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