こんにちは。介護ラボ kanalogのカナです💚
前回の、【内部障害】心臓機能障害4つに応じた介護と理解 vol.35 の続き、今回は・・・
心臓機能障害の観察・支援、ペースメーカー5つの留意点
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心臓機能障害の観察
心臓機能障害は、日常生活における様々な活動の影響を受け、症状が悪化することがあります。日頃から注意すべき症状を理解することが必要です。
①呼吸
特に左心不全では、労作時(動いている時)や、夜間睡眠時に呼吸困難が起こります。
- 息苦しさの訴え
- 喘鳴(呼吸する時のぜいぜいという音)
- 咳嗽(がいそう:せき)
に注意します。
②体重
心臓機能が低下すると、
- 浮腫(むくみ)腹水
- 胸水など体液の貯留
がみられます。体重測定は、体液貯留の判断に有用なので定期的に体重測定を行い変化が見られたら医療職に報告します。体重の比較が出来るように毎回同じ条件で測定するようにします。
③尿量
心臓機能の低下により、腎臓の血流量が減少すると尿量が減少します。
④浮腫
心不全では、下肢に浮腫がみられます。浮腫は皮膚が薄くなり腫れたような状態となります。また指で押すと跡が残り(圧痕:あっこん)、すぐには戻りません。
⑤ストレス・過労
ストレスや過労は、心疾患の悪化に繋がります。
- 疲労の程度
- ストレスの有無
を把握することが必要です。
⑥不安
心疾患の症状は、死への恐怖や不安を増強させます。利用者が抱える不安や恐怖を言葉で表出出来るような関係を築くことが大切です。不安が強い時は医療職に伝え、症状等の説明をしてもらうことも必要です。
高齢者は自覚症状として典型的な症状を訴えないこともあります。
そのため異常を見逃さないようにしっかりと観察を行うことが重要です。また些細な事でも気づいた事や気になった事は医療職に報告することも大切です。
⑦ペースメーカー装着者
ペースメーカー使用時に次のような症状が現れたら・・・
① 胸が痛い、息が苦しい
② めまいやぼーっとして気が遠くなる感じがある
③ 身体がだるい
④ペースメーカー植込み手術の傷跡が痛む、腫れる
⑤ しゃっくりが頻繁に起こる
⑥ 手足がむくむ
⑦ 脈拍が非常に遅い(徐脈)、または速い(頻脈)
※ペースメーカーの作動を確認する必要があるので、主治医の診察を受けるようにします。
⑧胸痛発作、夜間睡眠時呼吸困難
❶狭心痛
行っていた動作を中止して安静にします。発作時に使用する硝酸薬の舌下錠やスプレーが処方されている場合は、用法に従って正しく使用します。その際、発作が起こった時間、薬を使用した時間、胸痛の持続時間を把握しておくようにします。
狭心痛が生じ、舌下錠やスプレーを3回使用しても痛みが消えない場合は「重症な発作」になります。心筋梗塞の可能性もあるので、速やかにかかりつけの医師か専門病院へ連絡します。
❷発作性夜間呼吸困難
夜間就寝中に苦しくなって目が覚めた場合は・・・
すぐに上体を起こし起座位にします。オーバーテーブルなどを準備して安楽な体位を整えます。
❸心肺停止(死戦期呼吸)
致死性不整脈などにより心肺停止に陥ることがあります。その場合、直ちにAEDを装着し、胸骨圧迫と人工呼吸を開始する必要があります。
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心臓機能障害の日常生活の留意点と支援
心臓機能障害では、からだが酸素や栄養素を必要とする場面で十分な血流を循環させることが困難になっています。そのためADL(日常生活動作)の様々な場面で支障をきたします。
また利用者は心臓が止まって死んでしまうのではないかという不安を抱えていると言われています。
治療の目的は
- 自覚症状の軽減
- 予後の改善
- QOL(生活の質)の向上
とされています。
緊急の場面では適切な対応が取れるよう発作時の症状やその対応方法を十分に理解しておく必要があります。
心臓機能障害の疾病管理として、塩分制限、服薬管理、適度な運動、体重測定、入浴方法などの生活指導が行われます。これらの医学的な指導に基づいた生活支援を実践する必要があります。医療職との連携が大切です。
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【内部障害】心臓機能障害4つに応じた介護と理解 vol.35
【①内部障害】心臓機能障害、呼吸器機能障害について vol.159
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①食事
塩分や水分の過剰摂取は、体内の循環する血液の量を増やし心臓に負担をかけることになります。塩分制限による薄い味付けや食事中の疲労や呼吸困難などは、食欲に影響します。
抗凝固薬(ワルファリン)を内服している場合は、その効き目を弱くしてしまうので、納豆やクロレラ食品などは摂らないようにします。
塩分が制限され薄味の付けになるので、香辛料や酢、レモンやカボスといった柑橘系の酸味を活用します。また限られた塩分を均等に使用した味付けをすると、どれも薄味になってしまうので、本人の好みに合わせ重点的に塩分を使用するなどの工夫も必要です。
水分制限の指示が出されている場合は、1日に摂取できる量の水をポットに入れておき、どのくらい飲めるかわかるようにしておきます。過剰な水分は心臓に負担を掛けますが、利尿薬を内服している場合などでは、水分不足は脱水に繋がるので適切な量の水分を取ることは重要です。口渇に対しては、氷を口に含むと少量の水でも満足感が得られます。
②入浴
からだは、入浴により温熱作用、静水圧作用、浮力の影響を受けます。熱い湯は交感神経が刺激され血圧の上昇をまねきます。また深くお湯につかると静水圧作用により心臓に戻る血液量が増えて負担がかかります。
居室や脱衣室の気温の変化も血圧の変動をまねきます。特に冬季は脱衣室や浴室を事前に温め、気温差をなくすことが必要です。
湯の温度は38~41℃とし、胸までの半身浴とします。入浴時間は10分以内を目安とします。
食事や散歩の後の入浴は避け、入浴後は十分に休息をとるようにします。体調がすぐれない時は、無理をせずシャワー浴や清拭に切り替えることも必要です。
③排泄
排便時にいきむことや、トイレと居室の気温差などが血圧の変動をまねき、心臓に負担を掛けます。
利尿薬を服用している場合は排尿回数が増え、トイレまでの距離が遠いと疲労に繋がります。なるべく血圧の変動を少なくするために、便秘を予防したり、環境を整えることが必要です。
便意がなくても時間を決めて、便座に座り排便を習慣づけるようにします。便座に座ることは腹圧もかけやすく排便しやすくなります。便秘予防には食事内容にも配慮が必要です。食物繊維やヨーグルトなどの発酵食品の摂取は、便秘予防に効果があります。
④活動と休息
活動すると体内の酸素必要量が増え、心臓に負担がかかります。このため息切れや呼吸困難などの症状が現れることがあります。このような症状がみられる場合は、心臓の能力以上の負担がかかっていると考えられるので休息が必要です。しかし過度の安静は、筋力の低下や起立性低血圧などの廃用症候群に繋がり生活の質の低下を招くので、心臓の能力に適した活動が必要です。
息切れ、呼吸困難、倦怠感の増強などの症状がみられない範囲でできることを行ってもらうようにします。動作を行う際は1つひとつゆっくり行い、次の動作を行う際には休んでから行います。また食後1~2時間は安静にするようにします。
身体機能の維持、生活の質の向上、ストレスの軽減等を目的として散歩など気分転換を図ることも大切です。
⑤睡眠
不眠は・・・
交感神経を刺激し、心拍数の増加や血圧の上昇をまねき、心臓に負担を掛けます。
そのため良質な睡眠をとることが必要です。心不全の進行に伴い発作性夜間呼吸困難を生じ睡眠が妨げられることもあります。この場合、息苦しさを感じることなく夜間十分な睡眠が確保できるように安楽な体位の工夫が必要となります。
⑥服薬
指示通り正しく服用することが重要です。食事が摂れなかった場合でも、血糖値を下げる薬以外は、指示通りの時間に服用します。
⑦その他の留意点
●感染予防
感染症は心不全を悪化させるので感染症にかからないよう、手洗い・うがいをしっかり行うようにする。
●たばこ
喫煙により動脈硬化が進みます。喫煙者が虚血性心疾患で死亡するリスクは、非喫煙者の1.5~3倍ともいわれています。ニコチンには強い依存性がありますが、まず喫煙に伴うリスクを理解し、喫煙に挑むことが重要です。
●お酒
タバコと違い、全く飲んではいけないということではないので、症状に合わせて主治医と相談することが必要です。
ペースメーカー装着者の日常生活の留意点
正常に作動しているのかを確認するために、毎日1分間脈拍を測定する必要があります。また別の医療を受けるときにはペースメーカーが埋め込まれていることを医師に伝える必要があります。
不測の事態に備えて、ペースメーカー手帳を常に持ち歩くようにします。
①入浴
通常の入浴であれば特に影響はありません。ただし、電気風呂は機器に影響を与えるおそれがあるので利用しないようにします。
②運動
運動の種類や程度によっては、ペースメーカーのリード線等を破損するおそれがあるので注意が必要です。植込み側の腕に強い力を必要とするような運動は避けるようにします。
③外出(旅行等)
店舗や図書館に設置されている電子商品監視機器や空港などの金属探知機から影響を受けることがあります。ペースメーカー手帳を提示し使用を避けるようします。店舗によっては機器の設置が分からないところもあるので、出入り口では中央付近を立ち止まらないようにして通過します。
④家庭内
IH調理器などには、ペースメーカー植込み部を近づけないようにします。携帯電話使用時は、植込み部の反対側の耳にあて会話をする、携帯電話操作時は、植込み部から15cm以上離すようにします。
⑤電気自動車
電気自動車の急速充電は行わないようにします。また急速充電器が設置されている場所には近寄らないようにします。普通充電器を使用する場合は、充電中に充電スタンドやケーブルに密着するような姿勢を取らないようにします。
この他、身体に電気を通すもの(低周波治療器等)や電磁波が発生するものを使用する際には注意が必要です。
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