こんにちは 介護ラボのkanaです。コミュニケーション技術の中から『失語症』について。今日はコミュニケーション支援、明日はコミュニケーション技術の2回に分けてまとめていきます。
ブローカー失語、ウェルニッケ失語とは?
Contents
1.失語症の特徴と生活への支援
1⃣失語症の特徴
2⃣失語症がもたらす日常生活コミュニケーションへの支援
(1)ブローカー失語:運動性失語
(2)ウェルニッケ失語:感覚性失語
(3)全失語
(4)失名詞失語
1. 失語症の特徴と生活への支援
1⃣失語症の特徴
「失語症」とは、大脳の言語にかかわる部位である言語野が、脳梗塞や脳出血などにより損傷を受けることで起こる言葉の障害です。
失語症というと多くの人は「話せなくなる障害」をイメージするかもしれませんが、単に「話す事である発語」が出来なくなるだけではなありません。
言語には、
- 「人の言うことを聞いて理解する:聴覚的理解」
- 「書かれたものを読んで理解する:視覚的理解」
- 「話す:発話」
- 「字を書く:書字」
といった4つの機能があります。
失語症は、その全てに何らかの低下がみられます。
2⃣失語症がもたらす日常生活コミュニケーションへの支援
失語症は、言葉の4つの機能が多かれ少なかれ低下するので、日常生活でのコミュニケーションに大きな影響を及ぼします。また、これまで当たり前のように使えていた言葉が、ある日を境に急に使えなくなるのですから、本人の戸惑いと落胆は相当なものになります。
失語症は大きく分けて次項にまとめる4つのタイプに分類されます。
タイプごとに特徴的な症状があるので、タイプ分類を知っていると日常生活にどのような支障が起こるか、どう支援したらよいかのヒントが得られます。
ただし、同じ失語タイプであっても重症度が違うと現れる症状も異なることを理解しておく必要があります。
(1)ブローカー失語:運動性失語
「ブローカー失語:運動性失語」とは、相手の言っていることや書いてあることはある程度理解できますが、自分の言いたいことを言葉で伝えることが難しいタイプです。
話し始めがぎこちなく、たどたどしい短い言葉を途切れ途切れに話す「非流暢な自発語」が特徴です。
言いたいことが喉まで出かかっているのに出てこない喚語困難や、別の言葉が出てしまう錯語といった症状も見られ、歯がゆく、もどかしい思いを抱えます。
- 錯語とは?
-
自分が言おうとした言葉と違う言葉が出てくること。意味が類似している場合(意味性錯語)「りんご」を「みかん」と言ったり、音が類似している場合(音韻性錯語)「とけい」を「とたい」などと言うことがある。
また書字も障害されますので、言えないことを文字で書くということも難しいです。
軽度の場合は、「明日は午後から病院です」などの分が理解でき、日常的に交わす会話であれば、概ね理解可能です。但しそれらの文を続けて話されると話についていけません。
また「昼にお寿司を食べたい」などの文を話すことが出来ますが、たどたどしく、時には詰まったり、別の言葉が出てきたりすることもあります。
中度の場合は、「 明日は午後から病院です」のうち、「明日」「午後」「病院」のどれかが抜け落ちて、一部分しか理解できないことがあります。
また伝えたいことを文で話すことが難しく、「昼」「お寿司」といった、単語を並べたような話し方になります。
重度の場合は、「病院です」などの単語が理解できないこともあります。但し、「薬」「お医者さん」などよく使う言葉(高頻度語) に言い換えると理解しやすいです。
伝えたいことを単語で話すことも難しい場合が多いです。但し「お寿司?」「刺身?」と選択肢を示せば、「はい」「いいえ」あるいは頷きや首振りで意思を示すことが出来ることもあります。
(2)ウェルニッケ失語:感覚性失語
「 ウェルニッケ失語:感覚性失語 」とは、相手の言っていることを理解するのが難しいタイプです。ブローカー失語と違い、話し始めに努力やぎこちなさがなく、流暢で、どちらかというと多弁です。
ただし、その内容は助詞・助動詞・代名詞である「です」「ます」「ここ」「そこ」が多く、意味のある言葉が少ないため、沢山話すわりに内容が乏しく、結局何を言っているのかわからないという状態になります。
錯語が連続して、外国語を話しているかのような発話であるジャルゴンになってしまう場合もあります。
自分が話す言葉を自分の耳で聞いても理解できなかったり、逆に自分では正しく話していると思い込んでいたり、本人も状況が掴めず困惑してしまうこともあります。
軽度の場合でも、「明日は午後から病院です」などの文を理解できません。また錯語が多くみられ、例えば「昼にお寿司が食べたい」が「ハラニハ、スシニタベマス」といった、こちらが推測するのが難しいような発語になることもあります。
重度になると、こちらの言っていることが全く理解できないことが多いです。指差しやジェスチャーなどが表す意味も分からないため、直接手渡ししたり、手に取って連れていったりなどの他動的な関りが必要となります。
(3)全失語
「全失語」とは、脳の損傷が広範囲に及んでいるため、言語の全ての機能が重度の障害を受けています。
聴覚的理解では簡単な単語もわからないほど低下し、発語は意味不明で不明瞭な音の羅列となることが多いです。たとえば、「そうそう」「はい」などの限られた発話で、何かを伝えようとする場合もあります。
イントネーションや表情で、ある程度はこちらが意図を汲むことが出来ます。
(4)失名詞失語
「失名詞失語」とは、失名詞が主症状です。発話は流暢で、長い文章を話せますが、言いたいことが出てこなくて「それ」「あれ」などの代名詞で置き換えたり、違う言葉で補ったりするため、回りくどい話になる傾向があります。これを迂言といい、聴覚的理解、視覚的理解、書字は軽度に障害されます。
※失名詞とは、言いたい語が言えない症状の1つで、主に名詞が障害されること。
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