こんにちは💚 介護ラボのkanaです。今日は「障害の理解」の中から『重度心身障害』について、今日と明日の2回に分けて書いていきます。
重症心身障害の特性の理解(大島分類)
Contents
1.重症心身障害とは
2.障害の原因と分類
1⃣分類(大島分類)
2⃣医療的ケア児
3⃣原因疾患(3分類)
3.障害の特性の理解(7項目)
1⃣筋緊張亢進
2⃣姿勢障害
3⃣呼吸障害
4⃣咀嚼嚥下障害
4.重症心身障害に併発する9つの二次障害
1.重症心身障害とは
重症心身障害とは、何らかの原因疾患によって脳に障害が生じ、
●重度の肢体不自由と、
●重度の知的障害
が重複した状態をいいます。周産期や新生児期の原因により発症し障害を有する場合が殆どです。重症心身障害児(者)という用語は、医学的診断としての用語ではなく、行政的な意味合いの強い用語です。重症心身障害児(者)の状態は、前述のように脳の障害による運動障害と知的障害の重複した障害ですが、それだけではなく感覚障害や咀嚼嚥下機能障害、排泄障害、呼吸機能障害、骨格異常などの様々な障害や合併症を生じる場合も少なくありません。
- 重症心身障害児(者)の定義とは?
-
国による重症心身障害児の定義は次の通りである。●昭和38年厚生労働省次官通達「身体的精神的障害が重複し、かつ重症である児童」。●昭和42年改正児童福祉法「重度の精神薄弱及び重度の肢体不自由が重複している児童」
日常生活においては、自らの力で動作や活動を行うことが殆ど出来ないため、ほぼ全ての動作に渡って介助が必要となります。また、寝返りや四肢体幹の運動も不可能な例が多いため、不動による二次障害をきたすことに注意が必要です。
重症心身障害児(者)の数については公表されたデータはありませんが、全国の在宅の超重症児者・準超重症児者数は、推計で8000人程度といわれています。施設入所中や病院入院中の数を合わせると更に多いのと推定されています。
2.障害の原因と分類
重症心身障害は医学的根拠に基づいた診断名ではないため、明確な診断基準はありません。慣例的に「大島の分類」によって日常生活活動と知的能力で判断される場合が多いです。
1⃣分類(大島分類)
大島の分類では、1~4の範囲(すなわち知能指数(IQ)が35以下、日常生活が寝たきり~座位保持までの範囲)に当てはまるものを重症心身障害児(者)としています。また、5~9については、1~3の定義に当てはまりにくいもの、
❶絶えず医学的管理下に置くべきもの
❷障害の状態が進行的と思われるもの
❸合併症があるものが多いため周辺児(者)
としています。
上記のうち、特に日常生活で呼吸管理や栄養管理、排泄管理などの医学的な管理が常に必須である場合、別に設定されている判断基準のスコアに応じて、
- 超重症児(者)
- 準超重症児(者)
といいます。
2⃣医療的ケア児
2016年(平成28)の児童福祉法の改正によって、経管栄養(経鼻経管・胃ろうなど)や、気管切開・人工呼吸器、喀痰吸引、ネブライザーなどの医療的な管理が必要な小児を「医療的ケア児」と呼ぶようになり、自治体にはそのための支援について努力義務が課されました。
医療的ケア児の全てが重症心身障害児ではありませんが、重症心身障害児の多くは、何らかの医療的ケアを必要としています。
3⃣原因疾患(3分類)
原因疾患は下記の表に示すように、
- 出生前の胎生期の原因によるもの
- 出生時や新生児期の原因によるもの
- 周産期以降の原因によるもの
にわけられます。
出生前の胎生期の原因によるものでは、胎内でのウィルスや細菌などに感染(胎内感染)、小頭症などの脳奇形、染色体異常など遺伝に関係した疾患などが多いです。
出生時・新生児期の原因では、分娩時の異常、高ビリルビン血症、低酸素脳症、低出生体重児、重症仮死などの疾患が多いです。
また周産期以降の原因では、脳炎、髄膜炎などの中枢神経系感染症、てんかん後遺症、頭部外傷などが多いです。
重症心身障害の原因疾患
❶【出生前(胎生期)の原因】
・胎内感染 ・小頭症 ・尖頭症
・脳奇形 ・染色体異常
❷【出生時・新生児期の原因】
・分娩時異常 ・高ビリルビン血症
・低酸素脳症 ・低出生体重児
・重症仮死
❸【周産期以降の原因】
・脳炎 ・髄膜炎
・頭部外傷 ・てんかん後遺症
3.障害の特性の理解(7項目)
重症心身障害者の障害特性7項目
❶筋緊張亢進
❷関節拘縮・関節変形
❸姿勢障害
❹咀嚼嚥下障害
❺排泄障害
❻呼吸障害
❼日常生活動作
・寝返り、起き上がりなど基本動作の障害
・排泄・食事・整容・更衣など全介助
・移乗動作、座位保持は困難、介助を要する
1⃣筋緊張亢進
筋緊張亢進とは、主に脳の障害によって生じるため、肢体不自由に加えて筋肉の緊張が異常に高まっています。筋肉の緊張の高まりいよって、関節の動きが制限されたり、関節が特定の方向に動かされたりして、頭頚部が過伸展する姿勢や一方向へ回旋させる姿勢になりやすくなります。
2⃣姿勢障害
両肘関節や両手関節を屈曲させる姿勢や片方の上肢を伸ばしもう一方の上肢は屈曲する姿勢である非対称性頸反射などの様々な姿勢の異常が生じます。
また、長期間に渡ってこれらの異常な姿勢が続くことによって、脊柱骨のアライメントが崩れて、側彎や後彎、脊椎のねじれや胸郭変形である扁平化などの骨格変形が生じます。下肢でも股関節開排位や膝伸展位など特有の姿勢異常をきたします。
これらの姿勢異常によって、体位変換を困難にしたり、おむつや更衣などの介助、車いす座位などを困難にしたりすることが多いです。また、姿勢異常や筋緊張の異常は、関節拘縮、関節変形、筋力低下、筋委縮などの合併症のみならず、咀嚼嚥下障害、消化管機能の低下、排泄障害の原因となります。
3⃣呼吸障害
重症心身障害には、呼吸障害をきたす症例が多くあります。この要因として、「中枢性の呼吸障害」と「末梢性の呼吸障害」が考えられます。
- 中枢性の呼吸障害:呼吸中枢の障害によって呼吸のリズムや深さが一定に保てなくなり呼吸困難を生じます。
- 末梢性の呼吸障害:舌根沈下や頸部過伸展による下顎の後退などによって気道狭窄が生じて呼吸困難となる場合や、唾液の呑み込みが上手くできずに気管に垂れ込み、気道を塞いで呼吸困難になる場合、呼吸筋力の低下や胸郭変形によって痰の喀出(吐き出す事)が出来なくなり呼吸困難となる場合など様々です。
- 呼吸器機能障害が重度の場合:気管切開が行われ気管チューブが挿入される場合もあります。また、酸素投与や人工呼吸器での呼吸管理が行われる場合もあります。
4⃣咀嚼嚥下障害
重症心身障害では、咀嚼嚥下障害を合併ししている場合が多くあります。経鼻チューブや胃ろうのチューブから栄養を補給していることもあります。食事の経口摂取によって誤嚥をきたし、誤嚥性肺炎になる場合もあります。排尿障害などから膀胱留置カテーテルによる排尿が行われている場合ももあります。
4.重症心身障害に併発する9つの二次障害
【重症心身障害に併発する二次障害】
❶筋力低下・筋委縮
❷関節拘縮・関節変形
❸脊柱側彎・後彎
❹胃食道逆流症
❺機能性イレウス
❻便秘
❼骨粗鬆症と骨折
❽褥瘡
❾低栄養状態
など
日常生活は殆ど寝たきりのままで、起き上がり、寝返りなどの基本的動作は困難であり、日常生活に介助を要する場合が多くなります。また、殆ど寝たきりの状態であるため座るなどの姿勢を取れないことから、骨がもろくなり、骨粗鬆症になりやすく少しの外力で骨折しやすくなります。
知的障害が重度であることや、音声器官の麻痺によってコミュニケーションをとることが困難な場合も多いです。重症心身障害に併発する二次障害として「胃食道逆流症」「機能性イレウス」「便秘」「褥瘡」「低栄養状態」などがあります。
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