こんばんは★ 介護ラボ・kanalogのカナです。今回は・・・
適応とは…適応機制・ライチャード2つの分類について
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適応とは何か?(フラストレーション)
私たちが日常生活や社会生活を送るとき、その環境や状況の中で欲求が起きます。
現実社会との調和がとれず、必ずしも欲求が満たされるとは限りません。欲求が満たされtないときに、葛藤や不安、悩みなどの情緒的緊張が生じ、この心の状態を欲求不満(フラストレーション)といいます。
欲求不満(フラストレーション)とは?
他人に対する暴力的行動に代表される「攻撃反応」、現在の精神水準よりも低い水準に逆戻りする「退行反応」、目的から外れ意味のない行動にこだわる「固着反応」などのこと。
この反応が現れ、健康な社会生活を困難にする場合があります。
欲求不満を感じることなく、こころの安定を保ち生活することを適応といいます。
適応には無意識のこころの作用が必要であり、この作用を適応機制といいます。
適応機制には,、
- 投射
- 退行
- 逃避
- 昇華
などがあります(後述に図あり)。
この他にも様々な適応機制が存在すると考えられており、ヴァイラント(Vaillant,G,E.)の4分類が知られています。
適応の異常とは
神経症性障害は適応機制の内容が不適切であるときに発症する可能性があるとされています。また、欲求不満の原因となったストレスをにうまく適応できないと、健康な日常生活や社会生活を送ることが困難になります。
適応障害とは??
明らかなストレスとなる要因に反応して3か月以内に出現し、他の精神障害が除外された情動的な反応のこと。
また、日常的なストレスをはるかに超えてこころに強い影響を与えた出来事に遭遇した後、精神症状を発症することがあります。数日以内に発症して1か月以内に収まるものを急性ストレス反応と呼び、長期に持続するものをPTSD(Post-traumatic stress disorder:心的外傷後ストレス障害)と呼びます。
適応機制の理解として、欲求が充足されない欲求不満状態が継続すると、不快な緊張状態である心理的な不適応状態が生じやすくなります。それを緩和し、心理的適応である安心や満足などを得るためのこころの働きとして、「適応機制)防衛機制)」があります。勿論それによって真の欲求に対する満足が得られるわけではなく、場合によっては社会的に不適応な行動を引き起こす場合もあります。
欲求が充足されない状態が継続することによって、適応機制による行動を引き起こすことがあります。そうしなければ心理的に耐えられなかったり、そうせざるを得なかったりする場合もあります。勿論すべての行動が適応機制で説明できるわけではありませんが、行動の背景にある心理的理解の1つの可能性だと考えることが必要です(適応機制には下記の表のようなものがあります)。
ヴァイラントの4分類(精神的防衛/未熟な防衛/精神症的防衛/成熟した防衛)
ヴィラントは成熟度に沿った4分類を示しました。防衛機制の種類をできるだけわかりやすく下記で説明します。(下記表に記載)。
- ✅ヴァイラントの4分類と代表的な適応機制/防衛機制の例
- ❶【精神病的防衛】
●投射(投影):自分の容認しがたい欲求や感情を他者の中にあると考えて、それを指摘・非難する機制
例)本当は好きだけど、相手が自分のことを好きと言いふらす
❷【未熟な防衛】
●退行:より以前の発達段階に逆戻りして、甘えるなどの未熟な行動をとる機制
例)4歳の子供が、母親に赤ちゃんが生まれたことから、指しゃぶりやお漏らしをするようになった
❸【精神症的防衛】
●抑圧:容認しがたい欲求や感情を意識の表面にあらわれないように抑えつけ、意識に上らせないように(無意識のうちに忘れてしまう等)する機制
例)辛い失恋をしたことを、思い出そうとしても思い出せない
●補償:ある一面での劣等感情を、他の面での優越感情で補おうとする機制
例)走るのは遅くて体育は苦手だけど、勉強なら負けない
●置き換え:ある対象に向けられた欲求や感情(愛情・憎しみなど)を他の対象に向けて表現する機制
例)いじめられても仕返しができず、自分の妹をいじめる
●代償:本来の目的が得られないとき、獲得しやすい代わりのものに欲求を移して我慢する機制
例)ブランド物のお財布が欲しいけど、偽物で我慢する
●反動形成:知られたくない欲求や感情と正反対の行動をとることによって、本当の自分を隠そうとする機制
例)大好きなのに嫌いなふりをしたり、意地悪をしてしまう
●逃避:不安、緊張、葛藤などから(白昼夢・空想や疾病などに)逃げ出してしまうことによって、自己の安定を求める機制
例)学校に行きたくなくて、お腹が痛くなる
●合理化:自分に都合のより理屈付け・言い訳をすることで、自分の失敗や欠点を正当化する機制
例)テストの日にお腹が痛かったから仕方ない、お腹が痛くならなかったら合格していたはず
❹【成熟した防衛】
●昇華:社会的に承認されない欲求や情動(性的・攻撃的)を、社会的に認められる形で満たそうとする機制
例)抑圧された感情を、音楽や絵で表現する
●同一化(同一視):満たせない願望を実現している他者と自分とを同一化することにより、あたかも自分自身のことのように代理的に満足する機制
例)うちの長男は現役で芸大に入学したと自慢する、好きなタレントのファッションをまねをする
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高齢者の人格と適応
人は様々な適応を繰り返して生きていきますが、その方法は個人の人格を形成していきます。
ライチャード(Reichard,S.)は高齢者を5つのタイプに分類しましたが(下記に表あり)、1人ひとりの利用者は多様な自分史を持ち、それぞれが違う人格を持っています。
介護現場においては、この分類を使って人格を決めつけるのではなく、不適切な適応といった利用者が抱える課題を認識し、よりよい援助を行うために活用するよう心掛けることが大切です。
ライチャードによる高齢者の人格分類(適応的:円熟型/依存型/防衛型、不適応型:自責型/他罰的憤慨型)
- ✅ライチャードによる高齢者の人格分類
- 【適応的なグループ】
❶円熟型
●未来志向型、積極的な社会参加
●年を取った自己をありのままに受容、人生に建設的な態度、積極的な社会活動などを維持し、それらに満足を見出だす(定年退職後も建設的に暮らそうと努力する)
❷依存型:ロッキングチェアー型
●他人に依存し受け身的、定年退職を歓迎
●受動的で消極的、責任から解放されて労われることを好み、それらに満足を見いだす(責任から解放されて楽に暮らそうとする)
❸防衛型
老化に対する不安と拒否があり、その反動として積極的な活動を維持し続けることによって防衛できると眼が得る(仕事への責任感が強い)
【不適応型グループ】
❶自責型(内罰型)
過去を悔やみ、人生の人生を失敗とみなし、自分に原因があると考え自分を責める(死を恐れない)
❷他罰的憤慨型(外罰型)
自責型と反対に、自分の不幸を他人のせ
まとめ
ライチャードは引退後の男性を対象にして、サクセスフルエイジングが出来ている人と、そうでない人の人格の傾向について5つのタイプにまとめています。
- 円熟型
- ロッキングチェアー型
- 自己防衛型
は、老年期に適応的なグループを分類したタイプであり、
- 内罰型
- 外罰型
は、不適応的なグループのタイプ分けをしたものです。
- サクセスフルエイジングとは?
-
年を取ることを受け入れうまく加齢に適応すること。老化に適応し幸せな老年期を過ごし、主観的に幸福と感じる状態をいう。
ライチャードは、円熟型以外は若いころに個人的な適応に困難を抱えている場合が多く、その性格傾向は生涯を通じて変化は少ないとしています。
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