こんにちは
介護ラボ・kanalogのカナです。今回は、
介護過程の意義と根拠(エビデンス)のある介護
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介護過程とは
介護過程とは、利用者の生活上の課題解決に向けて取り組むプロセスの事です。
食事介助1つとっても、利用者の状態によって食べられない原因(箸を持てないのか、食欲がないのか、など)は異なるため、決まった介助の提供はできません。異なる利用者それぞれに適切な介助を提供するためには、ただ単に介護の知識・技術を知っているだけでは不十分なのです。
利用者のできること、できないこと、望んでいることなどを把握して、その人の状態に応じた計画的で科学的なプロセスを経て決定されるのです。
介護過程とは、より厳密にいえば「人間としてあたりまえの日常生活を送るうえで、生活上の困難、支障を抱えている人の生活課題を解決するために取り組む、科学的活動のプロセス」です。
①介護過程のプロセスとは
介護過程は、利用者のこれまでの生活歴や、現在の生活状態を知ることから始まります。
次にその生活状態にどのような困難や課題が生じているのか、また今後どのような困難を生じる可能性があるのかを考え、生活上の課題を明確にします。
それによって明らかになった困難や課題に対して、解決するための介護目標を設定します。
目標を設定したら、利用者の状態にあった介護実践をするための具体的な支援内容とその方法を介護目標別に組み立てます。この目標を立て、支援内容を決定するまでを、介護過程の立案と言います。
そして、介護計画を介護チームで共有し、介護計画に基づく介護実践を一定の期間実施します。
最後に一定期間後に介護計画に基づく介護実践の成果を評価することになります。
以上のプロセスを介護過程と言います。
これら一連のプロセスを繰り返し行い、利用者の生活課題を解決することを目指します。つまり、介護過程は利用者の生活課題を解決するために取り組む課題解決の思考過程であることを意味しています。
②介護過程の全体像
①利用者の生活状態を知る
⇓
②利用者の生活上の課題を明確にする
⇓
③介護目標の設定、支援内容・方法を組み立てる(介護過程の立案)
⇓
④介護計画に基づく介護を実践する
⇓
⑤介護の実施の成果を評価する
⇓
評価の結果によっては再アセスメントを行い、この過程を繰り返す
介護過程の意義・目的
なぜ「利用者の生活課題を解決するための思考過程」が介護福祉士に求められるのか?
介護福祉士が利用者によって異なる生活課題に応じて、その人らしい生活ができるように支援する役割を担っているからです。
介護過程を用いて利用者の抱える生活課題を解決する取り組みは、利用者の心身の状況に応じた介護過程の実践を可能にします。つまり『個別ケア』の提供に繋がります。
個別ケアの提供のためには、介護過程の展開に基づく介護実践が不可欠ということになります。
❶学んだ専門知識の統合
介護過程の展開は、経験上、又は、場当たり的の行えるものではありません。
生活課題を明確にするためには、1つに専門知識、2つにそれを用いた課題解決思考が求められるからです。
注意しなければならないのは、専門知識だけではなく専門知識を用いた課題解決思考も必要なことです。専門知識を持っていても、それをどのように組み合わせたらよいのかが分かっていなければ、その知識は生かせないからです。
課題解決思考を習得できているがゆえに、バラバラの知識を意味のある形で関連付け、利用者の生活課題の解決という目的に向けて統合することが可能になります。
このような課題解決思考の枠組みを習得するには、学習の積み重ねと一定の時間が必要です。
❷思考過程を文章化する定義
課題解決の思考過程は、生活支援技術などの技術の修得とは異なり、頭の中で考えることであるため、文章化しない限り目で見て確認することができません。
適切に考え思考過程を進めることができているか、それを確認す津為に記録洋式に文章で記入し、思考の方法を学習します。そうすることで、利用者の心身の状況に応じた、その人らしい生活支援を実践できる能力が育成されます。
❸介福祉士の専門性
介護福祉士にとって、介護過程の展開を身につけることは、まさに『介護福祉士の専門性』を発揮するために必要不可欠です。
介護福祉士の専門性とは、介護福祉士が行う介護実践1つひとつに、科学的な根拠があるということです。
例えば、同じ四肢麻痺があってもその人の性別や年齢、生活歴、思いが違えば支援の方法は異なってきます。なぜその人に、そのような支援を行ったのか、説明できるのが専門性を持った介護福祉士のあるべき姿です。
介護過程の展開は、それぞれに異なる利用者の生活支援において、個別ケアの方向性や具体的な介護方法を示します。これは、今日の日本国憲法や社会福祉において目指されていることと同じです。
つまり、個人の尊重(日本国憲法第13条)のもとに利用者に自己決定権を保障し、その人の目指す生活や自己実現に向けて、生活の主体者である利用者と共に取り組むプロセスなのです。
❹根拠(エビデンス)のある介護
今日の介護実践に問われているのは、根拠(エビデンス)のある介護の実践です。
ではなぜ。根拠のある介護実践が求められるのでしょうか。
日本では「福祉は国民の権利である」と明示されています。この考え方をもとに、介護保険制度が整備されました。介護保険制度では、保険料の拠出(権利)に見合うサービスの提供(義務)が求められています。
それゆえ、提供された介護サービスが本当に「利用者の心身の状況に応じた介護」となっているのか、その根拠を示す事が求められているのです。
日々提供される介護サービスが、提供場面においてどのような役割を担い、利用者の何に繋がっているのかについて、介護福祉職が認識できていない場合は、冒頭の1.介護過程で書いた、単なる業務としての断片的な介護に実践になりがちです。それは本来の介護サービスとは大きな違いを生じることになり、利用者の権利に見合う義務を果たしていないことになります。
介護過程の全体像
①アセスメント
「利用者の生活状態を知る」を専門用語で情報収集と言います。
「情報収集」では、利用者の生活の全体像を把握することを必要としています。そのため、人が生きるという複雑な生活を複雑なままにとらえるモデルとして提唱されているICF(International Classification of Functioning Disability and Health:国際生活機能分類)モデルを活用して、情報収集を行います。
「利用者の課題を明確にする」ことを、情報の解釈・関連付け・統合化と言います。
アセスメントでは、多様な情報がどのように絡み合い生活課題を引き起こしているのか、情報の解釈・関連付け・統合化をすることで生活課題を明らかにします。ICFモデルを使い、利用者の生活の全体像を把握するからこそ、情報の解釈が可能となります。
②介護計画の立案
アセスメントに基づき、介護過程の立案を行います。生活課題を引き起こしている原因が明確になることで、初めて課題を解決するための介護目標を設定することができます。この段階に至ると、介護目標を達成するために何をどのような方法で実践したらよいのか、介護福祉職の行為として具体化できる状況になります。
③介護の実施
介護の実施は、介護計画に基づいて行われます。介護計画により、介護福祉職の行為が具体化されていることで、介護福祉職1人ひとりが、根拠を持った適切な関わりを出来るようになります。
④評価
最後に評価を行います。一定の期間に実施された介護実施について、その介護目標の達成がどの程度であるかが評価の対象となります。
達成度を判定するためには、その目標はどの生活課題を解決するために設定されたものであるのかを明確にしておく必要があります。
さらに、設定した介護目標の根拠となった生活課題を再確認し、生活課題を引き起こす原因になっていた事柄の変化の有無と、その程度を観察することが求められるからです。
評価の結果によっては再アセスメントを行い、この過程を繰り返します。
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介護課程とICF(国際生活機能分類)
介護課程の展開では、ICFモデルやICFの考え方が密接に関連しています。それは介護福祉の理念である『その人の状態に応じて自分らしく自立した生活を支援する』ことと、ICFの目指す『その人の持てる力を重視してその人らしく生活を活性化させる』ということが、表現は違っていても目指す生活像は類似しているためです。
今日の高齢者像は、病気や障害により、多様化し、また重度化している傾向にあります。利用者はそれらの病気や障害と向き合って自分らしい生活を営んでいます。介護福祉職は、病気や障害がその人の生活機能にどのように影響しているのかを考え、解決策を示す事が必要です。
ここで活用したいのが、ICFの考え方です。ICFは、医療モデルと社会モデルの統合モデルとして提唱されています。
ICFの医療モデルと社会モデルとは?
医療的側面と福祉的側面から解決策を探るということ。介護福祉職が目指すその人らしい自立支援において、ICFの考え方は重要な位置づけにあります。
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