介護ラボのkanaです💛 今回は「傾聴」について。6つの技法についてまとめていきます!
【比較】開かれた質問と閉じられた質問
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傾聴
1⃣「聞く」と「聴く」の違い
相手の話を「きく」という行為は、漢字で表すと「聞く」と「聴く」の2種類に分けることが出来ます。その違いは何でしょうか??
- 「聞く」は、英語のhearingにあたり、音や耳に届くことを意味します。相手の声を音声として聴覚でとらえている状態で、特に意識せず声が自然に耳に入ってきているので、あまり記憶に残らず、場合によっては聞き流すことも出来ます。
- 「聴く」は、英語のlisteningにあたり、意識して聞き取ろうとすることです。相手の伝えたいメッセージを注意深く受け止め、理解しようと積極的につとめる態度です。相手のメッセージをこころで「聴く」こと、脳で理解しながらついていくこと、相手に合わせることとも言えます。
2⃣傾聴のための技法(6つ)
傾聴とは「聴く」こと、と言えるでしょう。
傾聴するためには「相手の話を聴きたい、相手を理解したい」という気持ちや熱意を持っていることが前提です。しかし熱意だけでは傾聴を成し遂げることはできません。そこで傾聴のための技法を活用することが必要になります。
傾聴のための6つの技法
❶うなづく
❷相づちを打つ
❸相手の言葉を繰り返す
❹適切な質問をする
❺話を要約する
❻沈黙を大切にする
これらの❻つの技法は、
- 「私はあなたに関心を持っています」
- 「いま私はあなたの話を真剣に聴いています」
- 「あなたが話したいことが分かったように思います」
などという気持ちを相手に伝え、利き手側の熱心さの証になります。
このような態度で話を聴いてもらうと相手は、
- 「この人は私を理解してくれようとした」
- 「この人に聴いてもらって良かった」
という安心感や嬉しさが自然と生まれます。
次項から、この❻つの技法についてまとめていきます。
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(1)(2)うなずき・相づち
私たちは、自分の話に相手が「うんうん」と頷いてくれると、気持ちよく話を続けられるものです。このうなずきはコミュニケーションの基本になります。
そして、このうなずきは、「速度」「回数」「タイミング」が重要になります。
相手の話に合わせながら話の途切れめにうなずく、大事な話のときは深く何度もうなずく、といった工夫が必要です。
そこに、相づちが入ると効果はより一層上がります。
うなずきながら、
「なるほど」
「そうだったんですか」
「へぇ~」
などという言葉を時折はさみます。この相づちを挟むタイミングも重要です。
こちらのペースではなく、相手のペースに合わせて話がうまく繋がるように声を掛けます。
相づちの言葉のバリエーションを持っておくことも大切です。相手が何を話しても「うんうん」というワンパターンの相づちでは会話は広がりませんし、
- 「本当にこの人は私の話を聴いているのか?」
- 「軽くあしらっているのではないのか」
というような、利き手に対する疑念やマイナスの感情も沸いてしまいます。
また、相づちは無理に絞り出すものではありません。
相手の話の流れに沿って、驚いた時には「えっ?」、感心した時には「すごい」など、自分が感じたままを言葉にします。
そのためには自分がリラックスすることも大切です。
(3)繰り返し
「嬉しい」「楽しい」といった話の場合は、相づちもすんなり出てきやすいのですが、「悔しい」「辛い」といった話の場合は、口ごもったり相づちが思い浮かばなかったりすることも多くなります。
- そのようなときに使いたいのが「繰り返し」です。
例えば利用者さんが「うちに一人でいる奥さんが心配だ、早く帰らないと」とボソッと話したとします
その時に「今日入所したばかりだから帰れないんですよ」と事実を伝えたり、「大丈夫ですよ」と励ましたりする前に、まずは”相手の言葉を繰り返す”のです。「心配ですね」と、一言繰り返すことで、相手は「受け止めてもらえた、分かってもらえた」という気持ちになります。
そして「奥さんは買い物がいけないから心配だ」というような心配事の中身が語られたり、「いつ頃帰れますか?」と質問が来たり、話の展開に期待が持てます、
繰り返すためには、相手の言ったことを正確に聴いていなければなりません。繰り返しの技法を使おうとすれば、必然的に相手の話を集中して聴くということに繋がります。
(4)適切な質問
傾聴とは、相手の伝えたいメッセージを理解するために聴くことです。
ただ、こちらがどんなに熱心に耳を傾けても、相手が何を言いたいのかわからないようなことがあります。
そのような時、適切な質問をして、相手の言いたいことを引き出したり、明確にしたりする必要があります。
❶開かれた質問と閉じられた質問
質問にはいくつかの方法がありますが、
- 開かれた質問(オープン・クエスチョン)
- 閉じられた質問(クローズド・クエスチョン)
の2つは代表的な技法です。
開かれた質問とは「どう思うか?」など、回答の範囲を限定せずに相手に自由に答えさせる質問の仕方です。英語の5W1Hの問いかけと言えます。
・What?:何を
・Why?:なぜ
・Where?:どこで
・Who?:誰が
・When?:いつ
・How?:どのように
といった、相手に詳しく具体的に状況を話してもらうための質問です。自分のペースで語れるので、何を話してもよいような雰囲気が生まれ、本音を話しやすくする効果もあります。
閉じられた質問とは、相手が「はい」「いいえ」又は「AかBか」のどちらかを選んで答えられるように質問する方法です。
この質問の利点は、短時間ではっきりとした答えが得られることです。
特に認知症などでコミュニケーション能力が低下している場合は、閉じられた質問が役立ちます。
例えば、「どこに行きたいですが?」という質問で答えが得られなかったとしても、「デイルームですか?自分の部屋に戻りたいですか?」と選択肢をあげれば、利用者さんは「はい、いいえ」で答えを示したり、「自分の部屋」と意志を伝えたりすることが出来ます。
※閉じられた質問を多く用いると、利用者さんの話の展開を介護福祉職側から狭めてしまう場合もあります。介護福祉職の指し示す方向や内容に話を誘導してしまう危険性があるので、利点と欠点を理解し、状況に応じた使い分けをすることが必要です。
【比較】開かれた質問と閉じられた質問
開かれた質問
・感想はどうですか?
・○○さんはどう思いますか?
・このあとどうしますか?
・昨日のドラマの結末、どうでしたか?
閉じられた質問
・お茶が良いですか?それともお水が良いですか?
・嬉しそうですね?
・面白くないですか?
・散歩はデイルームがいいですか?それとも中庭がいいですか?
・朝食はパンがいですか?それともご飯がいいですか?
(5)話の要約
「要約」とは、会話の内容を総合的にまとめ、相手に伝える技法です。
要約して返されることで、相手は自分の考えや気持ちがすっきり整理され、自分の言いたかったことを改めて確認・納得することが出来ます。そして、
- 「この人は自分をよくわかってくれる」
- 「この人と話すとすっきりする」
という介護福祉職への信頼感や、また話そうという意欲にも繋がります。
相手の話を要約する過程で「本当にこのようなまとめ方でよいのだろうか?」と不安や自信がなくなったり、戸惑う場面もあるかもしれません。
そのような時は、「Aさんがおっしゃったことは、こういう事かなと思ったのですが合ってますか?」と、率直に確認してみるのが良いでしょう。
認知症の方は文章が長いと理解するのが難しく、かえって混乱してしまう事もあるので、一分ごとに区切りを入れ、その都度理解したかどうかを確認しながら要約を進めることが大切です。
(6)沈黙
人は、話しながらふと考え込んでしまったり、過去のことを思い出したり、どう話していいか迷ったりすることがあります。
また悲しみに暮れているなどの場合は、言葉を発さず、ただ黙ってそばに寄り添って欲しいものです。
会話の中で見られる沈黙は大切にします。
聴き手は、沈黙に耐えられず矢継ぎ早に質問してしまったり、焦って話題を探したり、無関係な話を持ち出したりすることがありますが、そこは我慢しましょう。沈黙には意味があるのです。
特に高齢者や認知症の人の場合は、考えをまとめたり、思い出したりするのに時間が掛かります。ちょっと沈黙が長すぎるかな、と思うくらいが相手にとってちょうどよい沈黙時間である場合が多いものです。
沈黙の間は相手の表情や動作などをよく観察し、相手がいつでも話を切り出せるような温かい落ち着いた雰囲気づくりをすることも大切です。
3⃣傾聴を使い分ける
傾聴は、コミュニケーションの基本として極めて大事ですが、ある程度のまとまった時間が必要です。
聴き手側の注意力や、理解しようとする努力もいりますから精神的エネルギーも使います。
「聞く」と「聴く」を使い分けることが大切です。
食事・整容・入浴・排泄といった日々の細かな介護実践では、時間的制約があります。
ちょっとした会話、情報の伝達や確認などはテキパキと速やかに、用件だけをサッと伝えて対応するべきでしょう。
一方、利用者さんが不安そうにしていたり、悲しんでいたりする時は、立ち止まって傾聴を行います。
「聞く」と「聴く」どちらのきき方が良いのかは、その時々で判断する必要があります。この使い分けは試行錯誤を経て、場面ごとのふさわしい聞き方、聴き方が身についていくものなので焦らず自分なりの聴き方で寄り添うことが大切になります。
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