こんにちは💚 介護ラボのkanaです。今回は「福祉住環境」の中から『個人情報保護法』について、今日と明日の2回に分けて書いていきます。
要配慮個人情報
Contents
1.個人情報保護法
1⃣個人情報保護法の概要と取扱事業者の責務
2⃣個人情報とは?
3⃣要配慮個人情報とは?
4⃣法の規制対象になる個人情報取扱事業者とは?
5⃣個人情報取扱事業者の責務
6⃣個人情報の利用における義務の例外
7⃣個人情報保護法よりも優先される法律
1.個人情報保護法
1⃣個人情報保護法の概要と取扱事業者の責務
「個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)」は、個人情報をデータベース化した名簿業者などが、本人の同意を得ずに第三者と個人情報を売買し、それによって個人のプライバシーが侵害されたり、執拗な販売勧誘などをされたりすることを防ぐために2003年(平成15年)に制定されました。
そのため、「個人情報保護法」は、個人情報は本人のものであり、事業者は原則として本人の了解なしに収集や活用をできない、という考え方に基づき、個人情報取扱事業者に各種の義務を課しています。
福祉住環境コーディネーターは、障害や病気、家族構成といった特に慎重な取り扱いが必要な個人情報に触れることがあるため、「個人情報保護法」の正確な理解が不可欠になります。
他の『個人情報保護法』記事はこちらから・・・
【消費者保護・クーリングオフ制度と個人情報保護法に関する施策】vol.251
2⃣個人情報とは?
法の保護の対象になる個人情報とは、「生存する個人を特定出来る情報」のことであり、
- 氏名
- 生年月日
- 電話番号
- 親族構成
- 障害の有無や病歴
- 婚姻歴(離婚歴)
- 職業歴
- 学歴
- 収入
- 財産保有状況
- 賞罰
などが該当します。
文字情報だけでなく、音声情報、映像情報等も該当し、他の情報と照合することで容易に個人を識別できる情報も含まれます。
生存する個人に関する情報を個人情報としていますが、例えば、その情報の内容が相続などに影響するような場合は、亡くなった人の情報であっても個人情報に該当する可能性があります。
また、その情報だけで特定の個人を識別できる文字、記号、番号、符号等の個人識別符号も個人情報にあたります。
具体的には、
- DNA情報
- 声紋
- 掌紋
- 指紋
- 歩行の態様
などの身体の一部の特徴を表す符号と、
- マイナンバー
- パスポート番号
- 基礎年金番号
- 免許証番号
などの公的なサービス利用や、書類において割り振られた符号の2種類がこれに該当します。
なお、団体や法人に関する情報は個人情報ではありません。
3⃣要配慮個人情報とは?
個人情報の中でも、不当な差別や偏見、不利益な扱いが生じないように特に取り扱いに配慮が必要な情報を「要配慮個人情報」といいます。
具体的には、
- 人種
- 信条
- 社会的身分
- 病歴
- 犯罪被害歴
- 前科
- 障害
- 健康診断等の検査結果
- 診療・調剤情報
- 被疑者や被告人として刑事事件の対象であったこと
- 非行等によって少年の保護事件の手続きの対象であったこと
等の情報が該当します。
要配慮個人情報を取得する場合は、利用目的の特定、通知又は公表に加え、原則的にあらかじめ本人の同意が必要になります。
また、要配慮個人情報が漏洩した場合には、規模や内容に関わらず、必ず個人情報保護委員会に届け出た上で、本人にも通知する義務が事業者に課せられています。
なお、事後的に本人から請求があれば提供を停止することを条件にして、個人情報保護委員会に届け出をすれば、事前の同意がなくても個人情報を第三者に提供することが可能ですが、要配慮個人情報についてはそのような取り扱いは認められていません。
4⃣法の規制対象になる個人情報取扱事業者とは?
個人情報保護法の対象になる個人情報取扱事業者とは、個人情報をデータベース化(電子媒体であるか紙であるかは問わない)して事業のために活用している業者を言います。
事業者は法人である必要はなく、個人事業主や法人格を持たずに事業を行っている任意団体も該当します。
また、営利か非営利かは問わないので、社会福祉法人や医療法人、学校法人も該当します。
5⃣個人情報取扱事業者の責務
個人情報取扱事業者には、
- 個人情報の取得
- 個人情報の利用
- 個人情報の保管
- 個人情報の他者への提供
のそれぞれに関して、次のような義務が定められています。
- 「個人情報の取得」:どのような目的で個人情報を利用するか具体的に特定し、あらかじめ公表しておく必要がある、あらかじめ公表しないで個人情報を取得した場合には、利用目的を本人に通知、又は公表しなければならない。
- 「個人情報の利用」:あらかじめ特定した利用目的の範囲でのみ利用出来る。仮に、既に取得している個人情報を他の目的で利用したい場合には、改めて本人の同意を得る必要がある。
- 「個人情報の保管」:情報の漏洩や毀損などが生じないように安全管理に努めることや常に正しい情報に保たれるように努めること、それらのために従業員や業務委託先を監督すること等が義務付けられている。また、本人から開示請求があった場合には開示しない正当な理由がある場合を除き、本人の求める方法で開示しなければならない。
- 「個人情報の他者への提供」:有償か無償かを問わず、原則的に本人の了解なしに提供することは認められない。
6⃣個人情報の利用における義務の例外
5⃣の個人情報取扱事業者の責務に書いた通り、あらかじめ公表や本人に通知していない目的のために個人情報を利用することは出来ません。
但し例外があり、
- 他の法令に定められている場合(例:令状に基づく資料の差し押さえ)
- 人の生命、身体または財産の保護のために必要で、本人の同意を得ることが困難な場合(例:本人が事故に遭い救急隊員に血液型や病歴を教える)
- 公衆衛生の向上や児童の健全育成のために必要で本人の同意を得ることが困難な場合(例:児童虐待に関する情報を関係機関が共有する)
などは、あらかじめ示している利用目的の範囲を超えて本人の同意なく個人情報を利用することが可能とされています。
7⃣個人情報保護法よりも優先される法律
児童、障害者、高齢者の各分野には、それぞれ虐待の防止を目的とした法律がありますが、それらの法律には共通して「守秘義務に関する各法律の規定は、虐待を発見した場合やその恐れがある者を発見した場合に通告することを妨げるものと解釈してはならない」という趣旨の規定があります。
この規定は、個人情報保護法違反に問われることを気にして、虐待の通報をためらうことがないように、虐待に関連して個人情報を関係機関に知らせても、「個人情報保護法」等の違反に問われることはないということを明示したものになります。
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