コミュニケーション技術

【❶構音障害のある人へのコミュニケーション支援】失語症と運動障害性構音障害の違い vol.442

2021-08-29

こんにちは 介護ラボのkanaです。コミュニケーション技術の中から『構音障害』について。今日はコミュニケーション支援、明日はコミュニケーション技術の2回に分けてまとめていきます。

構音障害の明瞭度評価とは?

Contents

1.構音障害の特徴と生活への支援
 1⃣構音障害の3つの特徴
 (1)発生発語器官の形状の異常
 (2)発生発語器官の運動の障害
 (3)誤った発音の学習
 2⃣構音障害がもたらす日常生活コミュニケーションへの支障
  ◉構音障害の明瞭度評価
  ◉失語症と運動障害性構音障害の違い

1. 構音障害の特徴と生活への支援

1⃣構音障害の3つの特徴

構音障害とは、

  • 軟口蓋

など、普段私たちが声を出したり言葉を発音したりするときに使う「発生発語器官」に、何らかの異常があり上手く発音できない状態をいいます。

聞き取りにくく不自然な発音、呂律が回らないしゃべり方といってもよいでしょう。

構音障害の種類は大きく分けて、

  • 「発生発語器官の形状に異常がある場合」
  • 「発生発語器官の運動に障害がある場合」
  • 「誤った発音を学習してしまった場合」

の3つになります。次項で詳しく書いていきます。

(1)発生発語器官の形状の異常
発生発語器官の形状の異常

「 発生発語器官の形状の異常」は、病気やケガによる発生発語器官の欠損や形状の異常のために起こります。

先天的なものとしては、

  • 口蓋裂:生まれながらにして口の中の上顎だけが割れている状態のこと。口と鼻の間を隔てている部分である口蓋(上顎)がなく、口と鼻が繋がっている。
  • 舌小帯短縮症:舌の裏側についているヒダである舌小帯が生まれつき短いこと、あるいは、舌の先端に近い所についていること。舌を十分に動かすことが出来ない。

などがあり、これらは「器質的構音障害」と呼ばれます。

後天的なものとしては、

  • がんなどの切除手術によるもの

などが代表的です。

舌がんの術後では、舌の一部がなくなって動きが悪くなる、上顎の一部がなくなり言葉が鼻に抜けてしまう、などの問題が出てきます。

(2)発生発語器官の運動の障害
発生発語器官の運動の障害

「 発生発語器官の運動の障害 」は、脳卒中やパーキンソン病など、発生発語器官の動きをコントロールする神経の病気が原因で起こります。

思い通りに舌や口を動かせず、発音に支障をきたし、

  • 運動障害性構音障害
  • 麻痺性構音障害

などと呼ばれます。発声の調整も難しくなるため、

  • 気息性:息漏れのある声
  • 粗ぞう性:ガラガラ声
  • 無力性:弱々しい声
  • 努力性:力が入った声
  • 開鼻声:鼻にかかった声

といった声になることもあります。

(3)誤った発音の学習

前項の(1)(2)のような明らかな原因はないのですが、発音に誤りがあるタイプを、

  • 「機能性構音障害」

といいます。

子どもの頃に身に付けた発音の誤りであるクセが大人になっても治らない、例えば「か行」が「た行」に置き換わる、「き」が「し・ち」に近い音にひずんで聞こえるなどです。

なお、声を出すための筋肉と、食べ物や飲み物を飲み込むために使われる筋肉はほぼ同じです。

ですから、(3)を除いて、構音障害のある人は食べ物や飲み物を飲み込むことが難しくなる「嚥下障害」を合併することが多くなります。

2⃣構音障害がもたらす日常生活コミュニケーションへの支障

構音障害の種類によって、

  • 話し方がぎこちなくなる
  • ぶつぶつ途切れる
  • 息の音が混じる
  • 声が小さくて不明瞭になる
  • 話し方が単調になる

など、症状は多彩です。

構音障害があると、日常生活で言葉を発するあらゆる場面で何らかの支障が生じます。自分の言いたいことを、迅速に、正確に、相手に伝えることが出来ません。

例えば、前項(1)にある「運動障害性構音障害」では、発音発語器官脳時に制限があるため、ら行、さ行、ざ行などの音が、歪んだり別の音になってしまったります。

「レモン」が「エモン」となったり、「十時(じゅうじ)」が「ううい」となったり、聞き手には何のことかさっぱりわからないということが生じます。

構音障害は「構音」に異常があるだけであり、他の機能たとえば相手の話を理解することや認知機能には問題はありません。

したがって本人には「言いたいことが上手く伝わらない」という、

  • 「ふがいなさ」
  • 「もどかしさ」
  • 「イライラ感」

を感じることがよくあります。それが怒りとして現れたり、逆に意欲の低下や引きこもりに繋がったりします

◉構音障害の明瞭度評価
構音障害の発話明瞭度

構音障害の重症度を表す尺度の1つに「発話明瞭度」があります。これは会話において、相手がどれくらい聞きとれたかによって構音障害の重症度の目安にするものです。

【明瞭度
・すべてわかる

【明瞭度
・ときどきわからない言葉がある

【明瞭度
・聞き手が話題を知っていればどうにかわかる

【明瞭度
・時々わかる言葉がある

【明瞭度
・全くわからない

明瞭度1・2のレベルではコミュニケーションは比較的取りやすいですが、明朗度3~5のレベルになると、何らかのコミュニケーション技術が必要になります。

◉失語症と運動障害性構音障害の違い

【運動障害性構音障害】
・呂律が回らない
・声が思ったように出ない
・相手の言う言葉は理解出来る
・相手に伝えたいことがあるのに、上手く口が動かない、声が出せない
・書ける
・計算ができる
・文字が読める

【失語症】
・言葉が分らない国に放り出されたよう
・相手の言う言葉が理解出来ない
・相手に伝えたいことがあるのに話せない
・書けない
・計算ができない
・文字が読めない

構音障害と区別がつきにくい障害には「失語症」があります。構音障害と失語症の違いについては上記に示します。

コミュニケーション

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kana

はじめまして(^-^)/ 介護ラボのカナです。
ブロガー歴3年超(818記事執筆)
介護のあれこれを2020年6月~2022年9/8まで毎日投稿(現在リライト作業中)

社会人経験10➡介護の専門学校➡2021年3月卒業➡2021年4月~回復期のリハビリテーション病院で介護福祉士➡2023年1月~リモートワークに。

好きな言葉は『日日是好日』
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