こんにちは 介護ラボのkanaです。今日は「認知症の理解」の中から『認知症の人へBPSDのケア』について、今日と明日の2回に分けて書いていきます。
暴言・暴力の「きっかけ」になったこと
Contents
1.BPSDのケア
1⃣暴言・暴力
◉暴言・暴力の「きっかけ」になったこと
2⃣徘徊
◉認知症の人が歩く要因
1.BPSDのケア
介護現場で見かける主なBPSD(認知症の行動・心理症状)が及ぼす生活への影響とそのケアについて考えていきます。注意したいのは、症状や課題にだけ目を向けてしまうことです。その人の健康状態やその人を取り巻く人間関係、環境、そして、心理状態にその行動の原因がしばしばあります。
BPSDは認知症の人が、辛さ、苦しさを言葉で説明できないために発しているSOSであることが多いと捉える必要があります。BPSDのケアとして、今日は「暴言・暴力」「徘徊」について、そして明日は「異食」「物盗られ妄想」「物を集める」の項目ごとにそれぞれ考えていきたいと思います。
1⃣暴言・暴力
前頭前野に脳病変がある場合、感情のコントロールが難しくなり「暴言」や「暴力」といった症状があらわれます。多くの場合、症状があらわる「きっかけ」があります。
その「きっかけ」は認知症の人ではなく、周囲である人的環境に原因があることが多くみられます。アセスメントし、原因を除去することが大切です。
また、すでに症状があらわれている場合、まずは介護者が冷静になります。介護者が感情的になり、認知症の人を叱責する、抑制するような言動をとるとさらに状況は悪化します。
かなり緊迫した状況では、まず、介護者や周りの人に危険が及ばないよう避難等を行い、収まるまで見守ります。
しかし、これは緊急的な対処法ですので、症状があらわれた「きっかけ」を探り除去することが大切です。
◉暴言・暴力の「きっかけ」になったこと
- 「本人は静かに過ごしたいのに、周りで大声がする」
- 「介護者の言葉が指示(命令)的である」
- 「他者の言葉の意味が理解できず、自分悪口を言われると感じた」
- 「アクティビティのルールが分からないのに、周囲から行為を促された」
- 「その気がないのに、トイレに行くよう強く促され、手を引っ張られた」
など、さまざまな原因によって「暴言」や「暴力」のきっかけになります。
2⃣徘徊
徘徊という表現自体が有効な介護が出来ない要因となっています。人間が歩くという行動をするには、多くの場合何らかの理由があります。
認知症の人の場合、様々な心理の変化や環境による影響(社会心理的状況の要因)がみられます。歩く理由をきちんとアセスメントしたうえで、認知症の人の思いを受け止めて、困っていることを見つけ出し解決することが大切です。
歩くという気持ちが強い時には、会話しながら一緒に歩く、散歩などに出掛け、歩かずにはいられない理由を探ります。無意味に長時間歩くだけという行為はやめましょう。
また、
- 「行動を否定する」
- 「行動を抑制する」
- 「ここが居場所だと無理にわからせようとする」
といったことを行うと、かえって混乱やストレスを招き、状況が悪化します。
いかに周囲の安全を確保し、本人が歩いてもよい状況にしていくと同時に、「本人が安心して過ごせる状況・居場所」にしていくケアを行います。
◉認知症の人が歩く要因
歩く要因は人それぞれです。下記に挙げたのはほんの一例なので、「なぜこの人は歩くのか」をきちんとアセスメントし、思いを受け止めその行動の理由を探る姿勢が大切です。
- 「ここがどこで、なぜここにいるのかが認知できないため、どうしてよいか分からず不安になっている」
- 「急に見慣れない場所(施設)へ連れてこられ、知らない人たちに囲まれて、混乱し自宅へ帰りたいと思っている」
- 「現実が辛くて、現在の記憶に残る古き良き時代(例:「子育てしている時」「主婦としての役割を担っている時」「仕事をしている時」)と読み替えて、その記憶にある光景を探している」
- 「閉じこもった生活を強いられており、外に出かけたいと思いかけたら、どっちに進んだらよいかわからなくなった」
- 「孤独感が強くなり、家族に会いたくなった」
- 「便秘や発熱など体調が悪く、落ち着かない」
など、様々な理由があります。
もしも、現在を古き良き時代と思い込んでの行動であれば、その時代の事・生活歴をしっかりと把握して、今の思いを受け止め付き合います。決して「今は違う」と否定してはいけません。
また、一緒に散歩や話をする仲間がいるなど、よい人間関係を築き、孤独感を解消していくことも重要です。
他の『BPSD』記事はこちらから・・・
【認知症とは何か?】定義と診断基準、認知症状の全体像について vol.65
認知症の人の心理【不安・喪失感を抱く理由】vol.91
【パーソンセンタードケアとは?】5つの葉と3つのステップ vol.92
【認知症の特徴と治療】生活上の問題点・6つの福祉住環境整備 vol.126
【①BPSDの定義】4つの分類と100以上の行動症状 vol.199
【②BPSD】5つの介入困難な背景要因と7つの介入可能な背景要因 vol.201
【③BPSD】11個の主要なBPSD・個別の背景因子について vol.202
【認知症の治療薬】 保険適応がある4つの薬剤とは?? vol-388
【ユマニチュードとは?】4つの柱・マルチモーダルケアで認知症を支える vol.396
【認知症ケア・マッピング(DCM)とは?】実施方法と活用方法について vol.398
【❶認知症ケア・環境作り】老年学者ロートンによる環境的圧力モデルとは? vol.405
⭐気になるワードがありましたら、下記の「ワード」若しくは、サイドバー(携帯スマホは最下部)に「サイト内検索」があります。良かったらキーワード検索してみて下さい(^▽^)/
ADL QOL グループホーム ケーススタディ コミュニケーション ノーマライゼーション バリアフリー ブログについて ユニバーサルデザイン 介護の法律や制度 介護サービス 介護予防 介護保険 介護福祉士 介護福祉職 他職種 住環境整備 入浴 入浴の介護 医行為 喀痰吸引 地域包括ケアシステム 多職種 尊厳 感染症 支援 施設 権利擁護 社会保障 福祉住環境 福祉住環境整備 福祉用具 経管栄養 老化 脳性麻痺 自立支援 視覚障害 認知症 誤嚥性肺炎 障害について 障害者 障害者総合支援制度 障害者総合支援法 食事 高齢者
に参加しています。よかったら応援お願いします💛
Twitterのフォローよろしくお願いします🥺