こんにちは。介護ラボのkanaです。「人間の理解」の中から『介護実践におけるチームマネジメント』について7回に分けてまとめていきます。今日は1回目になります。
ヒューマンサービスとしての介護サービス
Contents
1.ヒューマンサービスとしての介護サービス
1⃣サービスの4つの特性と介護サービス
●サービスの4つの特性
2⃣サービスの特性と介護からの視点
(1)「無形性」:形がない
(2)「不可分性」:分けることが出来ない
(3)「品質の変動性」:品質が変わる
(4)「消滅性」:ためておくことが出来ない
1.ヒューマンサービスとしての介護サービス
介護サービスの特性と求められるマネジメントについて理解するために、今回は「介護サービスと他分野の仕事」を比較しながら、介護サービスの特性を考えていきます。
1⃣サービスの4つの特性と介護サービス
「モノ(製品等)を扱う仕事」では、製造や販売した製品である電化製品や自動車等が、サービスの利用者である消費者の手元に「形」として残り、基本的な効果や満足は、この製品によって生じます。
例えば・・・便利な電化製品を使えば、快適さを得ることが出来たり、時間を短縮出来たりと、製品を通じて効果や満足を直接得ることが出来ます。
また不良品が生じれば、返品や修理の対応もできますし、その原因を追究して次の製造に役立てることもできます。
手元にモノが残る仕事は、「良い点」「悪い点」の確認を含めた、『評価や効果の測定』が行いやすい手という利点があります。
一方介護の仕事は、商品を作ったり売ったりする仕事ではない、「介護サービス」という、物質的な「形」のないものです。
「形」のない介護サービスは、提供後に提供した側である介護福祉職、消費者である利用者の側にも「形」が残りません。
例えば、介護福祉職から入浴の介助を受けても、入浴後に介護というサービスは「形」としては何も残りません。介護サービスを受けた後に残るのは、主に、
- 「満足」や「効果」
であり、提供した介護福祉職に残るのは、主に「提供した記録」です。
介護以外にも「サービス」を扱う仕事は多くあり、情報産業やレジャー産業、金融業や運送業等もサービス業に分類され、いずれも同じような特性を持つ分野である仕事です。
●サービスの4つの特性
介護を含め、サービスを扱う仕事は、「形」が残らないことを含めて、以下のような4つの特性があるといわれています。
❶無形性:「形」がない
❷不可分性:分けることが出来ない
❸品質の変動性:品質が変わる
❹消滅性:ためておくことが出来ない
2⃣サービスの特性と介護からの視点
サービスの特性に対応して、介護の質を高めるためには、
- 「利用者へのサービス説明資料」
- 「介護マニュアル・ガイドライン」
- 「サービス提供記録」
- 「サービス外部評価」
- 「満足度調査」
などは、重要なツールになるといえるでしょう。
また『介護過程の展開』である「アセスメント」「介護計画の立案」「介護の実施」「評価」なくして、継続的で質の維持されたケアを行うことは出来ません。
(1)「無形性」:形がない
物質的な「形」がない。触れることが出来ず、はっきりとした「形」を示すことが出来ない。このため、購入前に試したりすることもできない。「形」がある商品と比較すると、内容の説明や、「評価」や「効果」を把握することが難しい。
【無形性:介護からの視点】
介護サービスには「形」がない。
- 身体介護
- 生活援助
- 相談援助
なども同じ特徴があり、利用前に介護サービスの内容を具体的に伝えることが難しく、介護サービス提供後にその評価や効果を把握することが難しい。
(2)「不可分性」:分けることが出来ない
提供(取引)後にモノが残らず「生産」と同時に「消費」されていくため、「生産」と「消費」を切り離すことが出来ない。
【不可分性:介護からの視点】
介護サービスは、介護福祉職(専門知識や技術)によって生産され、同時に利用者に提供された瞬間に消費される。このため、提供された介護サービスは取り消しや、やり直しがきかない。
例えば、不適切な前回所により、本人が不満を感じたとしても、介護サービスそのものはやり直しが出来ない。
(3)「品質の変動性」:品質が変わる
提供される品質は同じとは言えない。提供する人やタイミングによって品質が異なる。例えば、家電製品を生産するように、同じ内容・性能のモノを生産し続けることは出来ない。
【品質の変動性:介護からの視点】
常時、同じ品質の介護サービスを提供することは出来ない。介護サービスを提供するスタッフによって、その内容や品質は異なる、同じスタッフでも、常に同じサービスを提供することは難しい。
人員体制や業務量、スタッフの心身状況が影響することもある。
(4)「消滅性」:ためておくことが出来ない
「形」がないものであり、保管しておくことや在庫にしておくことが出来ない。サービスを提供できる人員が沢山いてもためておくことは出来ず、必要時に生産するしかない。
【消滅性:介護からの視点】
1人の介護福祉職として、知識・技術や経験を蓄積することは出来ても、介護サービスそのものをためておくことは出来ない。
「形」のないサービスを扱うからこそ、しっかりとした仕組みである介護過程の中で、チームでサービスを提供し、その内容や質、効果を常に確認出来る体制を作り上げることが重要となります。
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