発達と老化の理解

【❷発達段階】愛着の4つの発達・アタッチメント理論 

2022-01-26

こんにちは💚 介護ラボのkanaです。『各発達段階』について前回、今回、次回の3回に分けて書いていきます。

学童期・青年期の社会性の発達

介護ラボのトップページ(色々なカテゴリーをまとめています) 💛

学童期の社会性の発達

小学校に入学すると、学校における生活経験を通じて友人関係を形成していきます。まだ、幼児期の自己中心性も残っていますが、他人の立場を認める能力も発達し、集団の一員としての意識を持つようになっていきます。

小学校中高学年ごろになると、規則や遊びのルールの意義を理解して、集団活動に主体的に関わり、自分たちでルールを作って守ろうすることもできるようになっていきます。

また、この頃の子どもは、同性・同年齢の気の合う数名で仲間を作って小集団で行動を共有し、同じ遊びをするようになります。このような集団を「ギャング・グループ」と呼び、この年代を「ギャング・エイジ」と呼んでいます。

このギャング・グループは男子によくみられます。集団内のルールを決めるなど、結束力が高く、大人の干渉を避け、閉鎖性や排他性があることが特徴です。

ギャング・グループは、活動を通じて自分たちで集団のルールを決めたり、役割や責任などの集団的な行動を学んだりする役割を果たしていますが、最近は、遊び時間や空間の減少、遊びの内容の変化などによりギャング・グループの形成が少なくなっていると言われています。

青年期の社会性の発達

中学生になると、親や教師の存在は相対的に小さくなり、特定の仲間集団との関係が深まる傾向が表れます。とくに思春期の女子では数名の同性で形成する「チャム・グループ」と呼ばれる仲良しの集団が見られます。

メンバー同士が、話題や興味を共有し、非常に親密であり、排他的な事が特徴です。メンバーの同一性を重視し、交換日記や手紙を共有するなど、言語的に同一性を確かめ合う特徴があります。

”裏切りは許さない”というように極端に同調圧力が強くなり、仲間外れに繋がる場合もあることが指摘されています。

従来は、高校生ぐらいになると男女混合で価値観や生き方などを話し合う「ピア・グループ」と呼ばれる仲間集団が生じるようになるといわれていました。

しかし現代においては、高校生ではピア・グループが形成されにくいことが指摘されています。

現在の日本の若者の社会的関係への欲求は、

  • 「近づきたいが、近づきすぎたくない」
  • 「離れたいが、離れ過ぎたくない」

という、親密性を求めながらも傷つき合うことを恐れる「ヤマアラシのジレンマ」に陥りやすいことが指摘されています。

ヤマアラシのジレンマとは?
哲学者のショーペンハウアー(Schopenhauer,A.)が寓話として書いた話を精神分析の創始者であるフロイトが引用して命名した。ヤマアラシの一群が凍えるのを防ぐためにくっつき合うとトゲが刺さり痛く、離れると凍えてしまうというジレンマを、元々の寓話ではそうしているうちに”程よい間隔を見つけた”とはなし。

「介護ラボ」の人気の記事
介護に困ったときに知っておきたいこと(相談窓口・手続き)
介護保険で利用できる『7つの介護予防プログラム』を使って自立した生活を継続しよう!
【ピアジェ、エリクソン、ハヴィガースト】発達段階と発達課題 vol.77 
【比較】エンパワメントとストレングスとは?介護福祉職による支援方法 vol.45 
【老年期】ハヴィガースト、エリクソン、ペック、レヴィンソン、バルテスの発達理論 vol.283 
【介護福祉の基本理念・ポイント3つ】最も大切な理念とは? vol.8 
【障害受容の5つの段階】障害者を取り巻く4つの障壁(バリア)vol.49 
【発達理論】ピアジェ、エリクソン、バルテスの発達論を理解する vol.76 
【アセスメントの3つの視点】情報の解釈、関連付け、統合化とは? vol.195

愛着の発達(愛着・アタッチメント理論)

かつては、乳児は授乳してくれる人との関係が深まるというように、子どもと養育者の関係は「食」を媒介した関係形成が行われるという考え方が有力でした。

しかし、ボウルビィ(Bowlby,J.M.)は、養育者の接触による快さや安心感による情緒的絆が養育者と子どもの密接な関係を形成し、それがのちの社会性の発達に影響を及ぼすという、愛着(アタッチメント)理論を提唱しました。

人は未熟な状態で出生するため、他の動物に比べて長い期間、栄養補給や環境整備等について、大人の助けが必須です。

そのため、泣いて空腹や排泄を知らせ、表情がクーイング等によって早く大人の関心を引く行動が見られます。子どもにとっては、外界は不安や恐怖に満ちた世界であり、不安や恐怖といったネガティブな感情を落ち着かせる関係が重要です。

また、愛着を形成した大人がいて、安心出来る場が確保できることで、そこを「安全基地」として、不安の高い外界を探索することが可能になります。

また、エリクソンの生涯発達理論における乳児期の発達課題である、

  • 「基本的信頼感の獲得」

についても、愛着のような情緒的な絆による大人の助けが必要であるといえます。

1⃣代理母実験

ハーロウ(Harlow,H.F.)は、母親と引き離された子ザルに、2種類の代理母となる人形を用意し、その行動を観察する研究を行いました。

代理母の1体は針金製であり、もう1体は布で覆われています。針金製の代理母に哺乳瓶を取り付けると、子ザルは空腹になると哺乳瓶を吸いに行きます。

しかし、子ザルは多くの時間を布製の代理母と接触して過ごします。また、子ザルを脅かすと布製の代理母の人形のもとへ逃げかえる様子が見られました。

この研究によって、乳児と大人の関係形成は食欲を満たしてくれるという関係性ではなく、接触の感触が快いことによって安心するということが重要な影響を及ぼしているということが明らかになり、愛着に目が向けられるきっかけになりました。

2⃣愛着の発達

特定の大人との間で情緒的絆による関係を形成することを「愛着」と呼びますが、愛着を形成するための愛着行動は生後すぐにみられます。

出生後から生後3か月後くらいまでは、周囲の人の動きを目で追う「注視行動」や、泣くことや音を発することで注意を引く「信号行動」などが特徴です。

また、特定の大人だけでなく、対象を問わず多くの大人に対して愛着行動を示します。

生後3~6か月後では、まだ多くの大人に対して有効的に振る舞うとともに、特定の大人にはより親密な反応をし始めるようになります。

6か月頃から2歳頃までの間には、養育者など特定の大人を対とした愛着が維持され、それ以外の人物と区別するようになります。それにより知らない人に抱っこされると泣くといった、人見知りを示すことが多くなります。

3歳になる頃からは、愛着対象の大人の行動を予測できるようになり、愛着の対象が目の前にいないことへの不安を乗り越えることが出来るようになっていきます。

それにより、極端な愛着行動は減り、次第に自律的行動が増えていくことになります。愛着による人間関係は様々な状況で安心した気持ちになれる体験を蓄積していきます。

この段階の幼児は「必ず養育者が助けてくれる」という信頼感を持つことができ、養育者の姿が見えなくなっても我慢できる、自分で探すなどの不安な気持ちを乗り越えた行動を取れるようになっていくのです。

3⃣愛着行動の個人差

愛着を示す行動には個人差があり、アインズワース(Ainsworth,M.D.)が「ストレンジシチュエーション法」という方法を用いて、乳児の愛着行動の個人差を調べた研究が有名です。

ストレンジシチュエーション法は、見知らぬ実験室で子どもから養育者が離れたり、見知らぬ人が関わったりすることで不安が高まった時に示す行動や、その後再度養育者と接触した時に示す行動の個人差を見ていきます。

こうした研究結果から、以下のような愛着行動の個人差があることが示されています。

Aタイプ(回避型)、Bタイプ(安定型)、Cタイプ(抵抗型)、D(無秩序型)
・Aタイプ:養育者がいなくても関係なく遊んでいる。分離後に母親が近づくと避けようとする。

・Bタイプ:養育者が一緒にいることで安心し、いなくなると泣きだしたり、探したりする。養育者と再会すると接触し、再度遊び始める。

・Cタイプ:養育者がいなくなると泣いたり、不安を示したりするが、養育者と再会しても機嫌が直らず、養育者を叩くなどの行為がみられることもある。

・Dタイプ:愛着行動の一貫性がなく、ABCに当てはまらない。

愛着行動の個人差は子どもの持っている気質と養育者の接し方の両方による相互作用だと考えられています。

例えば、Aタイプの行動を示す子どもの親は、いつ接触するのが良いか分かりにくく、安定して安心感のある接触をしにくくなり、子どもの方からみると期待通りの愛着が得られないということです。

また、虐待を受けるといった不幸な経験は愛着の形成が難しい状況をつくりやすく、Dタイプを示す子どもが多いと言われています。

4⃣愛着対象の広がり

愛着の対象とは?

愛着の対象というと母親が思い浮かべられることが多いですが、必ずしも母親だけに愛着が示されるわけではありません。日々の生活の中で、乳児の発する信号を受け止め、応答して情緒的な関係を形成してくれる人が愛着の対象となります。

父親やその他の養育者とも、また複数の大人とも愛着が形成されます。

また、乳幼児の頃の愛着は重要なものですが、その後の人間関係の全てを決定づけてしまうわけではありません。

子どもはより広い社会的関係の中に入っていき、他の重要な社会的関係を取り込んでいくと考えられています。これを「コンボイモデル」といいいます。

気になるワードがありましたら、下記の「ワード」若しくは、サイドバー(携帯スマホは最下部)に「サイト内検索」があります。良かったらキーワード検索してみて下さい(^▽^)/

ADL QOL グループホーム ケーススタディ コミュニケーション ノーマライゼーション バリアフリー ブログについて ユニバーサルデザイン 介護の法律や制度 介護サービス 介護予防 介護保険 介護福祉士 介護福祉職 他職種 住環境整備 入浴 入浴の介護 医行為 喀痰吸引 地域包括ケアシステム 多職種 尊厳 感染症 支援 施設 権利擁護 社会保障 福祉住環境 福祉住環境整備 福祉用具 経管栄養 老化 脳性麻痺 自立支援 視覚障害 認知症 誤嚥性肺炎 障害について 障害者 障害者総合支援制度 障害者総合支援法 食事 高齢者


人気ブログランキング

にほんブログ村 介護ブログへ
にほんブログ村

に参加しています。よかったら応援お願いします💛

Twitterのフォローよろしくお願いします🥺





Follow me!

  • X
  • この記事を書いた人
  • 最新記事

kana

はじめまして(^-^)/ 介護ラボのカナです。
ブロガー歴3年超(818記事執筆)
介護のあれこれを2020年6月~2022年9/8まで毎日投稿(現在リライト作業中)

社会人経験10➡介護の専門学校➡2021年3月卒業➡2021年4月~回復期のリハビリテーション病院で介護福祉士➡2023年1月~リモートワークに。

好きな言葉は『日日是好日』
「福祉住環境コーディネーター2級」・「介護福祉士」取得
◉福祉住環境コーディネーター1級勉強中!
介護のことを少しでも分かり易く書いていきたいと思っています。
よろしくお願いします♡

-発達と老化の理解
-, , , , ,