介護ラボのkanaです💛今回は「受容」「共感」について。コミュニケーションで大切な4つの対人距離をまとめていきます!
自己覚知・共感に似ている心理的距離(フロイト)
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受容
1⃣受容とは
コミュニケーションにおける「受容」とは、相手の言ったことを否定も肯定もせず、評価を加えずそのまま受け入れることです。
- 聴き手側の価値観
- 善悪の基準
- 好き嫌い
などはとりあえず脇に置いて、相手の言ったことを、まずは全て受け止めることです。
例えば、高齢の利用者Aさんが「兄弟が面会に来ても、あまりしゃべらず直ぐに帰る。こんなことなら来なくてもいい」と話したとします。Aさんは独身男性で蓄えもなく、これまで兄弟たちが経済的なことも含め、Aさんに様々な支援してきました。
介護福祉職はこのような家族背景を十分知っています。
一般的な価値基準からいうと、「Aさん何を言っているんですか!これまで兄弟にさんざん世話になってきたでしょう」、「お兄さんはAさんより高齢なんですよ、面会に来てくれるだけでも有難いと思うべきですよ」などど思わず反論したくなるかもしれません。
この反論は理屈では正論かもしれません。
しかしAさんにとっては、自分が言いたいことが伝わったとは決して感じられませんし、逆に「説教された」「怒られた」という気持ちになるでしょう。
自分の発言の奥にある寂しさや怒りが分かってもらえなかった、という残念さや諦めの感情が残るでしょう。
受容的に関わるとは、「ちょっとそれはないよな」と自分の価値基準と全く相容れなかったとしても、
・寂しさ
・怒り
・憎しみ
・苦しみ
など、相手が感じていることを、とりあえずそのまま受け止めることです。
- このときの受容的返答は、「兄弟が折角来たんだから、ゆっくりしゃべりたいですね」などになります。
このように返すとAさんは、自分の気持ちを受け止めてわかってもらえたと感じられます。寂しさや怒りを感じている今の自分を肯定されているように思えます。
これを「自己肯定感」と言います。
自己肯定感が高まると自分に自信が出て、気分が安定し生活や対人交流の意欲が向上します。
2⃣受容と援助者
人は、悩み、悲しみ、怒りなどのネガティブな感情を相手に話すとき、分かってもらえるだろうかと不安になったり、否定されるのではないかと躊躇ったり、笑われないだろうかと恥ずかしく思ったりするものです。
そのような状態にいる相手をやさしく温かい雰囲気で、いったん丸ごと包み込んでみることで、次の展開に進むきっかけが作れるかもしれません。
ただ、受容的な態度をとろうとすることで、聴き手側が苦しむ場合もあります。
なぜなら聴き手側には、自分がこれまで培ってきた自分なりの価値基準や善悪判断、好き嫌いがあり、自分とは相容れない意見を受け入れるには、どうしても納得できない、反感を思える、嫌悪感がぬぐえないという気持ちが当然起こります。
分かろうとすればするほど精神的に参ってしまう事もあります。
受容を心掛けることは大切ですが、あまり突き詰めすぎると聴き手自身が「バーンアウト」してしまう事にも繋がります。
完璧な受容を目指さず
- 「受容を心掛けて援助している」
- 「ひとまず、いったん受容する」
というスタンスが大事です。
- バーンアウトとは?
-
強い使命感や責任感を持って仕事に取り組んでいた人が、ある時を境に、燃え盛っていた火が消えるように、急に意欲を失ったり、投げやりになったりする症状のこと。
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共感
1⃣共感とは
共感とは、相手の側に立って、相手が感じている感情をその人自身になったつもりで、あたかも自分が感じているかのように感じることです。
大事なポイントは、その人になった「つもり」で、「あたかも」自分が感じているかの「ように」という点です。
他人の感情は、最終的にはその本人でなければわかりません。
自分がすべてを完全に理解できるわけではないけれど、相手の心情を相手になったつもりで察しようとする努力が大事になります。
例えば、「もし私がBさんで、Bさんのような生活歴があり、Bさんのような価値観を持っていたとしたら、この状況ではやっぱりそんな風に思うだろうな」と、相手の現在の心情や、現在の心情に至るまでの流れを理解しようとすることです。
2⃣共感を伝える
共感したらそれを相手に返します。
第1の方法は、感情を表す言葉で、「それは辛かったですね」などと率直に伝えることです。但しこちらが共感したと思っていても、相手の気持ちとすれ違っていることもあります。それを確かめるために、
- 「Cさんお辛かったですね」
- 「悔しかったですね」
- 「ホッとされましたね」
- 「待ち遠しいですね」
など、こちらが感じた感情を言葉で表現してCさんに確かめる必要があります。
もしCさんから「それは違う」と言われたら「では、~といことでしょうか?」と、自分の理解を修正しながら正確な理解に近づけていきます。
はじめから的確に共感できるというより、それを目指していくプロセスが重要です。
そして第2の方法は、
- 「表情」
- 「うなずき」
- 「じっと目を見る」
- 「そっと手を触れる」
などの非言語コミュニケーションを用いて伝える方法です。
これらは、ときに言葉でのメッセージより強く相手に伝わります。
3⃣自己覚知
感情には、
- 「嬉しい」「楽しい」「気持ちいい」といった肯定的なもの
- 「寂しい」「辛い」「不安」「悔しい」などの否定的なもの
- 「恥ずかしい」「驚き」といった否定的とも肯定的とも分けられないもの
など、様々なものがあります。
嬉しさと戸惑い、不安と喜びなど同時に2つの感情が入り混じることもあります。
相手の感情に共感し、それを相手に伝えるためにまずは自分自身の感情について、その傾向を知ることが大切です。これを自己覚知と言います。
またある感情が自分に起こった時、自分はどのように表現しているかを客観的に知っていることも重要になります。これは自分ではなかなか気づかないものなので、同僚などからフィードバックをもらうことも必要です。
感情に関する言葉を多く知り、使えるようになることも共感の技術を高めることに繋がります。
4⃣共感と似ている感覚
共感と似ているものに「同情」がありますが、両者は異なります。
同情は自分の価値観や見方から発生する感情です。
例えば、病気や経済的なことで苦しんでいる人に対して「気の毒だ」「可哀想な人だ」と、自分の立ち位置から相手を見て抱く感情です。
「同感」も共感と似ていますが、これも異なります。
同感は相手と同じ考えや意見であり、賛同の気持ちを持つことです。これも自分を基準にした判断であると言えるでしょう。
これらに対して「共感」は、あくまでも相手の側に立って、相手の感情を推し測ります。
「病気になって辛いですね」「大変な思いをしましたね」と、自分が相手の立ち位置に立ったとしたら抱くであろう気持ちを感じることです。
3.コミュニケーションにおける距離
1⃣対人距離
対人距離(パーソナルスペース)とは、人と話したり活動したりするときの2人の間の物理的距離のことです。
相手が誰であるか、話や活動の内容がなんであるかによって適切な距離が違ってきます。
ホール(Hall,E.T.)によると、同僚同士が仕事をするのにちょうどよい距離は45cm~1.2m、親密な間柄だと45cm以下であるといわれています。
それ以上接近すると「ちょっと近すぎる」と不快感が生まれたり、無意識のうちに警戒感から体を引いたりするといわれます。
2⃣対人距離の4種類
- ◉対人距離の4種類
- ❶密接距離:intimate distance
(距離:15~45cm)
・愛しい、慰める、保護するといった気持ちを持つことのできる距離
・一方で、けんか、言い合い、格闘にも繋がる距離
❷個人的距離:personal space
(距離:45cm~1.2㎡)
・相手の気持ちをやや客観的に察しながら、個人的なことを話し合える距離
❸社会的距離:social distance
(距離:1.2~3.6m)
・一般客や他人と対応する距離、人前でも自分の仕事に集中できる距離
❹公衆距離:public distance
(距離:3.6m以上)
・公演会など、公衆との間にとる距離
3⃣心理的距離(フロイト)
介護福祉職は利用者との間に適度な心理的距離を保つことも必要です。職業として、全ての利用者に等しく関心や熱意を向けることが望まれます。
しかし、なぜか「気付けばよくAさんの部屋に訪れている」や「なぜかBさんとよく話している」というようなことがあるかもしれません。
逆に「どうもCさんのことは苦手だ」とか、「一緒にいると息苦しい」ということもあるかもしれません。
これらのことは単に人として気が合わないといった反応かもしれません。
また単純接触効果と言って、最初は気まずかったものが、回数を重ねると相手を好意的に思えてくるという現象もあります。これは、なじみの関係が構築された、と言い換えることもできます。
しかし、それらでは説明できない、
- 「過度に気になってしょうがない」、あるいは「逆にどうにも毛嫌いしてしまう」
場合があります。
これらの現象は、精神分析の考え方で『逆転移』と呼ばれるものです。
「逆転移」とは、これまでの人生における重要な人物との関係が、目の前の人との二者関係に深く影響していることを指します。
例えば・・・
- 「親から十分に構ってもらえなかった寂しさから、逆に利用者に過度にかまってしまう」や、
- 「祖父にやさしくできなかったから、面影が似ている男性利用者がとても気になってお世話し続けてしまう」
などです。
これまでの自分の経験を介護に生かすことは大事なことで、介護福祉職各個人の介護の持ち味であるともいえますが、それが特定の利用者に過度に偏ったり、あるいは自分自身が苦しくなったりする場合は「逆転移」という概念を頭に入れておくことも重要かもしれません。
精神分析とは?
フロイト(Freud.S.)によって始められた精神治療の方法。
精神過程は意識、前意識、深層である無意識の3層に分けられ、抑圧された願望は無意識そうに押し込められる。それを対話・夢・連想などから発見、意識化することで治療する。
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