こんにちは
介護ラボ・kanalogのカナです。今回は。。。
心身の機能低下が移動に及ぼす影響について
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精神機能の低下が移動に及ぼす影響
(1)意欲の低下
様々な原因により、物事に対する関心や、何かに取り組む意欲が低下することがあります。
そして・・・
関心や意欲の低下は、座ったまま、あるいは寝たままで過ごす時間を増加させ『廃用症候群』を引き起こす原因となります。
※廃用症候群とは??⇒長時間の臥床(寝た状態)や活動で2次的に生じる機能低下のこと。
また、意欲の低下が顕著な場合には、覚醒(目が覚めている状態)も低下して傾眠がちになる場合があります。このような場合には、仮に移動に必要な運動能力が残存していたとしても、実際に移動することは困難になります。
物事に対する意識や何かをやろうする意欲は、人が移動する上での基礎になるものです。
(2)意欲を低下させる原因
認知症や脳卒中の後遺症などで、意欲が低下する場合があります。
また一般に高齢者では、新しいことに関する記憶力が低下するため、状況の変化に対応しにくくなります。そのため、例えば転居などで環境が変わると、周囲の環境の変化に柔軟に対応できずに、外出機会や外出意欲を低下さえる原因になります。
そのほかにも近親者との死別により生活の張りを失ったり、病気や転倒に対する不安などを感じたりするようになることも、外出に対する意欲低下を招く原因になります。
高齢者や軽度の認知症がある人の場合、適切な外出場所や外出機会を確保することが重要になります。程度によっては、積極的に話しかけたり、可能なら座位または立位をとったりするなどして、外部からの刺激を与えることが必要となる場合があります。
身体機能の低下が移動に及ぼす影響
(1)骨折に伴う移動能力の低下
加齢や疾患などにより筋力の低下や神経伝導速度の低下、平衡感覚にかかわる器官(視覚や聴覚、体性感覚など)の機能低下が生じた場合、様々な刺激に対する反応速度が低下します。
平衡感覚って??
重力の方向に対する身体の位置や姿勢・動作を知る感覚のこと
体性感覚って??
皮膚や関節、筋、腱で感じられる感覚の事。視覚や聴覚など、はっきりした感覚器官をもつものは特殊感覚という。
そのためバランスを崩しやすくなり、転倒のリスクが高まります。また高齢者では骨密度が低下する傾向にあるため、転倒した時の骨折のリスクが高まります。
転倒により、
●橈骨遠位端(手首)
●上腕骨近位端(肩)
●大腿骨頸部(股関節)
●椎体(背骨)
が骨折しやすいとされ、特に大腿骨頸部骨折では、長期間の臥床を余儀なくされることもありましたが、現在は早期のリハビリテーションが行われています。
また尻もちをついたときに生じる、
●椎体の骨折(圧迫骨折)
でも腰痛が長期間続いて移動を困難にする原因になります。
【骨のはたらきや関節の動き】骨粗鬆症や拘縮予防に必要なこと vol.51
【高齢者に多い骨折の特徴と治療】生活上の問題点と福祉住環境整備 vol.125
【高齢者に多い骨粗鬆症とは?】原因や治療方法、日常生活への影響や支援について vol.216
【高齢者に多い骨折】頸椎圧迫骨折・大腿骨頸部骨折・橈骨遠位端骨折・上腕骨近位部骨折とは? vol.217
【高齢者に多い変形性膝関節症】原因と2つの治療方法について vol.218
【高齢者に多い関節リウマチ】原因と3つの薬物療法について vol.219
【高齢者に多い変形性脊椎症とは?】原因と予防方法について vol.220
【高齢者に多い脊柱管狭窄症】主な症状の4つの特徴、間欠性跛行とは? vol.221
という記事で『骨』について書きました!!
(2)廃用症候群や褥瘡の発生の伴う機能低下
❶廃用症候群
前項でも書きましたが・・・
長期間の臥床や活動の低下で二次的に生じる機能低下のことを『廃用症候群』といいます。
運動器では全身の筋力の低下(筋委縮)や関節可動域の減少(関節拘縮)が起こります。また胸郭を動かしている呼吸筋の筋力低下や関節の拘縮により、換気量が減少したり、心筋にも筋力低下が及ぶため心拍出量が減少します。
・胸郭⇒胸を取り巻く骨格
・心拍出量⇒心臓から送り出される血液の量
精神面でも、刺激が減少することによって意欲が低下したり、抑うつ状態を招いたりします。
これらの症状は離床(寝床を離れること)を妨げる原因となり、さらに機能低下をきたすといった悪循環になる恐れがあります。
そのほか自律神経の血管運動神経反射の弱化もみられるため、起立性低血圧を生じやすくなって、起き上がったり、立ち上がったりした直後にふらつく場合もあり注意が必要です。
廃用症候群を予防するためには・・・
日々の生活の中で、関節を動かす、筋力を発揮するなどの場面を作ること、しっかりと栄養を取ることなどが大切です。散歩などの運動習慣を持つことや、毎日ベットから離れて車椅子に乗車するなど、可能な範囲で活動的な生活を維持することが、廃用症候群の予防に繋がります。
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❷褥瘡(じょくそう)
褥瘡とは・・・
圧迫やずれの力の継続による循環障害により皮膚が壊死(細胞や組織の一部が死んだ状態)した状態をいいます。
褥瘡は、骨が突出した部分、例えば座位では坐骨や尾骨、臥位では仙骨や肩甲骨、踵骨のあたりに生じがちです。
高齢者では、脊柱の変形や関節の拘縮があったり、痩せている場合が多いため、脊柱などの骨の突出部に圧力が集中したり、座位姿勢のずれにより皮膚にずれる力が働いたりするなどして、褥瘡を生じる恐れがあります。
坐骨や尾骨、仙骨などに褥瘡が生じると、座位時間が制限されたり、臥位でも姿勢が限定されるなど、褥瘡が原因で廃用症候群になる場合があります。
褥瘡を予防するためには・・・
臥位では体位変換や褥瘡予防マット(エアマット等)による除圧を行い。車椅子上などの座位では、除圧動作(身体を傾けた片側の臀部の圧力を低下させたり、両手でアームレスト(手すり部分)を押し上げるプッシュアップ動作など)を一定時間ごとに行います。
- ✅褥瘡の症状とステージ(ステージ1~4)
- ◉ステージ1:軽度 ➡ ステージ4:重度
●ステージ1
・皮膚に発赤があり褥瘡になりかけている
・見た限り表皮に損傷はないが、熱感をもつ
●ステージ2
・皮膚は表皮から真皮まで欠損している
・水泡やびらん部があり、浸出液がみられる
・痛みがある
●ステージ3
・組織の欠損は表皮から皮下脂肪組織に達している
・感染を起こしやすい
・膿がたまっている可能性がある
●ステージ4
・腱、筋肉、骨、関節まで深い潰瘍が出来ている
・神経組織も侵されて、強い痛みがある
・命にかかわる感染症を起こす危険がある
・外科的治療が必要である
疾患に伴う機能低下
疾患により、筋や骨、関節、神経系などに異常があると、疼痛や麻痺を生じることで、運動機能が低下します。
高齢者の多くは腰痛症や変形性関節症などで、腰や膝、股関節に疼痛を訴える場合が多くあります。高齢者の腰痛では圧迫骨折に由来するものが多く、長時間持続します。
また脳卒中は、四肢麻痺や片麻痺を生じることがあります。
歩行では、身体状況の変化により、特徴的な歩行の様子(保養)が観察されます。高齢者によくみられる円背は、通常よりも前方に重心位置を移動させるため、代償的に膝を屈曲して、安定した立位・歩行姿勢を取ります。
円背(えんぱい)って??
圧迫骨折などに理由で脊椎の変形が生じ、背中が丸くなった姿勢になること。
このような歩容では、足先の上りが悪くなるため、躓きやすくなります。
脳卒中などにより片麻痺がある場合には、麻痺側の下肢を振り回すようにした前に出します。股関節に痛みがあったり、股関節周囲の筋力が低下していたりすると体幹を傾斜させた歩容になる場合があります。
パーキンソン病では、「すくみ足」や「突進現象」などがみられるため転倒しやすくなりますので注意が必要です。
【筋肉の動きと7つの役割】サルコペニア・高齢者の筋肉量減少の予防方法 vol.43
という記事で『筋肉』について書きました!!
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