こころとからだのしくみ

【②終末期】ターミナルケアの3つのポイントとは?? vol.327

2021-05-06

こんにちは。介護ラボのkanaです。今日は「こころとからだのしくみ」の中から『終末期』について、昨日と今日の2回に分けて書いていきます。

終末期の5つのアセスメント

Contents

1.加齢に伴う自然な亡くなりかたとは
2.看取りにかかわる人の価値観
3.終末期(ターミナル期)
 1⃣終末期に退院する例
 2⃣終末期の5つのアセスメント
 3⃣ターミナルケアの3つのポイント
 (1)症状コントロール
 (2)コミュニケーション
 (3)家族に対する援助

1.加齢に伴う自然な亡くなりかたとは

終末期とは

終末期とは、ガンや難病などの病気で余命宣告を受けた状態に限らず、加齢に伴い心身機能が衰えて自然に生を終える「老衰」もあります。

その人らしい自然な死を迎えるには、本人・家族を含めた看取りにかかわる人の価値観や死生観が大きく影響します。

2.看取りにかかわる人の価値観

看取りにかかわる人の価値観

利用者の死生観を尊重することと同様に、看取りには関わる人たちの捉え方や価値観が大きく影響します。そのため本人である利用者や家族、医療職、介護福祉職が価値観を共有し、同じ方向性で関わることで利用者の望む看取りの実現に近づくことができるのです。

しかし終末期には、本人の意思を直接把握することが困難な状態となり、家族に委ねられる場面も少なくありません。だからこそ、終末期の意思決定が困難になる前に、終末期になったときに、

  • 「大切にしていること」
  • 「して欲しいこと(医療)」
  • 「して欲しくないこと「医療」

について具体的に話し合い、事前に医師に示しておく必要があります。話し合いは、利用者・家族の病状への理解や、現状の受け止め等を考慮して、ケアチームでタイミングを計ります。

「どこで」「誰と」「どのように」最期を迎えたいのか、終末期の過ごし方や医療処置である救急蘇生や生命維持装置などについて、具体的な本人の意思を事前に確認することは、自己選択・自己決定を促すこととなり『自立支援』といえるでしょう。

そして、残される家族にとっても本人の意思を最大限尊重することになり、後悔の少ない看取りの支援が出来ることに繋がるのかもしれません。

3.終末期(ターミナル期)

終末期(ターミナル期)とは?

終末期とは、治療をしても治る見込みがなく、亡くなることが避けられない状態を指します。一般的に余命6か月の期間といわれますが、実際には数か月から数週間のこともあります。

終末期ケアの状況は、ガンや老衰、認知症、神経難病など、疾病や状態によって一様ではありません。終末期の利用者は、

  • 身体的苦痛
  • 精神的苦痛
  • 社会的苦痛
  • 霊的苦痛(スピリチュアル)

など様々な苦痛が生じるため、多様なケアを必要とします。

本人の意思を尊重しQOLを重視したケアでは、最期まで心穏やかに、自分らしさを保てるような配慮が大切です。在宅では、住み慣れた自宅で家族と一緒にかかわりを持ちながら、生きていることを大切にしながら介護します。

例えば、入院中の患者について、在宅での終末期ケアが難しいと思われるような状態や、医療の必要性が高いとしても、本人や家族の希望によって、退院に向けて準備を進めることもあります。

地域の社会資源や保険・医療・福祉サービスなど、あらゆる在宅サービスを調整し、1人ひとりにあったケアチームで支えていく事が重要です。

1⃣終末期に退院する例

ガン末期や難病などで、症状が安定している時を見計らって退院
タイミングを逃すと退院できないまま病院で亡くなることもあります。病気の進行が速い状況では「1日でも早く退院できる」ために、迅速な対応が求められます。介護支援専門員であるケアマネージャーと共にすぐに病院に行きアセスメントをし、必要なケアについて提案しながら、翌日からサービス提供できるよう、急いで準備することもあります。

❷食事がとれず意識もなく寝たきり、点滴と酸素吸入の状態で退院

❷食事がとれず意識もなく寝たきり、点滴と酸素吸入の状態で退院
会話が出来ていたころに「家に帰りたい」と言っていた本人の希望を叶えるために、家族が「家に連れて帰りたい」と希望し、残された最期の時間を自宅で過ごすために退院することもあります。

終末期を自宅で過ごすためには、退院前の準備が重要です。病院で医師や看護師が行っていたことを自宅では誰がどのように担うのか、自宅の環境や家族の状況に合わせて具体的に検討します。

退院前に病院でカンファレンス(サービス担当者が役割や提供するサービス内容について話し合うこと)を行い、病状や予後(病気の経過についての見通し)のことを家族と共に医師の説明を聞きます。

そのとき介護福祉職は、生活の視点で実際の介護場面を想定し、「排泄・食事・入浴・家事」を誰がどのように担うのかなど、必要な確認を行います。退院前カンファレンスでは、利用者と家族の病識や在宅への意向を確認し、現在の状況や介護の必要性に関するアセスメントを行います。

2⃣終末期の5つのアセスメント

5つのアセスメント

❶死生観を尊重するための情報
・信仰の有無
・生活歴(生活環境、生活習慣、人生観)、家族歴
・価値観

❷身体状況
・食事、排泄、睡眠、バイタルサイン(呼吸・体温・脈拍、意識状態)
・痛みや苦痛の症状

精神状況
・精神状態、亡くなることへの不安、恐怖など心理面
・コミュニケーション

社会的な状況
・社会との交流や接点の変化
・仕事や職場の問題
・家族の中の役割変化
・経済面

介護力
・家族関係
・家族の就労状況や健康状態
・近隣の協力者など地域の社会資源

3⃣ターミナルケアの3つのポイント

看取りは、本人の意向だけでなく、関わる人たちの文化や価値観によっても左右されます。高齢者、家族、医療・介護福祉職の3者の思いをが一致してはじめてターミナルケアとして機能を果たすことが出来るのです。

亡くなる瞬間まで人としての生命の尊厳を全うするための重要なケアです。高齢者から自己決定を引き出すことが難しい場合もありますが、家族だけに委ねるのではなく、本人の意向を引き出し、自己決定を促す努力も大切な支援です。

(1)症状コントロール
症状コントロール

身体症状のコントロールがなされなければ、不安の増強、気分や興味の低下、悲観的思考、疲労感、不眠などの状況に陥り、その人の人間性までも奪ってしまうことがあります。

生きていることがとても辛いことになると、利用者本人だけでなく家族も苦しめることになります。したがって、症状コントロールは大変重要です。

利用者と向き合い、辛い気持ちを受け止め、利用者のために何が出来るのかを考え、出来る限りのことをしながら一緒に歩んでいく、身近な存在となることが苦痛の緩和に繋がることもあります。

(2)コミュニケーション
コミュニケーション

終末期の利用者は、身体的苦痛のほかに、亡くなることへの恐怖や愛する人との別れ、孤独など、多くの不安や苦しみを抱えています。日々低下していく身体の機能や、人生の終わりに近づいていく事を実感する中で、これまでと変わらず尊厳をもって生き続けたいと願い、これまでの人生を振り返ることや、人とのかかわりの中で利用者の不安は軽減され、生きることの喜びと生きるための力を感じることに繋がることもあります。

このように、利用者が求めてきたとき、介護者はそばに寄り添い、訴えや言葉にじっくりと耳を傾け、気持ちをできる限り受け止めることが大切です。

なお、終末期にある人は、身体機能は低下していても、乾性が研ぎ澄まされ敏感です。何気ない一言で大きく傷つき心を痛めることがあります。言動には細心の注意を払い、表情や反応を見ながら常に安心感を与えるように関わっていく必要があります。

(3)家族に対する援助
家族に対する援助

ターミナルケアでは、介護する家族の協力が大切であり、同時に家族を利用者と同様に支えていくことも重要な役割の1つです。

終末期には介護量が増えますが、利用者の介護は殆ど家族が担っています。しかし、精神的にも支えとなる家族は、利用者にとって大きな存在で、それだけに家族の負担はとても大きく、また大切な家族の一員を失わなければならないことによる精神的負担もあり、多くの支援が必要な状況であることを理解し、家族も含めて支える心構えが必要です。

利用者と共に過ごす残された時間が充実したものとなるためには、利用者と家族を取り巻く様々な状況に対して、配慮や多面的なかかわりが大切です。介護を分担するだけでなく、コミュニケーションを十分に図り、家族の不安や悲嘆に寄り添いながら、ともに痛みを感じることが出来るように努め、信頼関係を築くことが重要です。

コミュニケーションの場面では、家族の不安な悩みを引き出せるように意識することが大切です。日々の関わりの中で家族の表情や言動から微妙なサインをつかみ取る鋭い観察力や、タイミングを逃さず反応を見ながら声を掛けていくといったコミュニケーションスキルが求められます。

どのような話であっても決して否定せず、まずは受け止めるように、受容的態度で傾聴することが基本です。家族を支える介護福祉職には、知識・技術や経験だけでなく、観察力や細かな心遣い、そしてケアする側である介護福祉職も自分なりの死生観を持ち、他者の価値観を尊重できる姿勢が求められます

気になるワードがありましたら、下記の「ワード」若しくは、サイドバー(携帯スマホは最下部)に「サイト内検索」があります。良かったらキーワード検索してみて下さい(^▽^)/

ADL QOL グループホーム ケーススタディ コミュニケーション ノーマライゼーション バリアフリー ブログについて ユニバーサルデザイン 介護の法律や制度 介護サービス 介護予防 介護保険 介護福祉士 介護福祉職 他職種 住環境整備 入浴 入浴の介護 医行為 喀痰吸引 地域包括ケアシステム 多職種 尊厳 感染症 支援 施設 権利擁護 社会保障 福祉住環境 福祉住環境整備 福祉用具 経管栄養 老化 脳性麻痺 自立支援 視覚障害 認知症 誤嚥性肺炎 障害について 障害者 障害者総合支援制度 障害者総合支援法 食事 高齢者


人気ブログランキング

にほんブログ村 介護ブログへ
にほんブログ村

に参加しています。よかったら応援お願いします💛

Twitterのフォローよろしくお願いします🥺





Follow me!

  • X
  • この記事を書いた人
  • 最新記事

kana

はじめまして(^-^)/ 介護ラボのカナです。
ブロガー歴3年超(818記事執筆)
介護のあれこれを2020年6月~2022年9/8まで毎日投稿(現在リライト作業中)

社会人経験10➡介護の専門学校➡2021年3月卒業➡2021年4月~回復期のリハビリテーション病院で介護福祉士➡2023年1月~リモートワークに。

好きな言葉は『日日是好日』
「福祉住環境コーディネーター2級」・「介護福祉士」取得
◉福祉住環境コーディネーター1級勉強中!
介護のことを少しでも分かり易く書いていきたいと思っています。
よろしくお願いします♡

-こころとからだのしくみ
-, , , , ,