こんにちは 介護ラボ・カナログのカナです。今日は福祉住環境の中から「視覚・言語障害」について、昨日と今日の2回に分けてまとめていきます。
「見えない障害」である言語障害の特性と理解
Contents
1.言語障害とは
2.原因疾患と治療・リハビリテーション
1⃣言語障害の3タイプ
2⃣失語症の原因疾患
3⃣構音障害の原因
4⃣音声障害の原因
5⃣言語障害のリハビリテーション
3.生活上の不便・不自由
4.生活上の配慮・工夫
5.福祉住環境整備
1.言語障害とは
「言語」はコミュニケーション手段であるため、言語に障害が生じると、意思疎通に不自由が生じます。昨日に引き続き、「見えない障害」である言語障害の特性をまとめていきます。
言語は、「話し手の脳の中で言葉を組み立て、脳から発生発語器官へ運動が指令され、発生発語器官が動いて発語する」過程と、「発声が空気を伝わって聴き手の耳に入った言葉が脳に伝えられ理解される」という2つの過程があります。
言語障害は、これらの過程のどこかに障害が生じた人とのコミュニケーションが困難になることで、次項の3つのタイプに分かれます。
- 大脳言語野とは?
-
耳から入った音声は、内耳、聴神経を通って大脳の言語中枢(言語野)に伝えられる。言語中枢で重要な働きをするのは、主に言葉を理解する機能を持つ「ウェルニッケ領域」と、主に言葉を語る機能を持つ「ブローカー領域」が障害されると、相手の言葉は理解出来るが、発語が困難になる。またウェルニッケ領域が障害されると言葉の理解に障害が生じ、言葉は出ても錯誤が現れたりする。
2.原因疾患と治療・リハビリテーション
1⃣言語障害の3タイプ
3つのタイプ
❶【失語症】
●障害の場所:「大脳言語野」
●症状:「言葉を組み立てて話す事」「聞いて理解すること」「文字を書く・読むこと」のいずれか、あるいはいくつかが障害される。
●日常的な対処法
『話すことが困難な場合』
・相手のペースに合わせて聞き取る
・「はい」「いいえ」の閉じられた、答えられるような尋ね方をする
・せかしたり、先回りをして言ったりせず、ゆっくりと聞く
・音声にこだわらず、文字盤やカードなども利用する
『理解に障害がある場合』
・簡潔な言い回しややさしい表現でゆっくり話したり、繰り返して話す。カードや実物、図絵、指差し、身振り、表情なども利用して伝える。
❷【構音障害】
●障害の場所:「発生発語器官」
●症状:「正しい発音が出来ない」「声が小さい」「ろれつが回らない」。言語の理解は正常で、復唱や読み書きは出来る。
●日常的な対処法
・ゆっくり落ち着いて話せるように配慮する。
・筆談や文字盤などを利用したり、携帯用会話補助装置などの代替え手段を利用する。
・話し手の視線、指差しなども手掛かりとなる。
❸【音声障害】
●障害の場所:「声帯」
●症状:「声がかすれる」「声が出ない」。言語の理解は正常である。
●日常的な対処法
・人口喉頭や食道発声法を用いる人もいる。筆談などを活用する。
・話し手の視線、指差しなども手掛かりとなる。
2⃣失語症の原因疾患
「失語症」の原因疾患は、脳血管障害(脳出血・脳梗塞)、頭部外傷や腫瘍などになります。
3⃣構音障害の原因
「構音障害」は、発生発語器官を動かす神経系の機能低下、発生発語筋の麻痺による運動性構音障害、脳性麻痺、口蓋裂など発生発語器官の形態異常、聴覚障害によるものなど、様々な原因があります。
4⃣音声障害の原因
「音声障害」の原因は、「喉頭摘出」や「声帯の異常」などになります。
5⃣言語障害のリハビリテーション
言語障害のリハビリテーションは、下記の2つの方法があります。
- 言語リハビリテーション:失語症や構音障害の症状化に前夜、コミュニケーション手段の拡大
- 発声練習:食道発声法などの練習
- 食道発声法とは?
-
口から空気を吸い、食道の中ごろで止めて瞬時に空気を逆流させて食道入り口を振動させます。その振動音を喉頭、口腔などで音に変換します。
3.生活上の不便・不自由
- 話す事の障害:うまく言葉が出てこなくなる、単語が思い出せないなどの「喚語困難」、意図した言葉とは別の発音や単語が出てきてしまう「錯誤」など、種々の症状があります。
- 聞くことの障害:言葉の聞き分けが困難になったり、音としては聞き取れても言葉の意味が分からなくなったり、別の意味に取り違えるなどがあります。
- 文字の読み書きの困難:失語症の場合、漢字は意味を持つために、一般にカナ文字よりも漢字の方が理解が容易である。習字の場合、カナを書き誤ったり、漢字を思い出せなかったり、漢字の形の誤りなどを生じたりすることがあります。
4.生活上の配慮・工夫
言語に障害がある人との、生活上の配慮や工夫は、下記の6つになります。
- 言語障害者とのコミュニケーションは、相手の障害に合わせ、適切な手段を用いることが必要になります。
- 話すことに障害がある場合は、介護者が利き手として十分に理解し、誤解しないような工夫が必要になります。
- 表情や身振り、周りの状況などを手掛かりにしたり、あらかじめコミュニケーション事項をカードやノートにしたものや文字盤などを準備します。
- 「はい」「いいえ」で答えられるような、閉じられた内容の質問をします。
- 相手の理解に合わせ、「ゆっくり」「はっきり」「短い表現」で伝えます。
- 文字盤を利用します。
5.福祉住環境整備
- 互いの言葉が聞き取りやすい静かで落ち着いた環境が大切です。
- 必要な情報は、文字ではなく図絵で表示しておくとわかりやすい場合があります。
- コミュニケーションノートやカード、文字盤、習字用のパソコンなどの必要な代替手段を備えておく必要があります。
- 緊急時・非常時のコミュニケショーン手段を備えておく必要があります。
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