こんにちは 介護ラボのkanaです。今日は「社会の理解」の中から『障害者の生活実態』について書いていきます。
障害者統計(障害者数)
Contents
1.障害者の生活実態
1⃣障害者統計(障害者数)
2⃣福祉サービスの利用状況(スティグマ)
2.障害者福祉施策の動向
(1)障害者自立支援法の制定
◉障害者自立支援法の3つのポイント
(2)障害者総合支援法成立までの歩み
(3)障害者自立支援法違憲訴訟
(4)障害者自立支援法違憲訴訟のその後
1.障害者の生活実態
今回は、障害者福祉の動向として、障害者の生活実態と、障害者福祉施策の動向についてまとめていきます。
1⃣障害者統計(障害者数)
障害者数は、統計上はずっと増え続けており、これからも増えていくことが予測されます。あくまで推計値ですが、障害者数は下記のようになっています。
上記のポイントををあげると、
❶身体障害者の場合は高齢化が進んでいること
❷知的障害者は施設入所者の割合が高いこと
❸精神障害者は入院率が高い
ことの3つがあります。
2⃣福祉サービスの利用状況(スティグマ)
障害者全てが障害者福祉の制度を利用しているわけではありません。家庭や地域社会での孤立、障害受容、あるいはスティグマ(福祉サービス利用への劣等感)など、色々な事情を抱えて制度を利用できていない人が数多くいます。
その実態を考えるために参考になるのが、前項の「障害者の総数」と「障害者手帳所持者数」の比較です。
障害者手帳は障害者福祉施策を受けるうえでパスポートのような働きをしているため、どの程度の人が福祉サービスに繋がっているかを把握する目安になります。
前項の表によると、身体障害者や知的障害者の場合は殆どの人が手帳を所持しているのに対し、精神障害者は2割程度の人しか所持していません。
また、厚生労働省が2018年(平成30年)に発表した「平成28年生活のしづらさなどに関する調査(全国在宅障害児・者等実態調査)」では、生活のしづらさを抱えているのに、障害者手帳を持たず、障害福祉サービスを受けることが出来ていない人が138万人いると推計されています。
支援が必要なのに孤立してしまっている人に、どのように福祉サービスを届けていくのかが問われています。
2.障害者福祉施策の動向
障害者福祉施策は、いま、どのような方向に動いているのでしょうか??
2000年代に入って、障害者福祉施策は飛躍的に発展してきました。
厚生労働省の「障害者保健福祉部予算案の概要」をみると、2008年(平成20年)は9700億円だったものが、2018年(平成30年)には、1兆8648億円に倍増しています。
2018年(平成30年)では、この予算のうちの大半である74%を障害福祉サービス関係費が占めています。
次項からは、障害者福祉サービスを規定した障害者自立支援法の登場、障害者自立支援法の廃止と障害者総合支援法への変化について書いていきます。
(1)障害者自立支援法の制定
2005年(平成17年)に成立した障害者自立支援法は、2000年(平成12年)に施工された介護保険法との統合を見据え、障害者福祉の歴史上大きな変革を行ったものでした。但し、同時に課題も多く示されてきました。
そのきっかけとなったのは、「社会福祉基礎構造改革」によって、社会福祉行財政の新たな方向性が示されたことや、医療保険改革、介護保険法が制定されたことなどがあげられます。
社会福祉基礎構造改革では、規制緩和によって福祉サービスへの民間団体への参入を促し、「措置制度」から「利用契約制度」へ転換させ、福祉サービスをある種の『商品』として提供するような仕組みに切り替えられました。
同時に、営利企業にも福祉サービスの参入を認め登場したのが、利用契約制度である「支援費制度」でした。しかし、この支援費制度が導入されたことにより、障害者の福祉サービスの利用が急速に伸びたことで、財政的な負担などの課題が生じました。
こうした課題を解消するために障害別の法制度で提供してきた福祉サービスを一元化したのが「障害者自立支援法」でした。
◉障害者自立支援法の3つのポイント
障害者自立支援法の3つのポイントは・・・
❶それまで障害別に提供されていた福祉サービスを一元化した。
❷対象者を判別するための新たな基準である「障害程度区分(現・障害支援区分)」を設定した。
❸利用者への応益負担(定率負担)を導入した。
(2)障害者総合支援法成立までの歩み
下記の表が、簡単に成立までの流れを整理したものです。
(3)障害者自立支援法違憲訴訟
障害者自立支援法では、収入にかかわらずサービス利用に一定の費用負担を求める「応益負担」を導入しました。このことは障害者の生活に経済的な重い負担を強いるとして批判が相次ぎました。
障害当事者やその関係者らによって、障害者自立支援法の問題を訴えるデモやアピール行動に加え、応益負担によって障害者が制度利用を控える実態を明らかにした社会調査が実施されたり、裁判所を舞台にその違憲性を訴えるアクションとして障害者自立支援法違憲訴訟が全国的に行われたりしました。
(4)障害者自立支援法違憲訴訟のその後
その後、障害者自立支援法違憲訴訟では、訴訟原告団・弁護団と国との間に和解が成立し、「基本合意文書」が取り交わされ、障害者自立支援法の廃止が明記されました。
政府は新たな法律を制定するために、数多くの障害当事者や家族が参加した「障がい者制度改革推進会議」を設置し、新たな法案の骨子を示した「骨格提言」を取りまとめました。
ところが、実際に厚生労働省が作成した法案では「骨子提言」の殆どは反映されませんでした。
難病患者を法の対象に加えたり、法の目的の条文が修正されたりはしましたが、結局のところ障害者自立支援法は廃止されず、『障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)」として名称を変えて存続し、現在に至っています。
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