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介護ラボ kanalogのカナです。今日は・・・
人権思想の具現化と自由権・生存権について
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アメリカの独立宣言(1776年)、
フランスの「人および市民の権利宣言(人権宣言)」(1789年)
は、いずれも国民主権による自由・平等の原理を宣言したものです。
そして、20世紀に入り、第1次世界大戦を経て、新たな人権思想が登場しました。
それが生存権的基本権ともいわれる社会権です。社会権(生存権)は、自由・平等の人権を単なるスローガンとして終わらせるのではなく、実質的に人々の人間らしい生活を保障しようとするものです。
世界史の上で、この社会権(生存権)を憲法に掲げたのは、ドイツのワイマール憲法(1919年)が最初であると言われています。
日本では、第2次世界大戦後の1946年(昭和21年)に制定された日本国憲法において、戦争の惨禍を踏まえ、平和と安全、そして幸せを希求した国民の総意に基づいた自由権、そして生存権思想に基づく人権の条項が掲げられました。
人権思想の具現化
人が老い、病、障害等によって生活に支障を生じ、人間の尊厳が保持されにくくなる際に、その保持・回復を支援するのは国家の責務です。国家はヒューマニズムを源流とした基本的人権を、国家の最高規範としての憲法に掲げました。そして、憲法の人権保障の理念を具体的に実現するために、生活支援のための法制度を制定しました。
ヒューマニズムとは・・・
一般的には人間主義と呼ばれている。それは人間性の尊重と人間の開放を意味する思想。ルネサンス期にイタリアから始まりました。
人権発祥の地であるヨーロッパでは、中世は宗教の教義によって支配されていた時代でした。しかし、人間復興を目指したルネサンスによって、次第に神から人間中心へという思想的潮流の変化が生じました。
一部の人だけではなく市民全体の意識の変化が、新たな時代の変革をもたらしたのです。人々は、人権に関するスローガンを掲げ、それが憲法制定の動きとなりました。
今日の人権思想の源流の1つとして、1776年のアメリカの独立宣言があります。独立宣言の中で重要な言葉が・・・
「われわれは、自明の真理として、すべての人は平等に造られ、造物主によって、一定の奪い難い天賦の権利を付与され、その中に生命、自由及び幸福の追求が含まれていると信じる。またこれらの権利を確保するために、人類の間に政府が組織されたこと、そしてその正当な権力は被治者の同意に由来することを信じる」 |
また、ヨーロッパにおいて人権思想が明文化されたのは、1789年のフランス革命における人権宣言が最初です。特に次の条項が重要です。
- 人権宣言
- 第1条
人は自由かつ権利において平等なものとして出生し、かつ生存する。社会的差別は共同の利益の上にのみ設けることができる。
第4条
自由は、他人の権利を侵害しないすべてをなし得えることに存する。その結果各人の自然権の行使は、社会の他の構成員にこれを同種の権利の享有を確保する以外の限界を持たない。それらの限界は、法によってのみ、規定することができる。
これらの人権に関する宣言は、今日の人権思想の原型になっているものであり、歳月の流れの中で、なお学ぶべきものをもっています。
自由権と生存権
束縛からの解放を求めた中世の人々の願いは、まず自由になることでした。
人間の尊厳における人間性の尊重は、この自由権から始まったのです。自由権は今日の生活支援における自立への思想へとつながります。そして人権の歴史は、自由権から実質的な人間らしい生活の権利の保障、すなわち生存権へと移ってきたのです。
生存権がその姿を鮮明にあらわしたのは、20世紀に入ってから、1919年のドイツのワイマール憲法がその典型と言われてます。ワイマール憲法は、生存権は自由(生きる権利)・平等の権利であるということと共に、人間らしい生存・生活を実質的に保証するということをうたっています。
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世界人権宣言
最後に、1948年の世界人権宣言を見ていきます。
- 世界人権宣言
- 第22条
すべての人は、社会の一員として、社会保障を受ける権利を有し、かつ、国家的努力及び国際的協力により、また、各国の組織及び資源に応じて、自己の尊厳と自己の人格の自由な発展とに欠くことのできない経済的、社会的及び文化的権利を実現する権利有する。
この世界人権宣言は、第2次世界大戦の悲惨な経験から生まれたものです。
そこに平和を迎えた新たな時代の息吹を感じます。生命への畏敬の念が根底にあり、そして思想的源流には人類全体の幸福の追求を目的とするヒューマニズムがあります。もちろんヒューマニズムのみが思想的源流ではありませんが、人間の尊厳に深くかかわる思想であるといえます。
「自己の尊厳と自己の人格の自由な発展」を実現する権利を有するという世界人権宣言第22条の内容は、社会生活において人間の尊厳が保持されるためには、1人ひとりの人間が社会的に自己の能力を十分に生かす機会とそのための環境が用意されるべきであるということを意味しています。
第22条で宣言された権利は、機能訓練のような体の部分的な維持・回復だけでなく、全人的な成長・発展を伴う社会的な活動・参加を実現する権利の意味で用いられています。
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