こんにちは💛 こ介護ラボのkanaです。今日は「福祉住環境」の中から『ユニバーサルデザインの概念』について、5回に分けて書いていきます。今回は3回目です!
国際シンボルマークの基準
Contents
1.ユニバーサルデザインの具体的展開
1⃣ユニバーサルデザインと国民の理解
2⃣ユニバーサルデザインの取り組み
2.日本におけるユニバーサルデザインの展開
1⃣ユニバーサルデザインの原点
2⃣ユニバーサルデザインのまちづくり
3⃣国際シンボルマークの基準
4⃣バリアフリー法
1.ユニバーサルデザインの具体的展開
1⃣ユニバーサルデザインと国民の理解
2021年(令和3年)に公表された内閣府の調査によれば、ユニバーサルデザインの認知度は、ユニバーサルデザインを、
- 「知っている」:35.1%
- 「どちらかといえば知っている」:23.8%
であり、合計でも6割近くありました。
2007年(平成19年)に障害者施策の擁護に関して行われた、「ドイツ」「アメリカ」「日本」の比較調査でのユニバーサルデザイン(UD)の認知度は、
・「ドイツ」:23.1%
・「アメリカ」:17.7%
・「日本」:31.8%
と極めて高い数値になっています。
※内閣府「令和2年度バリアフリー・ユニバーサルデザインに関する意識調査報告書より
この理由はいくつかありますが、アメリカでは、ユニバーサルデザインの代わりに「ヒューマン・センタード・デザイン(人間中心の設計)」という類似表現がよく使われており、表現が多様化している可能性があります。
また、ユニバーサルデザインの同義語として、ヨーロッパでは「インクルーシブデザイン」の用語がしばしば用いられています。
2⃣ユニバーサルデザインの取り組み
日本におけるユニバーサルデザインの認知度の高さは、国や自治体の政策展開、企業の商品開発の成果であり、21世紀に入り世界でも有数のユニバーサルデザイン立国となっています。
1990年代後半に伝わったユニバーサルデザインの考え方もわずか10年であっという間に国内に浸透し、行政、企業の広範な展開が市民意識を啓発し、理解に繋がっています。
さらに、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に伴い、国立競技場、都立競技場、成田国際空港、公共交通機関、宿泊施設など、多様な場面でユニバーサルデザインの取り組みが推進されています。
また、近年における大規模自然災害の増大に対応した学校など、
- 公共施設の避難所の整備
- 避難情報
- 避難所ルート
でのユニバーサルデザインの対応がますます重要となっています。
災害時には多くの罹災者が発生しますが、高齢者、障害のある人々への対応は特に重要になります。
また、大規模都市公園や、自然環境との調和にも十分な配慮が必要です。
2.日本におけるユニバーサルデザインの展開
1⃣ユニバーサルデザインの原点
ユニバーサルデザインが日本に伝わったのは1990代後半で、1999年(平成11年)、静岡県がユニバーサルデザイン室を設置すると瞬く間に全国の地方公共団体がユニバーサルデザインに関心を示し、行政や企業が一斉にユニバーサルデザインの理解と啓発に取り組み始めました。
2000年(平成12年)以降は、熊本県や埼玉県、三重県など各地でユニバーサルデザインの基本方針が立案され、幅広い市民、利用者のニーズを取り組んだモノづくりやまちづくりが展開されてきました。
しかし、日本におけるユニバーサルデザインの原点といえば、1970年代初頭に仙台で生まれた「福祉のまちづくり運動」にさかのぼることができます。
2⃣ユニバーサルデザインのまちづくり
障害のある市民は、1969年(昭和44年)、国際リハビリテーション協会が定めたばかりの「国際シンボルマーク」に強い共感を示し、市内の公共施設や大型商業施設を国際シンボルマークの基準に改造するよう求める運動を展開しました。これが、「福祉のまちづくり」運動の始まりになります。
仙台車いす市民の運動をサポートした朝日新聞厚生文化事業団の助成により制作された福祉のまちづくり運動の啓発スライドのタイトルは「みんなの街づくり」、ユニバーサルデザインのまちづくりの幕開けでもありました。
日本のユニバーサルデザインのまちづくり、すなわち福祉のまちづくりは、車いすを使用する市民によって立ち上げられ、「市民みんなのまちづくり」となる方向を強く秘めていました。
しかし、その後展開は、車いす市民が掲げた福祉のまちづくり=「障害者のためのまちづくり」となり、その後「バリアフリー」というカタカナ語に変わっても狭義の障害者福祉対策からなかなか抜け出せないでいます。
こうした福祉のまちづくりの動きは、アメリカでユニバーサルデザインが生まれた前夜とよく似ています。
今日の共生社会では、ユニバーサルデザインの考え方は全ての都市環境や生活環境の整備に不可欠な考え方となっていますが、その発祥は日本でもアメリカでも障害者が、
- 当たり前に街に出る
- 学ぶ
- 働く
- 暮らす
といった基本的に日常生活の権利の獲得運動から始まったものであることがわかります。
他の『バリアフリー』記事はこちらから・・・
【高齢者を取り巻く住環境と施策】5つの高齢者向け住宅 vol.121
【❸発達障害とは?】社会的障壁と生活支援上の留意点 vol.272
3⃣国際シンボルマークの基準
- ★国際シンボルマーク基準
- ◉玄関
・地面と同じ高さ、階段の代わり又は階段のほかに傾斜路(ランプ)を設置
◉出入口
・80cm以上。回転ドアの場合は別の出入り口を設ける。
◉ランプ
・傾斜は1/12以下、屋内外を問わず階段の代わり、又は階段のほかにランプを設置
◉通路・廊下
・130cm以上の幅員
◉トイレ
・利用しやすい位置に設置。外開きドアで、内部が広く手すり付き
◉エレベーター
・出入口は80cm以上
※出典:公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会「国際シンボルマーク使用指針」1993より
4⃣バリアフリー法
2005年(平成17年)、国土交通省は、これからの高齢社会における社会資本整備の考えかたと目標を取りまとめ「ユニバーサルデザイン政策大網」として発表しました。
この大網を実現する法制度として「高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律(ハートビル法)」と、「高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律(交通バリアフリー法)」を統合した、
- 「高齢者、身体障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー法)」
が誕生しました。
現在、「バリアフリー法」に基づく移動等の円滑化基準を踏まえ、各種施設の設計ガイドラインが策定されています。
2021年12月現在、
- 公共交通機関の移動等円滑化整備ガイドライン(旅客施設編、車両等編、役務編)
- 旅客船バリアフリーガイドライン
- 都市公園の移動等円滑化整備ガイドライン
- 高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計基準
があります。
2017年(平成29年)2月、内閣官房東京オリンピック・パラリンピック推進本部が中心となり進めてきた「ユニバーサルデザイン2020行動計画」が関係省庁官僚会議で了承されました。
この行動計画は、オリンピック・パラリンピックを契機に日本が目指すべき『共生社会』像を行動で示すことを最大の目標としました。
行動計画では、多様性を理解し、個々の違いを受け入れ、障害者を含むあらゆる差別のない社会の形成や対応について「心のバリアフリー」を掲げ、さらには国内外の多様な人々の訪問、移動、宿泊、観光等に基盤整備となる「ユニバーサルデザインの街づくり」の2つを重要な柱にしました。
この行動計画は、同年3月国際パラリンピック委員会(IPCによって承認された「Tokyo 2020アクセシビリティ・ガイドライン」と連動しながら、東京2020オリンピック・パラリンピック大会の開催を目前に控えて、人的面、物的面、制度面の緊急整備課題を議論しそれらの行動計画を取りまとめたものです。
東京2020大会が契機とはなったユニバーサルデザインの取り組みではありますが、政府が一丸となって議論し取りまとめた点は画期的なことでした。
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