こんにちは(^▽^)/ 介護ラボのkanaです。今日は「生活支援技術」の中から『自立に向けた食事介護』について7回に分けて書いていきます。今日は5回目です。
片麻痺、嚥下障害があり座位保持が難しい利用者の食事介助
Contents
1.利用者の状態に応じた食事介助
1⃣食事姿勢
2⃣介助の6つのポイント
2.ベッド上で行う食事介助(片麻痺、嚥下障害があり座位保持が難しい利用者)
1⃣21の介助手順と留意点・概要
2⃣スプーンの入れ方(使う場合)
1.利用者の状態に応じた食事介助
片麻痺や嚥下障害があり、座位が保てず動作全般に介助が必要なな利用者のベッド上で行う食事介助方法をまとめていきます。
1⃣食事姿勢
【ベッド上での食事姿勢】
◉利用者の姿勢を整えます
・上体をギャッジアップします
・膝下にクッションなどを入れる
・起き上がった後は背抜きする
・頸部を前屈させた姿勢にする
・利用者の首元にタオルなどをあてる
2⃣介助の6つのポイント
❶健康状態の把握を行い、適切に介助することで誤嚥を防止する
❷本人の意欲と動作能力を引き出し、安全に、楽しく食事が出来るよう介助する
❸本人の嗜好・こだわり・習慣等に配慮する
❹姿勢や疲労など身体的負担に配慮する
❺低栄養予防・脱水予防のために食事摂取量、水分摂取量の維持・増進を図る
❻プライバシーに配慮する
2.ベッド上で行う食事介助(片麻痺、嚥下障害があり座位保持が難しい利用者)
〈必要物品〉
おしぼり、オーバーテーブル、タオル、お膳(主食、主菜、副菜、汁物)、箸、スプーン・フォーク、ストロー、吸い飲み、安楽姿勢を保持するためのクッション、介助用椅子、介助用ハンドタオル、コップ、ガーグルベースン、歯磨き、口腔ケアセット、食事用エプロン、ティッシュペーパー、滑り止めマット、箸置き、自助具、嚥下補助食品など
1⃣21の介助手順と留意点・概要
ベッド上で行う食事介助の21の手順と留意点・概要
❶介助手順: 利用者に食事時間であることを説明し同意を得ます。
【留意点と根拠】➡利用者の意向を確認し、自己決定を尊重します。これから行う介助の方法・手順を理解してもらいます。
※介助内容を知ることで、利用者が安心・納得して行為を行うことに繋がる。
・事前に排泄を済ませてもらいます。
※排泄の介助で食事が中断されると、食欲や集中力が低下し疲労にも繋がる。
❷介助手順: 利用者の気分・体調を確認します。
【留意点と根拠】➡気分や体調を確認します。覚醒しているか、意識がはっきりしているか、食欲はあるかを確認します。口頭で確認するだけでなく、顔色・表情なども観察します。
※利用者の状態に応じた、安全・安心な介護を提供するため。
❸介助手順: 利用者の姿勢を整えます(上体をギャッジアップして起こす。膝下にクッションなどを入れる。起き上がった後は背抜きをする。頸部を前屈させた姿勢にする)。
【留意点と根拠】➡上体をギャッジアップして起こします。頸部が緊張していると上手く飲み込めません。ベッド上でも出来るだけ座位に近い姿勢である「頸部前屈姿勢」に整えます。
※誤嚥を防止するとともに、食べやすく、飲み込みやすい姿勢にする。
・腰や足元は滑り落ちないよう膝下にクッションなどを入れ、足底はベッドにしっかりつけます。起き上がった後は、背抜きをして背部や腋窩の緊張を取り除きます。
・膝下や腰などにタオルやクッションを用いて、姿勢が安定し、腹部の緊張が少なくなるよう安楽な姿勢に整えます。
★背抜きとは→ベッド上で上体をギャッジアップまたはギャッジダウンした際、身体をマットレスからいったん離し戻す介助のこと。
❹介助手順: 利用者の首元にタオルなどをあてます。
【留意点と根拠】➡利用者の衣服や寝具への汚染防止のため、タオルをあてます。
❺介助手順: 必要物品を準備します。介護者用の椅子や、ハンドタオル等も準備しておきます。
【留意点と根拠】➡利用者が日頃から使用しているものを使います。
・口元や胸元の汚れ防止のためのエプロンやタオルの使用については、利用者への説明し、使用者の希望を尊重して決めます。
❻介助手順: 配膳します。
【留意点と根拠】➡利用者にお膳全体を見てもらってから、お膳を置きます。
・「食べたい」という気持ちを刺激するため、楽しい食事の提供のため。
❼介助手順: ベッドの高さを調整し、利用者の横に座ります。
【留意点と根拠】➡利用者と目線の高さが同じくらいになるようにベッドの高さを調整して、利用者の横に座ります。
・利用者の咀嚼、嚥下状態や表情が観察しやすい位置、麻痺がある人の場合は健側に座ります。
※目の高さを利用者と合わせることで利用者の頸部が後屈するのを防ぎ、誤嚥を防止する。また、介助者の腰痛予防にもなる。
❽介助手順: おしぼりで手を拭いてもらいます。
【留意点と根拠】➡片手で拭いた後は、感染防止のため面を変えて、反対の手を拭いてもらいます。
・利用者に健側の手で患側の手を拭いてもらいます。健側の手を拭くときは必要に応じて介助します。
❾介助手順: 初めにお茶などの水分をすすめます。
【留意点と根拠】➡動作や嚥下の状態を確認します。状態によっては食事形態や介助内容の変更を検討する必要があります。
※水分を摂ることで口腔内を湿らせ、唾液の分泌を促進し、咀嚼・嚥下しやすい状態になる。それにより誤嚥防止に繋がる。
❿介助手順: 献立の説明をします。
【留意点と根拠】➡単なるメニューの紹介ではなく、熱いのか、冷たいのか、食材や調理法、味付けなどを説明します。利用者が食欲を感じ「食べたい」と思うような説明の工夫が大切です。
・主菜・副菜は、献立の内容を利用者が見えるように一皿ずつ説明します。
・刻み食、ソフト食、ペースト食などの食事形態の利用者には、常食(一般職)を用いて献立の説明をすると伝わりやすくなります。
⓫介助手順: 利用者に食べる順番をたずねます。
【留意点と根拠】➡利用者の希望を大切にします。
⓬介助手順: 声掛け、観察、確認をしながら介助します。
【留意点と根拠】➡利用者が緊張したり気恥ずかしさを感じることが無いようコミュニケーションを取り、笑顔を交わしながら介助します。
・魚をほぐすなど食べやすい形状に介助する必要があるかを利用者に確認します。
※安心・安全な食事提供のため。
・口の中に食べ物がある状態で、詰め込まないようにします。利用者の咀嚼のペースに合わせ、飲み込んだことを確認してから次の食べ物を口に運びます。
・利用者の口腔内に食べ物が無いか、しっかり飲み込んだかを確認してから声掛けをします。楽しい食事時間となるよう、話題にも気を付けます。
※咀嚼中に話しかけると、咀嚼や飲み込みのタイミングがずれ、誤嚥を招く。
★スプーンの入れ方(使う場合)は次項で説明します。
⓭介助手順: 食事が終わったら、口元や手指を綺麗に拭きます。
【留意点と根拠】➡利用者におしぼりを渡し、出来るところは自分で拭いてもらいます。口元などに発赤やかぶれがないかどうかを確認します。また、患側に食べ物が残っていないかを確認します。
※口腔内に食べ物が残った状態で歯磨きやうがいをすると、誤嚥する危険がある。
⓮介助手順: 利用者に食事が終わったことを確認し、下膳の了解を得ます。
【留意点と根拠】➡食事の感想等をたずねます。食事摂取量、食べ残し、お膳の汚れ等を確認し、箸や食器類を整え下膳します。
⓯介助手順: 後片付けします。
【留意点と根拠】➡衣類や寝具、ベッド周辺が汚れていないかを確認します。
⓰介助手順: 利用者の姿勢を整えます。
【留意点と根拠】➡背部や臀部の苦痛を取り、口腔ケアを安全に行える姿勢に整えます。
・利用者の体調に変化が無いか、表情や声掛けによって状態を確認します。
⓱介助手順: 口腔ケアを行います。
⓲介助手順:食べたものが逆流しないよう、食後は30分程度ギャッチアップの状態を保ち、胃を落ち着かせてから安楽な体位に替えうことを説明し了承を得ます。
【留意点と根拠】➡食後の気分の不快、体調の変化に配慮します。
※食後すぐ寝てしまうと、胃酸が逆流しやすく、逆流性食道炎を発症しやすい。また、脳が血液不足に陥り、脳卒中を起こすリスクが高くなる。
⓳介助手順:ベッドの高さを元の位置に戻します。
【留意点と根拠】➡利用者がゆっくり休憩できるよう、食事前の環境に戻します。
⓴介助手順:気分や体調、排泄の有無について確認します。
【留意点と根拠】➡利用者の体調に合わせ、その後の活動内容や介助内容を検討します。
㉑介助手順:記録します。
【留意点と根拠】➡状態や状況を記録します。
2⃣スプーンの入れ方(使う場合)
【スプーンの入れ方】
①下の中央にスプーンをのせる
②少し上の方に引き抜く
③上に上げ過ぎると顎を上げてしまうので注意する
④スプーンを横に向けスライドさせながら下の中央に入れます
スプーンを使う場合は、1度に口を入れるのは、ティースプーンに軽く一杯を目安にします。スプーンを口に入れる角度、タイミング、食べ物が視野に入る位置を確認しながら介助します。
スプーンは下から口元に向けて上がるように近づけます。食べ物が下から出されると、顔も自然に下向きになるので、飲み込みやすく誤嚥防止に繋がります。
スプーンが入ってきた刺激で吐き気を誘発することがあります。スプーンは奥まで入れないように注意することが必要です。
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【摂食嚥下の5分類】食事に関連したからだのしくみ vol.90
【①自立に向けた食事介護】摂食・嚥下の5つの流れ vol.488
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