介護ラボのkanaです(^▽^)/ 今回は自立支援とノーマライゼーションについて。そして今までの福祉の理念やその歴史についてもまとめていきます!
ノーマライゼーション・インクルージョンとは?
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リハビリテーションとは
リハビリテーション(rehabilitation)という言葉は、一般的に「リハビリ」といわれています。
例えば、何らかの障害によって歩くことが難しくなった人が、歩く練習を行っていることを、
- 「リハビリを頑張っている」
- 「リハビリに通っている」
と表現することがあります。
しかし、リハビリテーションという言葉の本来の意味は、運動や練習、治療そのものを示すものではありません。
本来の「リハビリテーションの意味」は・・・
re(再び)-habilis(適応)-ation(すること)
「権利の回復」や「名誉の回復」を意味しています。
前述した、歩くことが難しくなった人が、練習を頑張ったことで歩けるようになることは、歩けなかったときに比べて、その人の日常生活の質を上げることになります。そのうえで、趣味や社会的な活動など様々な出来事に参加できるようになります。
その経過の全てがリハビリテーションということになります。
1⃣リハビリテーションの概念
私たちが何らかの原因で自分らしく生きていくことが出来なくなったときに、再び自分らしい状況になることをリハビリテーションと言います。
これは病気やけがに伴う医学的な治療や練習ばかりではなく、職業能力の開発訓練や教育、経済的・社会的な支援を受けることも含みます。
歴史的にリハビリテーションという言葉の起源は、中世のヨーロッパに遡ります。
その時代には、主に宗教的な意味合いが強く破門の取り消し、身分や地位の回復などの意味で使われていました。近代になって、無実の罪を取り消すこと、権利や名誉の回復など、社会的な意味が強くなってきました。
現代になると、犯罪者の更生や社会復帰に用いられることが増えて、人間全体の価値や尊厳にかかわる、人権や名誉、資格の回復などを意味するようになってきました。
現在、日常的に用いられている「医学的な治療や練習」「障害を負ってからの社会復帰」といった福祉的な意味が強くなったのは第1次世界大戦からで、傷病兵が治療後に前線に復帰を果たす事や社会への復帰という意味で用いられ、第2次世界大戦後は日常的に医学や福祉分野の言葉として使われることが多くなってきました。
(1)リハビリテーションの理念
人間は誰でも生まれながらに、人間らしく生きる権利を持っています。しかし、病気やケガ、障害などによってその人らしい生活が出来なくなることもあります。リハビリテーションの理念は、そのような人々のその人らしく生きる権利を回復する全人間的復権です。
- 人間らしい回復とは必ずしも元通りの生活に戻ることをいうだけではありません。
障害をきっかけに、それまでよりもより価値の高い新しい人生を作り出すこともあります。例えば・・・
- 『実際に定職にも就かずその日暮らしをしていた人が、脳血管障害で歩くことが困難になってしまいました』
この人は、支援者のすすめでそれまで全く興味すら持っていなかった絵を描くことを始めて、本来持っていた才能を開花し、素晴らしい絵を描くようになっていきました。その後、車いすで色々な土地に旅をして絵を描き、展覧会で賞をもらうまでになりました。
この人の場合、歩くという能力には障害を受けたものの、残された機能を使って絵を描くといった潜在能力を生かし、より高い社会活動や生活の質を得ることが出来ました。
しかし、このことは、本人の努力や周りの支援者だけの力で叶えられたわけではありません。
車いすで旅をするには、車いすで普通に動ける道路、トイレなどの街づくりや、公共交通機関など環境も整う必要があります。
また収入が無くなれば経済的な支援など、政策を含めた社会の整備があってはじめて、その人らしく自らの価値を前向きにとらえることが出来るようになります。
このように、本人を取り巻くすべての条件が整うことが大切になります。
(2)リハビリテーションの考え方とその歴史
リハビリテーションの考え方は時代とともに変化してきました。
現在では『全人間的復権』という考えで、どのような障害のある人でも、社会の中で、その人らしく生きていくこととなっています。このような考え方にいたる歴史についてまとめていきます。
❶自立生活運動(IL運動)
1960年代にアメリカのカリフォルニア大学バークレー校で、重度の身体障害のあるロバーツ(Roberts,E.)が、入学時に段差などの環境上の問題から学生寮に入寮できなかった経験から、障害のある学生による自立生活運動(IL運動:Independent Living Movement)が起きました。
これは障害のある大学生の「障害者にもみんなと同じ権利を」との抗議運動です。
地域社会や大学構内のアクセシビリティを求める運動組織を結成し、アクセシビリティとともに大学が行っている障害のある学生の管理システムについても問題定義をしました。
この運動の主張は、介護側の便宜のために施設に収容されて、提供される毎日を拒否することで「重度の障害があっても自分の人生を自立して生きる」ことでした。
彼らが提唱した自立生活支援サービスの3つの原則は・・・
- 1⃣障害者のニーズを知るのは障害者自身である
- 2⃣障害者のニーズは多様なサービスを統合的に提供することで効果的となる
- 3⃣障害者は出来るだけ地域社会に統合されるべきである
です。これは、それまで専門職が中心となった援助から、自ら決定することが自立という概念を作りました。
これによって「他人から援助を受けないことを自立とするのではなく、援助を受けても自ら選択し決定することが自立」ということの概念を世の中に広めることが出来、現在の自立という概念の基礎となりました。
アクセシビリティとは?
障害者や高齢者を含む誰もが、目的とする場所への経路において支障なく利用できること、あるいはその度合いをいう。
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❷ノーマライゼーション
ノーマライゼーションとは、1950年代に北欧で起こった障害者福祉の社会理念の1つです。
その考えは、デンマークでの知的障害者への援助方法からの反省で、その始まりは1951年に結成された知的障害児親の会の願いからでした。
- 1500人収容する大型施設を20人から30人の小規模な施設にして欲しい
- 社会から分離されている施設を親や保護者の生活する地域に作って欲しい
- 障害のない子どもたちと同じような教育を受ける機会を作って欲しい
というもので、親たちの願いを象徴的に表現する言葉として「ノーマライゼーション」という言葉が使われました。
ノーマライゼーションの考え方
「障害のある人を特別扱いし排除するのではなく、障害があっても多くの人たちと平等に普通に生活できる社会が当たり前の社会である」というもの。
眼の悪い人が「眼鏡」や「コンタクトレンズ」といった補助器具を使用することによって、多くの人と同じ生活を送ることもその1つです。
また歩くことが難しい人は、車いすという補助具を使うことによって移動が出来ます。しかし、段差や、車いすで入れない狭い空間の道やトイレ等は入れません。
そのため買い物や旅行に行く場合、段差がないところや、広いトイレがあると分かっているところにしか安心していくことが出来ません。しかし、段差のあるところにスロープやエレベーター、リフトがあり、車いすの入ることが出来る広い空間のトイレであれば、安心してどこにでも行くことが出来ます。
このように、その人を取り巻く環境を社会が整えることによって、さまざまな障害のある人が、障害のない人と同様の生活を送ることが出来るようにしようとする考え方です。
他の『ノーマライゼーション』記事はこちらから・・・
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【ノーマライゼーションの8つの目標とソーシャルインクルージョン】vol.23
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❸インクルージョン
インクルージョンとは、「包含、含めること、包括、組み入れ(社会的な)」という意味を持ちます。
教育や福祉の領域では「障害があっても地域で地域の資源を活用し、市民と共に生きる共生社会を目指す」という理念としてとらえられています。
このインクルージョンが注目を集めるきかっけになったのは、1994年にユネスコの「特別ニーズ教育世界会議」において採択されたサラマンカ宣言です。
この宣言は、「すべての人を含み、個人主義を尊重し、学習を支援し、個別のニーズに対応する施設に向けた活動の必要を訴えています。
ノーマライゼーションとインクルージョンの考え方
この2つの考え方は別々のものではなく、延長線上にあるといえます。
障害のある全ての人や生活弱者の人たちを特別扱いして排除するのではなく、普通の生活が出来るように平等に扱う「ノーマライゼーション」から始まり、1歩進んでその普通の扱いの中でも、1人ひとりにあった支援によって普通の生活を営むことが出来る「インクルージョン」へと向かっていかなければならないのです。
地域社会はさまざまな人々によって成り立っています。その1人ひとりがその人らしい暮らしを営み、その暮らしを地域が包括していく社会が求められているのです。
❹バリアフリーとユニバーサルデザイン
障害者基礎計画(平成14年12月閣議決定)によると、バリアフリーとは、「障害のある人が社会生活をしていくうえで障壁(バリア)となるものを除去するという意味で、もともと住宅建築用語で登場しました。
段差等の物理的障壁の除去ということが多いですが、より広く障害者の社会参加を困難にしている、
- 社会的
- 制度的
- 心理的
なすべての障壁の除去という意味で用いられると定義しています。
バリアフリーは、障害によりもたらされるバリア(障壁)に対処する考え方であるのに対し、ユニバーサルデザインは、「あらかじめ障害の有無、年齢、性別、人種等にかかわらず多様な人々が利用しやすいよう、都市や生活環境をデザインとする考え方」と定義しています。
バリアフリー
障害者や高齢者などの生活弱者のために、生活をするうえで障害となる物理的な障壁を取り除くこと
ユニバーサルデザイン
障害者や高齢者も含め多くの人たちが、最初から使いやすい道具や環境を作るという考え方
(3)ハビリテーション
リハビリテーションの概念は、re(再び)という言葉が入っていることで、健常な状況にあったものが何らかの出来事によって、心身に障害を負った場合の権利を回復することを指しています。
しかし生後すぐに身体的・精神的に障害のある子どももいます。このような子どもの場合には、そもそも持っていた権利の回復を図るのではありません。
新たに人として権利を獲得できるよに、その人が持っている能力を可能な限り伸ばし社会に適応できるような支援をすることになります。このような場合にはリハビリテーションではなく、ハビリテーション(habilitation)となります。
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