口腔から食道、摂食嚥下の5分類と治療食について
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食事に関連したからだのしくみ
食べる動作には、
🔹視覚(食べ物の確認)
🔹嗅覚(におい)
🔹聴覚(聞く)
🔹味覚(味の確認)
🔹触覚(手触り)
🔹上肢(腕や手)の動き(口まで運ぶ)
🔹口唇の動き(食べ物を取り込む)
🔹咀嚼(食べ物を砕く)
🔹食塊形成(食物のまとまり)
🔹舌による移送
🔹嚥下反射(食べ物を飲み下す事)
🔹咽頭・食道蠕動(蠕動:規則的な筋運動)
など、多くの器官や機能が複雑に関係しています。
他の『食事』記事はこちらから・・・
【1日に必要な栄養素】食事に関連したこころのしくみ vol.89
1⃣口腔から食堂までのしくみ
口腔から食道までの名称については下記の通りです。
この図には記載されていませんが、舌は先の方から、
舌尖(ぜっせん)⇒舌背(ぜっぱい)⇒奥舌(おくぜつ)⇒舌根(ぜっこん)
と呼び、
顎と頸のくびれの内側にある舌骨、
気管の入り口にあって嚥下をする際に蓋の役割をする軟骨の喉頭蓋、
甲状軟骨の裏辺りに声帯、仮声帯があります。
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2⃣摂食と嚥下運動(摂食嚥下の5分類と嚥下3期とは)
食事の動作には、
「先行期」⇒「準備期」⇒「口腔期」⇒「咽頭期」⇒「食道期」の段階があり、これを『摂食嚥下の5分類』と言います。
そして口腔から食道期の3つ「口腔期」⇒「咽頭期」⇒「食道期」の時期は、『嚥下3期(相)』と言われる嚥下運動を示します。
- ✅摂食嚥下の5分類
- 【先行期】
食べ物の形や色、匂いなどを認知する時期。
食事を見ながら食べ物の硬さや味などを過去の経験から想像するが、条件反射的に唾液が分泌され、食事の準備が行われる。
この段階では、しっかり目が覚めていることや、配膳されたテーブルに向って椅子にしっかり座るなど、環境の設定がなされていることが重要です。
【準備期】
食塊を整える時期。捕食、咀嚼、食塊形成の3段階がある。
食べ物を取り込み、唾液と共に咀嚼し、食塊を形成する時期。食事の取り込みには、姿勢や上肢の動き、口唇の力、スプーンや食器、あるいは集中できる環境などの要因が関係する。
食事を口に取り込んだら、固形の際は咀嚼し食塊の形状を整える。
【口腔期】
食塊が形成され食事の準備ができ、食塊を口腔から咽頭へ移送する時期。
移送は主に舌で行われ、食塊を形成したり、周囲の部分を硬口蓋に押し付け、送り込むのに重要な働きをしている。
声帯は内転し、仮声帯は閉鎖する。
【咽頭期】
食塊が咽頭を通過する時期。
軟口蓋が鼻腔を閉鎖し、咽頭は舌骨上筋群により引き上げられ持ち上げられる。
殆どが筋肉である舌を上下左右前後に動かしてたくみに食塊を形成し、奥舌の方に移送されると軟口蓋が持ち上がり、鼻への逆流を防ぐ。咽頭の入り口辺りの部分で嚥下反射が引き起こされ、ごっくんと飲み込みます。この嚥下反射は不随意(意識をしない状態)で行われる。
嚥下反射のタイミングは食塊によって変わる。
【食道期】
食塊が食道入口部から胃へ移送される時期。
食塊は輪状咽頭筋がゆるみ、食道に入り込むと食道括約筋が閉鎖し、蠕動運動、重力、腹腔内圧によって胃へと移送される。
食道下部(胃との境)には、下部食道括約筋があり、胃からの上行への逆流を防止している。
下記が「嚥下の5分類」、食塊の移動を分かり易く書いたイラストです。
細かく途中経過を書いているので6場面になります。
一連の運動により、食塊は0.5~1秒程度で咽頭を通過します。
鼻腔への通路閉鎖による呼吸停止を「嚥下性無呼吸」と呼びます。
また嚥下運動の際、口唇、軟口蓋、喉頭蓋、食道入口部(食道の入り口)、下部食道部位は開閉しますが、このことによって一定の圧が発生し奥に送り込まれるので上手に飲み込むことが可能となります。
なお、「先行期」⇒認知期
「準備期」⇒咀嚼期or口腔準備期 とも言います。
3⃣治療食とは
通常の食事に対し、食べ物のカロリーや塩分、脂質、たんぱく質、糖質などが医師の処方によって規定、制限されている食事を治療食と言います。
(1)カロリー制限食
カロリーが制限されている食事を、エネルギーコントロール食と言います。
🔹生活習慣病の一次予防
🔹治療の補助手段として妊婦・授乳婦
🔹肥満
🔹高コレステロール
🔹高中性脂肪
🔹低HDLなどを示す脂質異常症
(高比重リポたんぱくのことで動脈硬化の防止に繋がるため「善玉コレステロール」とも言われる。
🔹脂肪肝
🔹糖尿病
🔹慢性・急性肝炎
🔹代償性肝硬変
(壊された肝細胞のはたらきを、残された肝細胞が代償することをいう。殆ど症状は見られない。肝硬変初期のころの状態)
🔹高尿酸血症
🔹痛風
(プリン代謝異常で、男性に多く発生する。症状の激しい急性関節炎を繰り返す)
🔹甲状腺機能低下症
などの人に適応されます。
(2)塩分や脂質の制限食
塩分の制限が必要な疾患として、
・高血圧や心臓病
・妊娠中毒症
があり、さらに脂質異常症の場合、タイプによってはコレステロール摂取量を1日あたり300mg以下とする制限を加えることもあります。
脂質制限食は、膵炎や胆石症、胆嚢炎などの急性増悪期の症状が消失し、一定期間の絶食後に開始になることが多く、流動食の形態が多くなります。
回復に従って、三分粥⇒五分粥⇒全粥食
というように段階的に上げ、エネルギーも炭水化物を中心とし、たんぱく質、脂質を少しずつ増やしていきます。
(3)低たんぱく食・高たんぱく食
低たんぱく食は、たんぱく質不耐や、高アンモニア血症の見られる肝不全や非代償性肝硬変、たんぱく尿や乏尿、尿毒症、高窒素血症をきたす急性糸球体腎炎、慢性糸球体腎炎、急性腎不全、慢性腎不全、ネフローゼ症候群、糖尿病成腎症、あるいは血液透析、持続携帯式腹膜透析(CAPD)などを行っている人に対し、病状に応じて適用されますが・・・
・ナトリウム
・カリウム
・リン
・水
などの調整が必要です。
※非代償性肝硬変:肝細胞が多く壊され、からだが必要とする十分な働きが出来なくなった状態をいう。黄疸、浮腫み、クモ状血管腫、手掌紅斑、貧血、食欲不振などの症状が現れる。
高たんぱく食は、低アルブミン血症、貧血など、栄養状態の低下に対して積極的な栄養補給を必要とする場合に適用されます。
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