こんにちは 介護ラボ・カナログのkanaです。今日は「高齢者に多い疾患・症状と生活上の留意点」について、疾患ごとに数回にわけて書いていきます。
パーキンソン病:運動障害の発症機序
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パーキンソン病
これから脳・神経系の中でも高齢者に多い疾患として「パーキンソン病」についてまとめます。パーキンソン病をまとめた別記事と重複する部分がありますがご了承ください。良かったら下記の別記事も見てみて下さい!
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1⃣概要
パーキンソン病は、神経変性疾患で日本人の約1000人に1人が掛かると考えられています。2014年(平成26)の「患者調査」(厚生労働省)では、患者数は16.3万人です。
この病気は50歳~60歳代の発症が多いと考えられ、ゆっくりと進行し、厚生労働省の指定難病になっています。
2⃣パーキンソン病の原因(運動障害の発生機序)
パーキンソン病の原因は中脳の黒質という部分の神経細胞の数が減少し、この黒質で産生される神経伝達物質のドーパミンが減少し運動障害が起こります。※ドーパミンが減少する理由は不明です。
【運動障害の発生機序】
黒質 ⇒ 線条体 ⇒ 大脳皮質 ⇒ 筋肉
上記のように黒質から線条体部分でドーパミン、線条体から大脳被膣部分で運動調整、大脳皮質から筋肉の部分で運動の指令がなされますが、その過程が上手くいかなくなります。
※ドーパミンが十分につくられないため、結果として運動の調整がうまくいかなくなり運動に障害が生じます。
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3⃣パーキンソン病の症状
ドーパミン量の減少により運動障害の下記の4つの症状が現れ、その他に分類している自律神経症状や精神症状が現れることがあります。
❶振戦
振戦は「ふるえ」のことです。自分の意志とは無関係に起こります。輪裕どちらかの手から始まり、同じ側の足、そして反対側の手・足に広がっていきます。また顎が震えることもあります。この病気では安静時に強くなることが特徴です。逆に何かの動作をしている時には軽くなります。発病に気付くきっかけがこの振戦ということもあります。
❷筋固縮(筋強剛)
身体の筋肉が強くこわばり、手足の動きがぎこちなくなります。これは運動に関する錐体外路(すいたいがいろ)の阻害により生じる筋緊張亢進症状の1つです。自分ではあまり感じませんが、他の人が動かそうとすると関節の伸縮に抵抗が見られます(歯車様固縮)。
- 錐体外路とは?
-
随意運動を支配している神経伝導路で、大脳皮質の運動野に始まり、延髄、錐体を通過して脊髄に入るが、これ以外の下行性の運動伝達路を錐体外路という。
❸無動・寡動
身体を動かそうとしても動作に時間が掛かり、動作もゆっくりとなります。また、まばたきが少なくなり、顔の表情も乏しくなり(仮面様顔貌)、歩幅が狭くなります。歩行時は転倒しないよう環境を整えることが必要です。活動を控えがちになり気分が落ち込む場合もあるので、活動場面を増やせるような支援が大切です。
❹姿勢反射障害
身体が傾きかけた時に、瞬間的に筋肉を微妙に動かし、身体のバランスを取ろうとする反射がありますが、この反射がスムーズに起こらず倒れやすくなります。姿勢は前屈みになり、歩行を開始する、向きを変える、止まる、といった動作が困難になります。※本人のペースで歩き出す支援が大切です。
❺その他の症状
・精神症状:「抑うつ」や「幻覚」などがみられます。
・自律神経症状:多いのは便秘です。食事内容の工夫をすることが大切です。
・嚥下困難:筋固縮などにより嚥下障害が起こりやすいため、上記同様に食事の工夫をすることが大切です。
4⃣治療方法
脳内で不足するドーパミンを補う薬物療法が中心になります。代表的な薬として「レボトパ」があります。
まとめ
前項の3⃣でパーキンソン病の症状として大きく、❶振戦、❷筋固縮(筋強剛)、❸無動・寡動、❹姿勢反射障害、の4つをあげましたが、他にも下記のような症状があります。
- 仮面様顔貌:表情が乏しくなる
- 小刻み歩行(前かがみ):歩幅が小さくなる
- 加速歩行(突進歩行):歩行中に足が止まらなくなる
- すくみ足:足が地面に張り付いたようになり歩行開始が困難になる
このようにパーキンソン病には様々な症状があります。急な方向転換が出来なかったり、スロープより階段を利用した方がスムーズに歩行できる場合等もあり、どんな症状が出ているのかを観察し、その人に合った支援をしていくことが大切になります。
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