介護の基本Ⅰ・Ⅱ

【❸リスクマネジメント】福祉サービスに求められる安心・安全 vol.316

2021-04-25

こんにちは(^▽^)/ 介護ラボのkanaです。今日は「介護の基本」の中から『リスクマネジメント』について5回に分けて書いていきます。今日は3回目になります!!

緊急時の連絡体制で必要な5つのこと

Contents

1.福祉サービスに求められる「安心・安全」
 1⃣予測する力
 2⃣利用者の健康状態の観察
 3⃣環境の整備
 (1)設備面
 (2)組織体制
  ❶記録の整備
  ❷多職種による環境整備
  ❸再発防止に向けての検討
  ❹緊急時の連絡体制で必要な5つのこと
 4⃣正しい介護技術の理解
 5⃣介護者のストレス軽減
 6⃣利用者と家族のコミュニケーション
 7⃣利用者の権利を守る

1.福祉サービスに求められる「安心・安全」

リスクの発生を防ぐためには、日頃からどのような取り組みが必要なのでしょうか?今日は様々な場面を想定してまとめていきます。

1⃣予測する力

予測する力

利用者の普段の生活をよく知った上で、その人の思いを尊重し、「この人ならこう考えるかもしれない・こう行動するかもしれない」と予測する力を身に付けることが重要です。

その予測した行動に危険があれば、その対応策をサービス提供者側で全て決定せず、常に利用者や家族とともに考えるようにすることが必要になります。

2⃣利用者の健康状態の観察

利用者の健康状態の観察

利用者は、複数の疾患を抱えていることが多いため普段の状態を十分に観察し、その変化に気付くことが大切です。「いつもと違う」と感じられた場合、どこがどのように違うのか、具体的な説明が必要になります。

具体的な説明として、例えば・・・

  • 身体の動き
  • 顔色
  • 身体のむくみ
  • 話し方や表情
  • 声の強弱
  • 排泄物
  • 食事や水分の摂取量
  • 睡眠状態

など、様々な側面から「違う」と感じた様子を説明できるようにすることが大切です。

また、利用者が抱える疾病の特性を理解して、医療機関等から観察のポイントについて説明を受け、そこから予測して病気の悪化を防ぐことも必要です。

自分だけで解決しようとせず、すぐに医療職やかかりつけの医療機関等に相談し、家族に連絡を取って受診するなどの対応が必要になります。

3⃣環境の整備

環境の整備

環境の整備には、設備などのハード面と、介護技術や連携の方法などのソフト面があります。

(1)設備面

その人らしい落ち着いた生活環境を保つことが必要です。その人が長年使っていた家具や道具などは、その人に安心感を与えるものになるでしょう。

また、心身の状況が変化してADL(日常生活動作)が低下しても、福祉用具や自助具を活用して生活の質を保ちます。まずは適切なものを選定することが安全に生活をするうえで欠かせないことになります。

設備の選定

選定には専門家の意見を取り入れながら、バリアフリーの構造や、手すりの設置などの住宅改修も検討して自立支援を行います。福祉用具は日頃から定期点検を計画的に行って、大きな事故に繋がらないように注意します。

(2)組織体制
❶記録の整備
記録の準備

日常生活を記録したケース記録(支援経過記録)は、利用者の普段の様子を掴むために活用できます。日常の中でヒヤッとしたことを報告する「ヒヤリ・ハット報告書」や、事故が起きた時に記録する「事故報告書」の様式を整備し、情報を共有して積み重ねていく事で、大きな事故を減らしていくことが出来ます。

記録は誰が見てもわかるような書き方で、観察したことを客観的に記録します。

ヒヤリハット・アクシデント報告

他の『ヒヤリハット・アクシデント報告』記事はこちらから・・・
【医療的ケア】安全に喀痰吸引や経管栄養を提供する4つの方法 vol.48

❷多職種による環境整備
❷多職種による環境整備

事故が起きたときは、事故原因を究明することが原則です。介護福祉職以外の専門職の意見は、リスクを多角的に捉えるのに有効です。

サービス担当者会議やケアカンファレンスなどはそれらが得られる機会となり、情報をまとめて協力体制を作ることが出来ます。それを積み重ねることが、リスクの軽減に有効になります。

❸再発防止に向けての検討
❸再発防止に向けての検討

もし事故が起こってしまったら、速やか再発防止策を検討し、同様の事故が起きないように環境を整備することが必要です。

それは個人レベルで検討する内容ではなく、組織としての検討を決定、実践が必要になります。

❹緊急時の連絡体制で必要な5つのこと
❹緊急時の連絡体制

介護施設や事業所では、「緊急時対応マニュアル」が完備され、マニュアルに沿った対応を行います。

緊急時対応マニュアルは、

❶利用者や家族に安心して安全な介護サービスを受けてもらうため
❷利用者や家族に信頼される質の高い介護サービスを提供するため
❸介護サービス提供中の事故を未然に防止するため
❹介護サービス提供中の急変及び急病の処置遅れをなくすため
❺事故発生時及び緊急時に利用者が状況を理解できるよう、迅速で適切な対応が出来るようにするため

に必要です。

また、施設や事業所は介護福祉職に対して危機管理体制の確立を周知徹底し、防災知識の啓発、事業所内の連絡体制と協力体制を強化して、他の関係機関と連携を図るためにも重要です。

状況に応じての迅速な対応を慌てずに出来るよう、利用者の基本情報や連絡先を整理した書類を準備しておきます。

4⃣正しい介護技術の理解

正しい介護技術の理解

利用者の心身の状況に合わせて、適切な介護技術が実践されれば、事故やヒヤリ・ハットは軽減されます。介護の原則を踏まえて、利用者に合わせた安心、安全、安楽な介護を提供できるように、利用者のその時々の心身の観察や予測を行って実践する必要があります。

サービス提供側は、利用者の安全を重視するばかりに行動制限してしまうことや、利用者が出来ることも介護して自立支援を阻害してしまうことがあります。

それが利用者の不満を募らせ、生きる意欲を低下させることに繋がってしまうことがあるため注意することが必要です。

5⃣介護者のストレス軽減

介護者のストレス軽減

介護の場面ではストレスをうまく軽減できないと、介護者自身が集中力を欠いてミスを起こしてしまい、そのミスが気になり、またミスを繰り返したりしてしまうことがあります。そして不安感がさらに募り、自信が持てずにすべてが不十分だと思ってしまうこともあります。

心身共に自らの体調管理には十分気を付けることが必要です。それに加えて、業務についての不安や相談を気軽にでき、一緒に目標達成を目指して達成感を味わえるチーム作りが求められます。

福祉サービスは、利用者となじみの関係を築きつつも常にチームで役割分担して利用者にサービス提供していることを認識することが必要です。

事故や過誤等が発生した際には組織全体の問題として捉え、解決に向けて組織一丸となって取り組んでいこうとする姿勢が大切です。自分1人で解決しようとせず、また他の職員が同様の状況に置かれたときも、当事者個人が解決すべきだとして他人事のように考えてはいけません。

6⃣利用者と家族のコミュニケーション

利用者と家族のコミュニケーション

利用者や家族とともにリスクを探り、可能な限りその影響を最小限にとどめることが重要です。そのために日常的に綿密なコミュニケーションを図り、現在の状況の情報共有を細やかに行います。そうすることでたとえ事故が起きたとしても、家族とサービス提供者側との誤解は少なくなり、問題解決が早まります。

事故の事実を誠実に説明し、真摯に対応することが求められます。

7⃣利用者の権利を守る

利用者の権利を守る

福祉サービスの利用者にとっては、生活環境の大きな変化などに適応することに困難を伴います。社会環境の変化に伴って生活環境が一方的に変えられることで、権利や財産が失われることもあります。

権利や財産については、家族などの身近な援助者が居なくて、自分で適切に決定できない場合のリスクに対する制度として、

  • 成年後見制度
  • 福祉サービス利用援助事業
  • 地域の消費生活センター

などがあります。これらの資源を活用することで、その人の権利は継続して守られます。

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kana

はじめまして(^-^)/ 介護ラボのカナです。
ブロガー歴3年超(818記事執筆)
介護のあれこれを2020年6月~2022年9/8まで毎日投稿(現在リライト作業中)

社会人経験10➡介護の専門学校➡2021年3月卒業➡2021年4月~回復期のリハビリテーション病院で介護福祉士➡2023年1月~リモートワークに。

好きな言葉は『日日是好日』
「福祉住環境コーディネーター2級」・「介護福祉士」取得
◉福祉住環境コーディネーター1級勉強中!
介護のことを少しでも分かり易く書いていきたいと思っています。
よろしくお願いします♡

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