こんにちは 介護ラボ・カナログのkanaです。今日は「高齢者に多い疾患・症状と生活上の留意点」について、今日から疾患ごとに数回?数十回にわけて書いていきます。
要介護状態原因疾患第2位の脳血管疾患とは?
Contents
1.脳血管疾患について
1⃣概要
2⃣脳血管疾患の原因
3⃣症状
❶意識障害
❷吐き気・嘔吐
❸頭痛
❹麻痺
⑤失語
⑥失認
⑦構音障害
4⃣治療方法
1.脳血管疾患について
1⃣概要
これから脳・神経系の中でも高齢者に多い疾患として「脳血管疾患」についてまとめます。厚生労働省の2014年(平成26)の「患者調査概況」によると、脳血管疾患は117万9000人となっています。高齢者に多い脳血管疾患には、
●脳梗塞
●脳梗塞
●くも膜下出血
●脳出血
などがあり、これらをまとめて「脳卒中」といいます。厚生労働省の2016年(平成28)国民生活基礎調査によると、日本人の死因第4位、要介護状態になる原因の第2位になっています。
脳は、全身の臓器の中で血液からのエネルギー供給を常に必要とするため、大小さまざまな血管が脳内を張り巡り循環しています。そのため脳の血管や疾患や障害があると、脳内の血液循環は悪くなり、エネルギー供給が難しくなります。また疾患がある部位や疾患の重症度に応じて急性期では生命維持に、回復期・維持期では後遺障害により生活に大きな影響が生じてきます。
2⃣脳血管疾患の原因
脳血管疾患の原因は大きく「脳梗塞」と「脳出血」に分けられ、その中でも脳の血管が詰まる脳梗塞は脳の血管の動脈硬化によって起こるものと心臓に原因があって起こるものがあります。そして脳出血は脳内の血管が何らかの原因で破れて起こります。※下記のラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞、心原性脳塞栓症は血管が詰まる脳梗塞で、くも膜下出血は脳内の血管が破れておこります。
- ラクナの梗塞:脳の細い血管が詰まる
- アテローム血栓性脳梗塞:脳の太い血管い動脈硬化が起こって血栓が詰まる
- 心原性脳塞栓症:心臓で出来た血栓が脳の血管を詰まらせる
- くも膜下出血:脳の動脈にできた瘤(動脈瘤)が破裂して起こります。この瘤が出来る原因はわかっていない。
血管が詰まったり破れたりすると、
●意識障害
●吐き気(悪心・嘔気)
●嘔吐
●頭痛
●麻痺
など、様々な症状や後遺症として身体障害や高次脳機能障害が出現し、日常生活の全般にわたり支援が必要となります。
3⃣症状
❶記憶障害
意識障害は、脳血管疾患の場合、損傷を受けた部位により程度の差はあれ生じます。意識があるとは「はっきりと目が覚めている状態」をいいます。意識障害には、
●急に意識が無くなってしまう状態
●目が覚めない状態(昏睡)
●揺り動かしたり強い刺激を与えても全く反応がない
●放っておくとウトウトと眠っている浅い睡眠状態で呼べば覚醒することが可能な傾眠状態
のものまで含まれます。意識障害の状態では、普段何気なく出来ていること、例えば寝返りや、うがいをするなどが出来なくなり、食事もうまく飲み込めない可能性があります。そのため食事では特に誤嚥の予防に注意することが必要です。
❷吐き気・嘔吐
脳出血やくも膜下出血では特徴として嘔吐がみられます。嘔吐は何らかの原因により嘔吐中枢が刺激されることで胃の内容物が排出されることをいいます。嘔吐物処理は感染症対策にそって、手袋やガウンを着用し次亜塩素酸ナトリウムで清掃します。
❸頭痛
くも膜下出血や脳出血では頭痛も特徴の1つです。くも膜下出血により起こる頭痛は「バットで殴られたような強い痛み」を感じると表現されることもあります。生命にかかわる症状でもあるため動かさずに安静にし、その他の症状である意識の有無や吐き気・嘔吐も合わせて観察し医療職に繋げるようにします。
❹麻痺
脳血管の詰まりや破れの程度により、身体の左右どちらか片方に麻痺が生じることがあります。麻痺は完全に自身で動かすことが出来ない「完全麻痺」や、しびれ程度の軽度な麻痺まで様々です。急性期よりリハビリテーションで機能回復を目指して治療が行われます。麻痺が残ることで日常生活に大きな影響が生じ、自ら身の回りのことが出来ない場合も多く、行為1つひとつの支援で改善することもあります。
⑤失語
失語は、高次脳機能障害の1つです。脳の言語中枢に障害が生じることにより、「読む」「書く」「話す」「聞く」などの言語機能が失われるために起こります。言語中枢には、
- 運動性言語中枢:ブローカー中枢
- 感覚性言語中枢:ウェルニッケ中枢
があります。言語機能の障害は、コミュニケーションへの影響が大きく社会生活や日常生活の支援が重要になります。
⑥失認
失認は高次脳機能障害の1うです。ある感覚を介する対象の認知障害で、他の感覚様式をを介せばその対象を認知することが出来ます。
例えば、「視覚失認」は視力は保たれていて見えているにも関わらず対象を認知できない状態です。時計を見せても認知(視覚失認)できませんが、触覚として触ったり、聴覚として時計の音を聞くと時計だと分かるという状態です。
失認には他にも、よく知っている人の顔を見ても誰だかわからない「相貌失認」や、聴覚に問題はないが語音や環境温の区別が出来ない「聴覚失認」、左側に多く出現する左半分の空間の認知が障害される「半側空間無視」などがあります。支援方法はそれぞれの失認の状況により違いがあり、その他の症状も合わせて行う必要があります。
⑦構音障害
広義の言語障害のうち、言葉の音の障害として意図した音が正しく生成されない状態をいいます。原因別では、
- 器質性構音障害
- 機能性構音障害
- 麻痺性ないし運動障害性構音障害
の3つがあります。日常会話では発話音が分かりにくいため対応が難しい場合もあり、失語症で間違われる場合もあります。支援としては、専門職と連携して理解できる方法で行うことが必要です。
4⃣治療方法
脳血管疾患の場合、早期発見・早期治療が大切です。症状が出現したらずぐに救急車を呼び受診することが必要です。脳梗塞の場合は出来た血栓をできるだけ取り除く必要があります。これは血栓が詰まった血管より先の脳細胞の壊死を食い止めるために重要な治療です。
生活習慣にも大きく影響をしてくるので、それらも踏まえ日常生活の衣食住に対する留意が必要になります。
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【③認知症の中核症状:失語・失行・失認】病識保持事例と病識低下事例の比較
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