こんにちは💚 介護ラボのkanaです。今回は「福祉住環境」の視点から『介護予防に対する評価』について書いていきます!!
スクリーニング検査法の妥当性と評価指標
Contents
1.介護予防に関する評価
1⃣スクリーニングのための質問票に関する評価
(1)基本チェックリストの追跡研究
(2)スクリーニング検査法の妥当性と評価指標
(3)質問票の評価手法としての妥当性
2⃣介入に関する評価
(1)測定に影響を及ぼす代表的な3つの要因
1.介護予防に関する評価
介護予防におけるスクリーニングの基本は、生活機能低下者(従来の二次予防事業の対象者)つまり、要支援・要介護状態となるリスク保持高齢者を抽出するための「基本チェックリスト」になります。
1⃣スクリーニングのための質問票に関する評価
「基本チェックリスト」の質問票としての評価、すなわち妥当性や信頼性、あるいは実際の敏感度・特異度などについても検証されています。
また、実際にスクリーニングによって判定された対象者が、真に求めるべき対象者となっているかどうかを評価する1つの手法が敏感度(sensitivity)及び特異度(specificity)を求める方法です。
敏感度、特異度がともに高いことは、そのスクリーニング検査法・あるいは質問票の妥当性が高いことを意味しています。
(1)基本チェックリストの追跡研究
宮城県大崎市の65歳以上の高齢者14,636人を対象とした追跡研究から、初回調査において基本チェックリストを実施し、1年後の新規要介護認定の発生のオッズ比を求めています。
その結果、当時の介護予防事業である二次予防事業対象者の発生オッズ比は3.80(95%信頼区間は3.02ー4.78)であり、またROC曲線下面積では、うつ予防・支援の5項目を除く20項目で7項目以上を該当基準(cut-off値)とした場合の敏感度は77.0%、特異度は75.6%と、良好な成績を報告しています。
(2)スクリーニング検査法の妥当性と評価指標
(3)質問票の評価手法としての妥当性
一般的な質問票を作成した場合、評価の手法としての妥当性等について説明していきます。
スクリーニングツールとしての質問票自体の評価で最も重要な点は、「妥当性の検証」です。
この場合の妥当性(validity)というのは、「判定された指標が概念を適切に表している程度」を意味します。
判定の妥当性の評価にはいくつかの方法がありますが、客観的で厳密に評価するためには「測定値の統計的特性に依拠して行われる分析方法」が良いとされています。
これには、
- 基準関連妥当性:何らかの他の基準(妥当性の外的基準と呼ばれる)を設けて、その基準と測定値との関連性について統計的手法による裏付けを行う。これはさらに同時的妥当性、判別的妥当性、予測的妥当性に区分される。
- 交差妥当性:特定の集団・対象のみならず、近似の他集団においても同じく妥当性が確認されること。
- 構成概念妥当性:本来計測によって求めようとする概念全体が、測定された実測値によって確実な関連性を示すかどうかをある種の統計的手法によって吟味する方法。そのためにはモデルの作成と高度な多変量解析の手法(例えば今日分散構造分析モデル)が必要となる。
などが含まれます。
測定の妥当性に関する検証がなされた後、実際に測定されたデータについての信頼性を検証する作業も必要となります。
調査によって測定された変数の値には、測定さえるべき真の値と、偶然や人的ミスによる測定誤差が含まれています。
これは、「測定値=真値+測定誤差」であり、この測定値(の分散)に占める真値(の分散)の割合が測定の信頼性(reliability)ということになります。
信頼性を求める手法としては、
- 再検査法(テスト・リテスト法)
- 評定者間一致度
- 内定整合法(α係数の算出)
- 因数分析法
などがあります。
2⃣介入に関する評価
妥当性や信頼性に優れた適切なスクリーニングにより適正な対象者が選定されたとして、次に適切な介入が実施されなければなりません。
この時に必要なのが「介入」に対する評価ということになります。
一般に介入(結果)には、色々なことが影響を及ぼす可能性があります。
- 対象者に由来するもの(努力や手抜き)
- 検査者に由来するもの(測定技術)
- 環境や測定器具に由来するもの
- 測定の回数
など様々になります。
(1)測定に影響を及ぼす代表的な3つの要因
以下に測定に影響を及ぼす代表的な3つの要因について列挙します。
❶ホーソン効果:人に監視されている時だけ行動を変えようとする効果
❷ローゼンソール効果:対象者が「介護予防」に参加していることが分かっており、そのことを知っているがために、良い結果を出そうと心掛ける効果
❸新規性効果:全く新しい検査をされた場合に、測定方法や測定器具に慣れていないために、本当の能力を発揮しにくい効果
以上に述べた測定に影響を及ぼす3つの要因は、当然のことですが介護予防についても同じことが言えますし、その効果判定に影響を及ぼします。
現実的には、これらの影響をゼロにすることは不可能に近いです。
そのため、結果が「介護予防」によってもたらされたものか否かを検討するためには、ランダム化比較試験(無作為化比較対象試験、RCT;Randomized Controlled Trial)で、母集団内の対象を介入研究群と対照群の集団による無作為に割り付ける疫学的手法による検討が必要であることを知っておく必要があります。
これは無作為に、「介護予防を実施する『介入群』」と、「介護予防を実施しない『対象群』」に高齢者を振り分け実施しなければなりませんが、現実的には行政的な介護予防の範疇で実施することは困難なことが多いと予測されます。
そのため、倫理的にも問題が少なく、実行される可能性が高い「クロスオーバー法(交差試験または交互試験とも呼ばれる、介入の時期と対照群を互いにずらして効果を判定する方法)」を適用して、介護予防の効果を判定する方法が用いられることが望ましいとされています。
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