福祉住環境整備

【①段差の解消と床材の選択】転倒による骨折を防ぐための方法 vol.176

こんにちは 介護ラボ・カナログのカナです。今日は福祉住環境の中から「段差の解消と床材の選択」について、今日・明日の2回にわけて書いていきます。

段差の理由と意味とは??

Contents

1.住宅の屋内・屋外における段差
 1⃣段差の種類
 2⃣段差の理由や意味
2.段差の解消法
 1⃣屋外との段差
 2⃣和洋室の床段差

1.住宅の屋内・屋外における段差

高齢者や障害者の安全な生活には、屋内・屋外段差の解消が重要になります。特に高齢者の転倒による骨折は、寝たきりの原因ともなるため、段差の解消が安全な生活への第一歩となります。屋内外の段差の意味を把握し、解消方法をまとめていきます。

1⃣段差の種類

屋外の段差:地面と1階居室との床段差、門扉周辺部分から玄関までのアプローチ部分の階段、玄関ポーチ、玄関戸の下枠(くつずり)段差などがあります。
屋内の段差:玄関の上がり框、和室~洋室間の床段差、建具の敷居段差、浴室の出入口段差などがあります。

加齢に伴い下肢機能や視機能の低下が目立ってくると、わずかな段差でつまずいたり転倒することが多くなります。また、シャワー用車いすや床走行リフトなど車輪付きの用具には、少しの段差でも使用に影響が出ます。

くつずり・上がり框(がまち)とは?

くつずりは、開き戸の戸枠下部部分の部材のこと。上がり框は、玄関床の上り口の縁にある部材のこと。

2⃣段差の理由や意味

  • 地面と1階居室との床段差は、建築基準法の制約(通気と地面からの湿気を防止するために、1階居室の木造床は、直下の地面から450mm以上高くする)によって起こる。
  • 和室が洋室や廊下よりも1段高くなっているのは、畳と洋室の仕上げ材の厚さの違いによる。
  • 洋室などの建具の下枠は、室内外の床仕上げ材の違いを建築的に納める(見切る)ことや、隙間風防止のため。
  • 浴室の出入口段差は、洗面・脱衣室に湯水が流れ出ないようにするため。

高齢者の身体機能低下を考慮すれば、段差は出来るだけ解消すべきである。近年では、住宅の構造や、ユニットバス、玄関ドアなど住宅部品・設備機器の性能が向上したことにより、ほとんどの段差を解消できます。

2.段差の解消法

1⃣屋外との段差

屋内外の段差をなくすためには、地盤面(G.L)から1階床面レベル(1F.L.)の高低差を、屋外アプローチの階段やスロープ、上がり框の段差などにどのように振り分けるかを全体的に考える必要があります。

地盤面(G.L)/床面レベル(F.L.)とは?

地盤面(G.L)とは、建物が建つ土地の表面のこと。一般に道路面より幾分高くなっていることが多い。建築基準法施行令では、建築物が周囲の地面と接する位置の平均高さを地盤面と定義づけ、建築物の高さなどの算定基礎の機銃としている。床面レベル(F.L.)とは、建築物の床面レベルのこと。地盤面から1F.Lまでを床高、1F.L.から2F.L.までを階高ともいう。

スロープでの対応:玄関での段差解消が困難な場合は、スロープで寝室の掃き出し窓などへ直接アプローチする方法を取ります。また、現在は歩行可能であっても、将来車いすの使用が予想される場合は、スロープの設置が出来るスペースを確保しておくことが必要になります。

スロープを設置する場合の勾配は、1/12~1/15 を目安とします。なお、住宅の出入り口と道路に接する箇所には、車いすを停止するために、それぞれ1.5m四方以上の水平面を設ける必要があります。地面・建物に固定したスロープは、介護保険制度による住宅改修項目に該当します。

段差解消機での対応:敷地の高低差が大きく、スロープや階段での昇降が困難な場合は、段差解消機などの福祉用具を用いる方法を検討します。据置式は介護保険の貸与品目に含まれます。

段差を残す場合:アプローチにスロープを設置できない場合には階段を設けます。スムーズに昇降できる蹴上げ110~160mm程度、踏面300~330程度が望ましいです。必ず手すりを設置し、使用者の安全を考慮する必要があります。

床下に防湿土間コンクリートを敷設:前記した法規制による地面と木造床の居室の床段差は、べた基礎や床下部分に防湿土間コンクリートを敷設することで、1階の床レベルを下げることが出来ます。但し、木造床面を下げると、通風が悪くなるため、シロアリ被害のある地域では好ましくありません。また、給排水管など床下のメンテナンス上の問題が生じやすいので、配管経路や方法などについて事前に十分検討する必要があります。

※べた基礎:建物の床面全体にコンクリートを敷設する方法。

2⃣和洋室の床段差

和洋室の床段差の理由は、畳床とフローリング床との厚みが異なるため、一般的に和室は洋室よりも10~40mm程度高くなっています。この段差が、高齢者や障害者の移動動作を大きく阻害し、つまずきによる転倒事故の大きな原因になっています。

①和洋室の床段差
新築の場合は、洋室の床束長さを調節します。

②住宅改造での段差解消
簡便な方法は、すりつけ板で改装することです。両端の端部でつまずかないように設置し、上面は滑り止め仕上げにします。すりつけ板には、木製、樹脂製があり、介護保険制度による住宅改修項目で、一般に用いられます。段差を解消する改造には、「床束の長さの調整」「合板等のかさ上げ」方法などがあります。

※すりつけ板:床にある段差を解消するため、スロープのように斜めに渡すくさび形状の板のこと、ミニスロープとも言います。

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kana

はじめまして(^-^)/ 介護ラボのカナです。
ブロガー歴3年超(818記事執筆)
介護のあれこれを2020年6月~2022年9/8まで毎日投稿(現在リライト作業中)

社会人経験10➡介護の専門学校➡2021年3月卒業➡2021年4月~回復期のリハビリテーション病院で介護福祉士➡2023年1月~リモートワークに。

好きな言葉は『日日是好日』
「福祉住環境コーディネーター2級」・「介護福祉士」取得
◉福祉住環境コーディネーター1級勉強中!
介護のことを少しでも分かり易く書いていきたいと思っています。
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