介護の基本Ⅰ・Ⅱ

【❷リスクマネジメント】身体拘束や行動を制限する11の行為とは? vol.315

2021-04-24

こんにちは(^▽^)/ 介護ラボのkanaです。今日は「介護の基本」の中から『リスクマネジメント』について5回に分けて書いていきます。今日は2回目になります!!

「緊急やむを得ない」と判断される3つの要件とは?

Contents

1.ルールや約束事を守る重要性
2.身体拘束とは
 1⃣身体拘束や行動を制限する11行為
 2⃣身体拘束がもたらす多くの弊害
  ●身体的弊害
  ●精神的弊害
  ●社会的弊害
 3⃣身体拘束廃止を推進するための8つの提言
  ●事業所としての取り組みとは?
  ●「緊急やむを得ない」と判断される3つの要件

1.ルールや約束事を守る重要性

社会福祉の制度、措置から契約へ

社会福祉の制度が社会福祉制度が措置から契約に移行したことで、利用者が自らサービスを選択することができ、所得に関係なく適切な介護サービス平等に利用できるようになりました。

措置制度時代に重視されていなかったことで問題視されていた、利用者の意思が尊重されるようになりました。

そのサービス内容に関する約束事は、

  • 利用契約書
  • 重要項目説明書
  • ケアプラン

等の書面で明確にする仕組みになりました。

以前は口頭で行われていた説明を書面で行うことで、変更や取り消しなどについて、「いつ」「どのように」行ったかがわかりやすくなり、利用者の権利を守ることに繋がります。

また、書面を提示することによって、利用者とサービス提供を直接行う者との個人の間での約束事ではなく、そのサービスがサービス提供する事業所全体で利用者に対して行う約束事であることが明確となりました。

利用者が、「安心・安全」を得るためには、どのような状況でも自分の思いをくみ取ってもらえる福祉サービスを受けられるようにすることが重要となります。

1人ひとり個性があり、生活歴が異なり、生活状況も十人十色で、同じ人はこの世にはいません。例えば、認知症のある人の場合、少しの環境の変化や関わる人たちの対応方法によって、想定外の行動障害やリスクが生じて事故に繋がることがあります。

その人の身体面だけにとらわれず、あらゆる側面から理解し、サービス提供者側で情報共有してサービスを検討していくことが重要となります。

2.身体拘束とは

身体拘束禁止規定

2000年(平成12)4月に介護保険制度が始まったときに、介護保険施設の基準に利用者の身体拘束の禁止規定が盛り込まれました。これにより介護保険施設や居宅サービス等では、身体拘束は原則禁止とされました。

身体拘束とは、衣類や綿入り帯等を使って、一時的に利用者の身体を拘束し、運動することを抑制するなど、その行動を制限することを言います。

身体拘束には、身体機能の低下や精神的苦痛、認知症の進行等をもたらすだけでなく、利用者やその家族を精神的に気付付けるなど、様々な危険性があります。

例えば、動く力のある人を「危険だから」と長時間縛り付けると、無理な姿勢で身体が固定され関節等への負担がかかり、ひも等が皮膚に食い込んで内出血を起こしたり、痒くなってかきむしったりします。その後、自分で歩くことが出来ていた人がどんどん衰えて歩けなくなり、よく転倒するようになります。皮膚も擦り傷が常態化して傷口が広がっていきます。

「日常的に拘束しておくほうがその人の安全だ」という考えになってしまうと、「その人らしい」暮らしとは程遠いものになってしまいます。

1⃣身体拘束や行動を制限する11行為

介護保険指定基準(「介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準」(平成11年厚生省令第40号)等)において禁止の対象となっている行為は、「身体的拘束その他入所者(利用者)の行動を制限する行為」である。具体的には下記の11行為があげられる。

❶徘徊しないように、車いすやいす、ベッドに体幹や四肢をひも等で縛る。
❷転落しないように、ベッドに体幹や四肢をひも等で縛る。
❸自分で降りられないように、ベッドを柵(サイドレール)で囲む。
❹点滴・経管栄養等のチューブを抜かないように、四肢をひも等で縛る。
❺点滴。経管栄養等のチューブを抜かないように、または皮膚をかきむしらないように、手指の機能を制限するミトン型の手袋等を付ける。
❻車いすや椅子からずり落ちたり、立ち上がったりしないように、Y時型拘束帯や腰ベルト、車いすテーブルを付ける。
❼立ち上がる能力のある人の立ち上がりを妨げるような椅子を使用する。
❽脱衣やおむつ外しを制限するために、介護衣(つなぎ服)を着せる。
❾他人への迷惑行為を防ぐために、ベッドなどに体幹や四肢をひも等で縛る。
❿行動を落ち着かせるために、向精神薬を過剰に服用させる。
⓫自分の意思で開けることのできない居室等に隔離する。

※厚生労働省「身体拘束ゼロへの手引き」2001年を一部改変

2⃣身体拘束がもたらす多くの弊害

●身体的弊害

【身体的弊害】
身体拘束は、まず次のような身体的弊害をもたらします。
❶本人の関節の拘縮、筋力の低下といった身体機能の低下や圧迫部位の褥瘡の発生などの外的弊害をもたらす。
❷食欲の低下、心肺機能や感染症への抵抗力の低下などの内的弊害をもたらす。
❸車いすに拘束しているケースでは、無理な立ち上がりによる多転倒事故、ベッド柵のケースでは乗り越えによる転落事故、さらに拘束具による窒息等の大事故を発生さえる危険性すらある。

身体的弊害とは

※このように、本来のケアに置いて追及されるべき「高齢者の機能回復」という目標とまさに正反対の結果を招く恐れがあります。

●精神的弊害

【精神的弊害】
身体拘束は精神的にも大きな弊害をもたらします。
❶本人に不安や怒り、屈辱、諦めといった多大な精神的苦痛を与えるばかりか、人間としての尊厳をも冒す。
❷身体拘束によってさらに認知症が進行し、せん妄の頻発をもたらす恐れもある。
❸また、家族にも大きな精神的苦痛を与える。自らの親や配偶者が拘束されている姿を見たとき、混乱し、後悔し、そして罪悪感にさいなまれる家族は多い。
❹さらに、看護・介護するスタッフも、自らが行うケアに対して誇りを持てなくなり、安易な拘束が士気の低下を招く。

精神的弊害とは

※このように身体低拘束は、本人だけでなく家族にも混乱など様々な精神的苦痛を引き起こす恐れがあります。

●社会的弊害
社会的弊害とは

身体拘束の弊害は、社会にも大きな問題を含んでいます。看護・介護スタッフ自身の士気の低下を招くばかりか、介護保険施設等に対する社会的な不信、偏見を引き起こす恐れもあります。また、身体的拘束による高齢者の心身機能の低下は、その人のQOLを低下させるだけでなく、さらなる医療的処置を生じさせ、経済的にも少なからぬ影響をもたらします。

※厚生労働省「身体拘束ゼロへの手引き」2001年を一部改変

3⃣身体拘束廃止を推進するための8つの提言

身体拘束の廃止を推進するための提言として下記8つがあげられます。

①「身体拘束を一切行わない」方針を明確にする

②「緊急やむを得ない」場合について厳密に検討する(3要件)

③利用者の状況を把握し、身体拘束の危険性を検討するための仕組みを作る

④身体拘束にかかわる手続きを定め、実行する

⑤認知症のケアを習熟する

⑥施設内外で学習活動を行い、施設全体に浸透させる

⑦家族の理解に努める

⑧廃止のための取り組みを継続する

●事業所としての取り組みとは?

事業所としての身体拘束廃止の基本方針を策定する

  • 従業員全員への周知徹底
  • 契約関係書類への明示

認知症高齢者へのケアと事故予防への積極的な取り組み(リスクマネジメント)

  • その人がなぜ転倒するのか。なぜ徘徊するのかなど、行動障害や事故の誘発要因(生活パターン、心身状態、環境、ケア方法等)を、継続的に探り予測的に対応する。
  • 代替手段の先駆事例の収集とケアへの活用
  • 事後報告及びヒヤリハットの記録整備(原因分析と再発防止策の検討)と再発防止への活用
  • これらの取り組みについて全従業者への周知方法を確立する

※上記、社会福祉法人東北福祉会認知症介護研究・研修先代センター「介護保険施設における拘束廃止の啓発・推進事業報告書」2005年をもとに作成

●「緊急やむを得ない」と判断される3つの要件

身体拘束は、下記の3つの要件をすべて満たす場合。「緊急やむを得ない」ものとして認められることがあります。その際に。記録が重要よなり、

  • 身体拘束の方法
  • 拘束をした時間
  • 利用者の心身の状況
  • 緊急やむを得なかった理由

を明記しておくとともに、書面による本人または家族の確認が必要になります。

「緊急やむを得ない」と判断される3つの要件

切迫性:利用者本人や他の利用者の生命または身体が危険にさらされる可能性が著しく高いこと。
非代替性:身体拘束を行う以外に利用者の介護方法がないこと
一時性:利用者の状態像に応じて必要とされる行動制限が一時的なものであること

実施にあたっての留意点は、上記の3つの要件に該当する状況、身体拘束の内容・時間等を詳細に継続して記録し、家族などと常に情報共有していくことです。

記録は種類により、2年~5年間の保存が必要です。

また、身体拘束の実施は最小限にし、早期の解除に努めるために、身体拘束を実施している間3つの要件に該当するかどうかを常にモニタリングして債券投資、要件に該当しなくなった場合にはすぐに解除します。

モニタリングでは、実際に身体拘束を一時的に解除して状態を観察するなどの対応も含まれます。さらに、家族の理解を得るために身体拘束の弊害と具体的な代替手段の提示、身体拘束廃止の基本方針を説明し、すぐに理解が得られない場合は、納得を得るための説明内容の検証と継続的なかかわりに努めることが必要です。

身体拘束の介護報酬

介護報酬の面では、身体拘束廃止未実施減算があり、施設において身体拘束等が行われていた場合ではなく、身体拘束等を行う場合の記録(その態様及び時間、その際の入所者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由の記録)を行っていないなどの場合に、入所者全員について所定単位数から減算することになっています。

身体拘束にかかわらず、提供するサービス全体として提供者側にばらつきがないことが重要なポイントになり、サービスが継続して提供されることが重要です。

職場に組織全体で決定した業務手順書があり、サービス提供者側に教育と研修の機会が十分にあることが求められます。

リスクマネジメント

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kana

はじめまして(^-^)/ 介護ラボのカナです。
ブロガー歴3年超(818記事執筆)
介護のあれこれを2020年6月~2022年9/8まで毎日投稿(現在リライト作業中)

社会人経験10➡介護の専門学校➡2021年3月卒業➡2021年4月~回復期のリハビリテーション病院で介護福祉士➡2023年1月~リモートワークに。

好きな言葉は『日日是好日』
「福祉住環境コーディネーター2級」・「介護福祉士」取得
◉福祉住環境コーディネーター1級勉強中!
介護のことを少しでも分かり易く書いていきたいと思っています。
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