こんにちは 介護ラボのkanaです。今日は「医療的ケア」の中から『高齢者及び障害児・者の喀痰吸引概論』について10回にわけて(呼吸のしくみから吸引についての理解、利用する家族の気持ち…など)書いていきます。今日は9回目です!!
吸引を必要とする子どもとは
Contents
1.子どもの吸引について
1⃣吸引を必要とする子どもとは
2⃣体位ドレナージ
3⃣子どもの吸引の留意点
1.子どもの吸引について
1⃣吸引を必要とする子どもとは
子どもの吸引器官は成人に比べて組織が十分に発達していません。呼吸運動をする筋肉が未熟で呼吸の力が弱く疲労しやすいといえます。
また、肺胞が少なかったり気管が細く肺の膨らみも小さいため、1回の呼吸で吸い込む空気の量が少なく成人に比べて呼吸回数が多くなります。
鼻腔や気管は細いうえ一般的に柔らかく、外力でさらに狭くなってしまうことがあり、乳幼児は特に寝る姿勢、首の向きなどによって呼吸が妨げられてしまうことが無いように注意する必要があります。
また、子どもは抵抗力が弱く感染症の病気に罹った時は進行が速く容易に悪化します。
気道が細く柔らかいため感染により炎症を起こすと気道がさらに狭くなり痰が詰まりやすくなります。
こうした身体的な特徴に加え、子どもは体調の悪さを訴える表現力が未熟なため、異常の発見が遅れる場合があります。子どもの心停止は、呼吸不全に引き続くことも多いため、呼吸にかかわる介護には十分な観察力が必要となります。
2⃣体位ドレナージ
吸引は、自分で咳をしたり、体位ドレナージなどのような侵襲性の少ない方法で気道内から痰や異物・血液などを出すことができない場合に実施します。
- 体位ドレナージ
- 重力を利用して効率よく痰を排出させる方法。痰が貯留している部位を上部に持っていく体位を保持して、痰を排出しやすいように移動させる。
子どもにとって吸引は、吸引チューブの挿入の際の違和感や吸引時の音の大きさなど、恐怖と苦痛を伴う処置であるといえます。
そのため、吸引を嫌がって手で払いのけたり、顔を横に振ったり、手足をばたつかせて動いたりすることがあります。そのような場合に無理やり吸引を実施することは大変危険で、効果も期待できません。
事前に子どもの理解力に応じた説明を行い、心理的準備(プレパレーション)が行えるように援助します。また、安全に配慮するための最小限の抑制が必要となる場合もあります。
3⃣子どもの吸引の留意点
子どもの吸引では、子どもの身体的特徴に合わせて吸引に必要な物品を準備します。子どもには1人ひとりの成長過程に伴う体格の違いがあり、当然、呼吸機能や気管の太さや長さにも個人差があります。
吸引チューブの種類には様々な太さや柔らかさがあります。
吸引チューブが太すぎると粘膜を傷つけてしまい、吸引チューブが細すぎると吸引物が詰まりやすくなることもあります。したがって、1人ひとりの状態に適した吸引チューブを医師の指示に従って使用します。
子どもは成人に比べて呼吸機能が未熟です。そのため吸引による呼吸の影響を受けやすく、さらに、子どもの気道の粘膜は柔らかくて傷つきやすいため、通常、吸引圧は成人よりも低く設定します。
吸引後の呼吸状態の変動や出血を起こさないためにも、医師の指示による吸引圧・吸引時間を厳守するよう留意します。
吸引前に子どもと、苦しくなった時は「手を握る」「手をあげる」などの合図を決めておくことが大切です。
子どもが幼く、説明が十分に理解できずに吸引にあたって処置に協力が得られない場合には、半座位や抱っこなどで、頭部・顔等を固定し、泣いている時や体動が激しい時は落ち着くのを待ちます。
そして、必要物品をもれなく準備し、安全に手短に実施できるように心掛けます。
口腔内・鼻腔内の吸引では、吸引チューブの接続部位を指で押さえ吸引圧が加わらないようにし、口腔または鼻腔より挿入します。
- 鼻腔より吸引する際は、顔に対して垂直に咽頭の手前(口角~耳たぶまでの長さ)まで挿入します。
- 口腔より吸引する際は、口蓋垂を刺激しないよう注意して挿入します。(口蓋垂:口を大きく開けた際に、口腔内の後方中央部から垂れさがる円錐状の突起のこと。)吸引圧を加えゆっくりと回しながら、長くても10~15秒以内で引き上げるように実施します。痰や分泌物が取り切れていなくても長時間継続しないように、呼吸の間隔を置いて実施します。
- 気管カニューレ内部の吸引では、挿入されている気管カニューレの種類や固定方法がそれぞれ異なるので、主治医の指示を看護職と共に確認したうえで実施する必要があります。口腔内・鼻腔内の吸引と異なる点は、吸引圧を掛けながら指示された吸引チューブの長さまで気管内に挿入することです。吸引による刺激や子どもの体動によって気管カニューレの固定がずれたり、気管カニューレが抜けてしまう危険もあり十分な注意が必要です。子どもの気管カニューレ内部の吸引では、吸引チューブをゆっくり回転させながら5~10秒以内で引き上げるようにします。
いずれの吸引方法も、実施後呼吸状態を確認するとともに、子どもの頑張りを褒めてあげることが大切です。
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