こんにちは。介護ラボのkanaです。『認知症ケア・環境作り』を4回に分けてまとめていきます。今回は最終日の4回目になります。
環境作りの6つのポイント とは
環境作りの6つのポイント
1⃣「私」が暮らせる環境
認知症の人はとても繊細で敏感で、そしてある意味でとても正直です。私たち自身が「このような環境では過ごしたくないし過ごせない」と思うような環境は、当然、認知症の人も同様に感じます。その結果が様々なBPSDとして表れます。
どのようにあればよいのかを考えることは難しいですが、私だったらどのような環境が嫌なのか、と考えると考えやすいのかもしれません。
1人称から考える環境作り、つまり「私」は暮らせないと思うような環境作りはしないということから始めるのがいいのかもしれません。
2⃣家庭的で親しみやすい環境
私たちが暮らしたいと思う環境とはどのようなものでしょうか。落ち着きのある家庭的な環境、毎日過ごしていても飽きの来ない環境、私たちが暮らしている家にそのヒントがあります。
特別な場所である必要はありません。その人がその人らしく暮らすことが出来るように、その人にとって必要な物や家具、その人なりのしつらえによって支えられる環境です。
もちろん、その具体的な形は1人ひとり違います。しかし、共通するのは、その人にとっての日常がそこにあることです。
1人ひとりの人生、生活歴、そして日常を包み込むような環境作りが求められます。
3⃣わかりやすい環境
認知症の人にとって「わかりやすい環境」であることは重要です。しかし、「わかりやすい環境」と「単純で単調な環境」とは異なります。
見通しのきく長い直線の廊下、見渡しのきく大きな食堂、何も物がない「すっきり」した空間。これまで作られてきた多くの介護施設が持っていた環境です。
確かにある意味では「わかりやすい環境」ですが、認知症の人にとっては、それまで過ごしてきた生活に繋がる手掛かりがない、非日常的で「わかりにくい」環境です。
「わかりやすい環境」とは日常がある環境です。本来あるべきところに部屋や物、空間のしつらえがなければ認知症の人は当然混乱しますし、あるべき雰囲気をその空間が持っていなければその空間は認識されません。
逆にその空間があるべき姿を持ち、またふさわしい雰囲気を備えていれば、それを「きっかけ」にして生活が展開されます。
自ら積極的に環境に働きかけることが困難になる認知症だからこそ、生活の中で様々な行為・行動を促し、誘発するような「きっかけ」が、空間やしつらえに求められます。
4⃣五感に訴えかける環境
きっかけの1つとなるのが「五感」です。人は五感で楽しみ、五感を頼りに生活を起こります。これは認知症の人も同様です。
むしろ、認知症になると記憶を頼りにした生活や行動が困難になりますから、より一層五感への働きかけが重要になります。
五感が記憶に訴えかけることもあれば、生活を導くこともあります。
認知症の人の五感に対して、積極的にはたらきかける環境作りをすることで、意外と大きな効果を生み出す可能性もあります。
- 五感とは?
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人が持つ5つの感覚機能のこと。視覚(目からの情報・刺激)、聴覚(耳からの情報・刺激)、触覚(皮膚からの情報・刺激)、味覚(舌からの情報・刺激)、嗅覚(鼻からの情報・刺激)を指す。
これまでの施設では、なるべく刺激を少なくするような環境作りや介護をしてきました。しかし、屋外を眺めたり接したりする中で、温度、湿度、風、色や匂いから季節を感じることが出来ます。
また、生活の中でぬくもりのたる素材に触れ、食事作りをはじめとする日常生活の音、においや光景を五感で感じることで感情が揺さぶられ、行動を促すことにも繋がります。
特別な事ではない、極めて日常的な事を、より意識的に、積極的に生活環境の中に取り入れていく事が求められます。
5⃣自立心・自尊心・個性を高める環境
認知症になっても、自立心や自尊心、そして個性は残ります。それらを奪い取るような環境作りは避けなければなりません。
とくに認知症の人にとっては、「馴染み」のある使い慣れたものや、思い出のものに囲まれて生活をしていることが記憶に訴えかけ、大きな安心感を与えます。
それをきっかけに生活行動や豊かに展開していきます。物はその人にとって個性の表出の1つです。
自ら部屋のしつらえや、飾り付けなどをすることが困難な場合も多いですが、そのような場合には、その人のことを知る家族や介護福祉職による環境作りが重要になります。
また、認知症の人も私達とおなじように1人になれる空間や数人でいられる空間、1人でいながらも他人の気配が感じられるような空間など、様々な場所を求めています。
ずっと1人でいることは寂しいですし、常に大勢の人と過ごしていることも疲れます。
自分に合った生活の形やリズムが実現できるような選択性のある環境作りや、1人ひとりの個性を失わせない中で生活を送ることが出来るような環境作りが必要です。
人としての尊厳が守られ、1人ひとりの自分らしくいられる環境作りが求めらえます。
他の『自尊心』記事はこちらから・・・
【老化と動機付け】マズローの欲求階層理論と達成動機について vol.355
6⃣生活のための環境
これまでつくられてきた施設の生活環境は、日常の生活スケールからはかけ離れた大きさの空間(長い廊下や大きな食堂など)で構成されてきました。
空間が大きければ、1つひとつの生活行動における動きが大きくなりますし、移動に時間が掛かります。
結果として、移動介助等に多くの時間が割かれるなど、介護の内容にまで影響を及ぼすことになります。また、大きな空間では1人ひとりの顔は見えにくくなり、その結果として「終端的な介護」にならざるを得なくなります。
介護福祉職との物理的・心理的な距離も遠くなり、認知症の人にとって大切な安心感や包容感が奪われてしまいます。
以上のように考えると、小さな空間の中で個別ケアを目指す「グループホーム」や「ユニット型施設」は、認知症の人にとっては理にかなった形といえます。
求められるのは「介護」のための空間ではなく、あくまでも普通に生活するための環境です。
人が普通に生活するための場所として環境作りを行うこと、そのうえで細やかな配慮と温かみのある環境作りをすることこそが何よりも大切な事です。
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