こんにちは。介護ラボのkanaです。今回は『認知症ケア・環境作り』について、前回から4回に分けてまとめていきます(^▽^)/
「3つの苦難と5つの落差」について
物理的な環境の重要性
次項の、「認知症の人へのケアの原則・20か条」は、『室伏君士博士』が1984年に「痴呆老人の理解とケア」(今剛出版)の著書の中でを提唱しました。
1⃣認知症の人へのケアの原則・20か条
上記の20か条を見ると、その人を取り巻く物理的な環境が非常に重要であることに気が付きます。
見方を変えれば、どれほど介護を充実させても、その物理的な環境が整っていなければ十分な対応が出来ないということを意味しています。
- 「急激な変化を避ける」
- 「安心の場(状況)を与える」
- 「生活的に扱う」
- 「適切な刺激を少しずつでも絶えず与える」
などは、物理的な環境の側からも積極的にアプローチ出来る内容です。
「理屈による説得よりも共感的な納得を図る」も物理的な環境作りを考える上でのヒントを与えています。
それまで暮らしていた環境と大きく異なる施設に移った認知症の人によく見られるBPSDとして、「帰宅願望」があります。
- 帰宅願望とは?
-
願望を抱くだけではBPSDではありませんが、大声を出す、立ち尽くす、抜け出す等の異常な行動を伴えばBPSDになります。
「私の家ではない」「自分の家に帰りたい」と発する人は少なくありません。その場から「自分の家」ではない、ということを感じ取っているのです。
それは、そこにいる人、そこに流れる時間、そこにある空気や雰囲気がそのように感じさせるのだと思いますが、当然そこにある空間である環境もその一因になっている可能性があります。
「ここが今日から〇さんのお家ですよ」と理屈で説得しても、その人が感覚的に「家」だと思えるような環境や状況、安心して居ることが出来る雰囲気が無ければ「家」になりえません。
認知症ケアの中での物理的な側面からの環境作りは、身体的介護と同様に大切なケアの一要素であるという意識を持ち、適切な環境作りに努めなければなりません。
2⃣3つの苦難と5つの落差
施設入所の様相を適切に捉えたものとして「3つの苦難と5つの落差」という考え方があります。
これは、馴染みのない施設という場への入所が、その人に「3つの苦難」を与えるというものです。
- 第1の苦難→「施設に入る原因その物による苦しみ」:心身機能の喪失、配偶者の喪失など、施設入所の要因には多くの場合、何らかの『喪失』が伴っています。
- 第2の苦難→「自らコントロールしてきた居住環境システムの喪失」:長く暮らしていた自宅や地域を離れるということは、自分の生活環境をコントロールすることが出来るトータルなシステムでありその人にとって人生の『財産』を失ってしまうことです。
- 第3の苦難→「施設の中で大きな『落差』」:環境的圧力に直面し、さらに苦しむ
ということです。
その際の『5つの落差』は、
- 「空間」:施設の空間・生活環境
- 「時間」:施設に流れる時間
- 「規則」:施設特有の規則
- 「言葉」:施設で使われる言葉
- 「役割の喪失」:最大の落差である役割の喪失
です。
単に介護を受けるだけでは得ることが出来ない「主体として生きる時間」と、その人が家庭や地域で担ってきた「役割」を最も大切なこととして位置づけています。
言い換えれば、その人の存在をしっかりと認めて尊重することといえるでしょう。
この「3つの苦難」と「5つの落差」が、1人ひとりの生きる意欲を奪い、生命力をしぼませてしまうとして、施設における環境作りの重要性を訴えています。
人の立ち振る舞いは、その人が置かれている環境に左右されます。
環境作りは、認知症ケアにおいて必要な一要素でしかありませんが、認知症の人の環境への適応を考えるうえにおいては不可欠な要素であり、認知症ケアの基盤となるものです。
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