こんにちは 介護ラボのkanaです。今日は「医療的ケア」の中から『高齢者及び障害児・者の喀痰吸引概論』について10回にわけて(呼吸のしくみから吸引についての理解、利用する家族の気持ち…など)書いていきます。今日は5回目です!!
人工呼吸器のしくみ
Contents
1.人工呼吸器と吸引
1⃣人工呼吸器が必要な状態
2⃣人工呼吸器のしくみ
1.人工呼吸器と吸引
1⃣人工呼吸器が必要な状態
呼吸器官の働きは、体内への空気の取り込みと吐き出しをする「換気」と、肺と血管との間で酸素や二酸化炭素の受け渡しをする「ガス交換」があります。
何らかの理由で換気が十分にできなくなった状態の人に対して、人工的に換気を補助するために「人工呼吸器」を装着します。
人工呼吸器による呼吸の補助では、全面的に呼吸の働きを助ける場合と、本人の呼吸に合わせて一部分を補助する場合があります。
人によって人工呼吸器を装着する時間が決められており、24時間装着している人もいれば、夜間のみに装着している人もいます。24時間装着している人の状態では、喀痰吸引のために人工呼吸器を外せる時間が非常に短くなります。
つまり、喀痰吸引は非常に短い時間で確実に行うことが必要になります。
長期間人工呼吸器を装着する場合には、手術により気管に穴をあけて「気管カニューレ」を挿入し、人工呼吸器を装着します。
人工呼吸器は、急激な呼吸状態の悪化によって緊急で装着する場合と、療養経過が比較的緩やかで時期を見て装着する場合があります。
いずれの場合でも、利用者は人工呼吸器を装着することの意思を決定するにあたって、その後のからだのことや人工呼吸器の装着に伴う様々な問題に対して、多くの不安や葛藤などを抱えています。
2⃣人工呼吸器のしくみ
人工呼吸器とは、圧力をかけて酸素を肺に送り込む医療機器です。人工呼吸器を装着して呼吸の維持・改善をする治療を「人工呼吸療法」といいます。
人工呼吸療法には、
- 気管に空気を出入りさせる穴(気管切開)を開け、気管カニューレ(チューブ)を挿入し、そこからホース(蛇管という)を通して空気を送り込む「侵襲的な人工呼吸療法」
- 口・鼻または鼻のみをマスクでおおい、そのマスクを通して空気を送り込む「非侵襲的な人工呼吸療法」
があります。
人工呼吸器は、人工呼吸器本体と蛇管や加温加湿器などの付属品を接続して使用しています。
人工呼吸器本体は利用者それぞれの呼吸状態に応じて換気回数や量などが設定され(設定の変更は医師が行う)、室内の空気をいったん本体に吸い込み、フィルターを通して体内に送り込みます。
人工呼吸器の電源には、通常、居宅の場合は家庭用電源が用いられます。また停電時に備えた電源の確保・バッテリーなどが必要です。
人工呼吸器から送り出される空気は、蛇管を通して運ばれます。
蛇管はいくつかのホース上の管のほかに、
- 空気を一定方向に流すための弁
- 感染を予防するためのフィルター
- 空気を一定の温度・湿度に保つための加湿器
- ホース内に溜まる水滴を集めて廃棄するための部品(ウォータートラップという)
を接続して使用します。
利用者の気管切開部、または非侵襲的な人工呼吸療法で使用する口鼻マスク、及び鼻マスクはコネクターでこの回路と繋げます。
また人工呼吸器の本体には、空気の送り込みが設定どおりに作動していない場合に鳴るアラームが付いています。
多くの付属品を接続して使用する回路は、接続が緩んだり、ねじれたり、破損したりすることによって容易に空気が漏れてしまいます。また、加温や加湿、呼吸の状況によって、回路内に水が溜まってしまうので適切にその水を捨てなければなりません。
人工呼吸器には多くの機種があり、それぞれの特徴や取り扱い方法が異なります。
小型の人工呼吸器などもあり、全身の状態が安定している場合には、人工呼吸器を装着したまま外出することが可能な場合もあり、病院内で使用する機種と、居宅において使用する機種が異なることもあります。
以上の通り、人工呼吸器は適切に作動しなければ利用者の身体に悪影響を及ぼすのみならず、生命への危険を生じかねません。
そのため、医師や看護職、医療機器提供会社による定期的な点検・整備によって、故障やトラブルを未然に防ぐように管理します。
十分に点検・整備を行っても、予期せずに故障する場合があるので、予備などの備えを確保しておくことが必要です。
また、回路などの付属品についても、細菌などが付着してそれを吸い込むことになると、感染の原因になりますので、消毒や定期的な交換などにより常に清潔に保つとともに、破損や不具合が無いかどうか、医師や看護職により確実に管理される必要があります。
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