こんにちは 介護ラボ・kanalogのカナです。
前回【発達段階と発達課題】ピアジェ、エリクソン、ハヴィガーストの発達段階 vol.77 で書きましたが・・・今回はピアジェの発達段階を細かくまとめました。
【ピアジェ】認知発達理論、誕生から青年期までの認知機能の発達について
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ピアジェの認知発達理論
知的機能を支える認知機能の発達についてピアジェが乳幼児期から児童期までの認知発達についての理論を初めて提唱し、現在でも大きな影響を与えています。
ピアジェは下記の4つの発達段階を示しています。
- ✅ピアジェによる発達段階
- 感覚運動期(0~2歳)
⇓
全操作期(2~6歳)
⇓
具体的操作期(6~12歳)
⇓
形式的操作期(12歳から)
1⃣感覚運動期(0~2歳)
生まれたばかりの子どもは、原始反射によって、外界からの刺激に一定の反応をします。
原始反射は遺伝的に決められた自動的な反応ですが、その繰り返しによって、徐々に自分の感覚に基づき特定の対象への働きかけ(運動)が出来るようになっていきます。
感覚運動期は6つの段階に分けられています。
❶第1段階(生後1か月くらいまで)
反射による一定の刺激に対する反応を繰り返すうちに、行為の枠組みである「シェマ」を形成すると考えます。
そのシェマを使うと、類似の他の対象にも同じ行動を取ることが出来るようになり(同化)、行動の範囲が広がっていきます。
❷第2段階(1~4か月)
手を開いたり、足を閉じたりするような自己の身体に限った感覚による運動の繰り返しがみられるようになります(第1次循環反応)。
❸第3段階(4~8か月)
「布団を引っ張る」
「音の出るおもちゃを鳴らす」
など「もの」が、繰り返し行動の中に取り入られます(第2次循環反応)。
しかし、この段階では対象となるものを隠して、眼前から見えなくしてしまうと探索しようとしません。
この段階では、対象物が見えなくなるとそこには存在しないととらえているということであり、見えなくてもそこに対象物が存在するという「対象の永続性」が理解できていない時期と考えられています。
❹第4段階(8~12か月)
2つのシェマを組み合わせた運動が可能になります(協応という)。
例えば、音のする方向を見て、
「そのおもちゃをつかむ」
「欲しいものを指さして声を出す」
などの組み合わせの行動が始まります。
また、運動の対象となるものが眼前から無くなると探索するようになります。
この時期に対象の「永続性」が理解され始め、その場限りの行動から、記憶や思考が芽生えてきているといえます。
❺第5段階(12~18か月)
外界に対して、能動的に働きかけをして試すという試行錯誤による行動がみられるようになります(第3次循環反応)。
例えば、おもちゃの持ち方や振り方を自分で変えて、結果を見るというような行動がみられるようになります。
この段階で、視覚と手の運動の協応動作が成立します
❻第6段階(18~24段階)
目の前に居ない人の動作の真似事をするなど、眼前に対象となる人が居なくても、以前見たことや動作したことを思い出して真似をするよいうようなことがみられるようになります(延滞模倣)。
また、手の届かないところにあるものを、試行錯誤するのではなく、考えて、台や棒を使って取るような行動がみられるようになります。
この時期になると記憶や思考を使って、外界への働きかけが出来るようになっていき、次の段階へ移行していきます。
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2⃣前操作期(2~6歳)
ピアジェの理論では、幼児期は前操作期と位置付けられています。
論理的思考が出来るようになっていく前の移行期であり、この段階に特徴的な思考や行動がみられます。
(1)自己中心性
2歳頃には、記憶や思考を使って外界を認識して、理解や働きかけが出来るようになっていきますが、まだ実際に見えている様子に目が向きやすい傾向がみられます。
そのため自分自身の視点を中心に外界を理解していることで、他者の視点に立って考えることは難しい傾向があります。ピアジェは、前操作期の自己中心性を明らかにするために、
「三つの山問題」
という課題を用いました。
三つの山問題とは?
4~6歳くらいの幼児に立体的な3つの山の模型を見せます。
その模型を色々な方向から見せ、見え方を聞くと、前操作期の幼児は、自分の方向からの見え方と他の方向からの見え方を区別できず、他方向からの見え方も自分の見え方と同じだと答えてしまうこと。
※自己中心性とは自己中心ということでなく、認知の形式をあらわした言葉である。
またこの時期の子どもは、
「ろうそくの炎が動く」
「水が流れる」
ことに対して、生命があるという内容のことを言います。
このような無生物の対象も生命があり、自分と同じように意思や感情があるかのように認識する傾向をアニミズムと言います。これも自身の心理的世界の実在を他の対象にもあるものと考える自己中心性の反映だと考えられています。
(2)量や数の保存の欠如
幼児の目の前で、同じコップのAとBの中に、水を同じ高さに入れ確認させます。次にBの水を、背の高い別の容器Cに移して、AとCの水の量を比較させます。
するとこの時期の幼児は、Cの方が背が高いので量が増えたと答えてしまいます。
これは「量の保存」の概念が分からず、見た目に影響を受けてしまうということだと考えられています。
また、同じ数のおはじきを上下(黒と白)に並べ、その後、下(白)のおはじきだけ間隔を広げて置き直し、黒と白のおはじきのどちらが多いか聞くと、感覚を広げたおはじき(白)の方が数が増えたと答えます。
これは「数の保存」についても見た目に影響を受けたことだと考えられます。
この時期には、見た目による判断を優先させてしまう傾向があり、量や数が保存されているという記憶による判断が難しいのです。
(3)象徴を使った遊び
感覚運動期の第6段階から、前操作期にかけて、積み木を電車や自動車に見立てて遊んだりする様子が見られます(ふり遊び)。また、ままごとやヒーローの真似など、役割やストーリーを作る遊び(ごっこ遊び)も見られるようになります。
このような遊びは、眼前に存在する者の属性だけではなく、物や出来事の特徴的な象徴(サイン)を使うことが出来るようになったことを示しており、「象徴遊び」と言われています。
3⃣具体的操作期(6~12歳頃)
具体的操作期は学童期にあたります。
この時期になると前操作期にみられた自己中心性が解消していき、他者の視点を理解することが可能になります。また量や数の保存が理解できるようになります。
目の前に現実に存在する者の量を理解できるだけでなく、正の整数の計算問題といった数の概念の理解が出来るようになります。
小学校高学年になると、学校での教育内容でも算数で少数や分数を取り扱い、理科では目に見えない電磁気のはたらきを扱ったたりするようになります。こうした抽象的な事象の理解については、発達の個人差もあり、急に難しいと感じる児童も出てきて、この現象は「9歳の壁」と呼ばれています。
4⃣形式的操作期(12歳以降)
中学生頃になると、現実的な事物を離れて、大人と同じように抽象的な思考が可能になります。
それにより、論理的思考や目に見えない世界の理論について思考することが可能になります。
中学の数学では、負の数値の計算、方程式、関数などの抽象的な理解を前提とした内容が取り扱われるようになります。
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