こんにちは💛 介護ラボ・カナログのkanaです。今日は「高齢者に多い疾患・症状と生活上の留意点」の中から『内分泌・代謝系』について、3つの疾患を3回に分けて書いていきます。
高血糖・低血糖症状について
Contents
1.糖尿病とは?
1⃣概要
2⃣糖尿病の原因
3⃣糖尿病の症状
(1)高血糖症状
(2)低血糖症状
(3)糖尿病の3大合併症
4⃣糖尿病の治療方法
5⃣糖尿病の予防
6⃣糖尿病の診断基準
7⃣まとめ
1.糖尿病とは?
これから内分泌・代謝系の中でも高齢者に多い疾患として「糖尿病」「脂質異常症」「通風」の3つについてまとめていきます。今日はその中から「糖尿病」について・・・
「平成28年国民健康・栄養調査」の結果、糖尿病が強く疑われる人(糖尿病有病者)は、約1000万人で、平成9年以降増加の一途をたどっています。一方、糖尿病の可能性が否定できない人(糖尿病予備軍)も約1000万人で、平成9年以降増加していましたが、平成19年以降は減少しています。
1⃣概要
糖尿病とは、インスリンというホルモンの不足や作用低下が原因で、高血糖が慢性的に続く疾患です。糖尿病にはⅠ型とⅡ型があります。
●Ⅰ型糖尿病[全体の5%ほど]:(インスリン依存型)免疫疾患などが原因でインスリン分泌細胞が破壊されてしまうため、インスリンの自己注射が必要になります。
●Ⅱ型糖尿病[全体の95%ほど]:(インスリン非依存型)遺伝的要因や過食や運動不足などの生活習慣が重なって発症に、加齢に伴い発症率も増加します。
※今回はⅡ型糖尿病について下記にまとめていきます。
- インスリンとは?
-
膵臓のランゲルハンス島β細胞から分泌されるホルモンで、血糖値を下げる働きがある。
糖尿病は、生活習慣と社会環境の変化に伴い急速に増加した疾患で、自己管理が出来ず放置していると重大な合併症を引き起こし、末期には「失明」や「透析治療」が必要になり日常生活に支障をきたすことから、糖尿病の3大合併症である、
- 糖尿病性網膜症
- 糖尿病性腎症
- 糖尿病性神経障害
が、介護保険の特定16疾病に認定されています。
他の『内部障害』記事はこちらから・・・
【②内部障害】腎臓機能障害、小腸・直腸・膀胱障害、HIVについて vol.160
【③内部障害】肝臓機能障害、内部障害の在宅療法と医療機器 vol.161
2⃣糖尿病の原因
糖尿病発症(Ⅱ型)の危険因子には、
・加齢
・家族歴
・肥満
・運動不足
・バランスの悪い食事
などがあげられます。「高血圧症」と「脂質異常症」も危険因子で、高血圧症と脂質異常症に罹患している人は、糖尿病を発症する確率も増加します。
3⃣糖尿病の症状
糖尿病は、インスリンの作用不足により、「糖」「脂質」「たんぱく質」を含むほとんどすべての代謝系に異常をきたします。しかし、代謝異常が軽度の場合は無症状のまま進行し、長時間放置され、健康診断などで指摘されて発見される場合が多いです。
(1)高血糖症状
血糖値が高くなっていても、初期段階では自覚症状は殆どありません。血糖値が上昇すると、血液の浸透圧が高くなり、細胞内から水分が引き出され多尿になることから、口渇や多飲が出現し、疲れやすく食事摂取量は変わらないのに体重が減少するなどの症状が現れます。
(2)低血糖症状
低血糖は、糖尿病で薬物療法を受けている人に高い頻度で見られます。人の身体は、血液中の血糖値が70㎎/㎗以下になると血糖値をあげようとし、50㎎/㎗未満になると脳などの中枢神経が糖不足となり低血糖出現します。
低血糖症状とは
【低血糖症状】
●血糖値70㎎/㎗以下
・汗をかく
・不安感
・脈が速くなる
・手の震え
・顔が青白くなる
●血糖値50㎎/㎗以下
・集中力の低下
・生あくび
・目がかすむ
●血糖値30㎎/㎗以下
・けいれん
・昏睡
低血糖になる原因として、
- 食事摂取量や炭水化物不足
- 薬剤使用後の食事時間の遅れ
- 運動量・運動時間
- 空腹での運動
- インスリン注射や飲み物の量が多い
- 飲酒や入浴の影響
などがあります。
低血糖時の対応として、意識消失時は糖分を口から摂取することが困難なため、ブドウ糖や砂糖を水で溶かし、口唇と歯肉の間にすり込み救急車を呼びます。病院では、血糖値を上昇させるホルモンである「グルカゴン」の注射を行う場合もあります。
また、低血糖時はその原因を探っておくことが今後の低血糖を防ぐうえで大切になります。低血糖を予防するために、食事や薬剤の量を主治医と相談することも必要です。
そして、空腹時の運動は控え、長時間運動を続ける場合や、負かの多い運動の前や途中に血糖値自己測定を行います。薬剤を使用している場合は、必要に応じて補食を取ります。
(3)糖尿病の3大合併症
糖尿病は進行すると、
●糖尿病性網膜症
●糖尿病性腎症
●糖尿病性神経障害
などの3大合併症を引き起こし、「脳血管疾患」「虚血性心疾患」などの心血管疾患の発症を促進します。
糖尿病性腎症は、血液透析導入原因の第1位で、増加傾向は続いており、糖尿病性網膜症は視覚障害者の中で失明の原因の上位にあげられています。
- 糖尿病性網膜症・糖尿病性腎症・糖尿病性神経障害とは?
-
●糖尿病性網膜症は、眼底出血を生じる視力障害で失明の危険性がある疾患。●糖尿病性腎症は、腎機能が低下してたんぱく尿が出現し、悪化すると尿中に排泄される尿毒素が体内に溜まり、「尿毒症」や「腎不全」を引き起こし人工透析が必要となる。●糖尿病性神経障害とは、つま先のしびれやピリピリ感から始まり、足全体や手にひろがる左右対称の知覚神経障害。しびれ、疼痛が強くなり温痛覚、触覚も鈍くなる。
4⃣糖尿病の治療
糖尿病治療の基本は、食事療法、運動療法、薬物療法として経口薬物やインスリン注射を行います。
食事療法では、1日3回規則正しく適切なエネルギー量とバランスのとれた食事を摂ることが大切です。とくに「炭水化物」「たんぱく質」「脂質」をバランスよく摂取するために食品交換表を活用します。
※食品交換表⇒正式には糖尿病食事療法のための食品交換表といい、食品に含まれている栄養素ごとに6つのグループに分けられている。1単位(80kcal)に含まれている栄養素から同じ単位数の食品を交換して摂取するのに活用できる。
運動療法では、空腹時を避け、ウォーキングやサイクリングなどの有酸素運動を毎日続けて行うことで、インスリン抵抗性などの改善が期待できます。食後30~1時間くらいに運動をするのが最も効果的と言われています。
糖尿病を発症しても、
- 血糖値
- HbAlc
- 血圧
- 血中脂質
- 肥満
等の指標が正常に近づく努力をすることで、合併症発症の危険を減らすことが出来ます。糖尿病の人の中で病院を受診している人は約半数に留まっており、糖尿病と診断されても継続的に治療を受けていない人が多いのが課題となります。
5⃣糖尿病の予防
糖尿病は発症すると完治しないため、発症前の予防が重要で、生活習慣を改善し、糖尿病を発症する前に防ぐことが大切です。そのために、生活習慣を見直し、標準体重の維持や身体的活動量の増加、正しい食生活を習慣づけるようにします。
6⃣糖尿病の診断基準
糖尿病は、早朝の空腹時血糖値や糖負荷試験2時間値、随時血糖値とHbAlc値によって診断されます。診断基準は日本糖尿病学会が示しています。
7⃣まとめ
糖尿病は、インスリンの分泌不足、あるいは作用が十分に発揮されないため慢性的に高血糖状態が持続することを主徴とする疾患です。主な症状として、口渇、多飲、夜頻尿、倦怠感、体重減少などがありますが、初期には自覚症状がないことが多いです。
Ⅱ型糖尿病は生活習慣病と言われることもあり、インスリンの分泌低下や作用不足が原因で発症し、糖尿病の大部分(95%位)がこのタイプになります。傾向として、
- 中年以降の発症が多い
- 一般的に進行は遅い
- 肥満を伴うことが多い
- 自己免疫異常なし
- インスリン注射は必要としない
ことが多いです。糖尿病は発症すると完治しないため、発症前の予防が重要となります。生活習慣の改善、標準体重の維持や身体活動量の増加を心掛け、糖尿病を発症しないようにすることが大切となります。
他の『糖尿病』記事はこちらから・・・
【糖尿病の特徴と治療】生活上の問題点と福祉住環境整備 vol.131
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