認知症の理解

【①認知症の中核症状とは?】記憶障害・見当識障害・遂行機能障害について vol.211

こんにちは 介護ラボ・カナログのカナです。今日は認知症の「中核症状」について、今日から3回にわけて書いていきます。

加齢による健忘とアルツハイマー型認知症による健忘の違い

Contents

1.中核症状とは?
 1⃣記憶障害
 2⃣加齢による健忘とアルツハイマー型認知症による健忘の違い
 3⃣見当識障害
 4⃣遂行機能障害

1.中核症状とは?

中核症状は認知障害で、欧米では認知症状や認知欠損と言われています。中核症状とBPSD(認知症の行動・心理症状)は明確に分けられるものではありません。例えば異食は食行動の異常でBPSDですが、食べ物と誤認しなのなら「失認」という中核症状になり、手に触れたものを何でも口に入れてしまうのなら「口唇傾向」という中核症状になります。このように、ある症状を認知障害の視点で見れば中核症状、行動障害の視点で見ればBPSDとなります。
他にもレビー小体型認知症のリアルな幻視、血管性認知症のうつやアパシーなども、中核症状であると同時にBPSDです。

1⃣記憶障害

記憶は、❶言語で表すことが出来るエピソード記憶(過去の出来事に関する記憶)と、意味記憶(名称や日付などの知識)、❷言葉で表せない手続き記憶(自転車の乗り方等体で覚えた記憶)と、プライミング(無意識にすり込まれた記憶)に分けられます。

エピソード記憶は、記憶している時間により、「即時記憶」「近時記憶」「遠隔記憶」に分けられます。短期記憶と長期記憶という分類もありますが、その場合の短期記憶は1分以内の記憶です。よって10分前のことを覚えていないのは短期記憶障害ではなく長期記憶障害です(近時記憶障害でもあります)。少し前のことを覚えていない症状は、近時記憶障害という用語が適切です。

今から100年以上前にリボー・Ribot,T.A.という研究者が、記憶の方向を示しました。記憶は近いものが先に失われ、遠いものほど記憶に残っているという法則です。アルツハイマー型認知症を発症すると、新たな出来事を覚えること(記銘)が難しくなりますが、発症前に記憶した昔のことは記憶に残っているので(保持)、思い出す事(想起)が出来ます。

仮にエピソード記憶が繋がらないとどんなことが起こるのか想像してみます。あなたは10分前の記憶がありません。前日の記憶もありません。すると、
・自分は今まで何をしていたのだろう
・どうしてここにいるのだろう
・これからどうすればよいのだろう
など、きっと不安に包まれます。このように記憶障害は単に物忘れをするということに留まらず、時間や場所の見当識低下や病識低下、出来事の顛末が分からないので適切な判断ができないことなど、様々な生活障害を引き起こします。さらに、繰り返しの質問やしまい忘れに起因する「物盗られ妄想」などのBPSDを引き起こします。

2⃣加齢による健忘とアルツハイマー型認知症による健忘の違い

エピソード記憶
加齢による健忘(良性健忘)
部分的忘れる(おかずの種類を忘れる)
・大切でないことを忘れる
・その日のエピソードを振り返ることが出来る
認知症による健忘(悪性健忘)
全体を忘れる(おかずの種類を忘れる)
・大切なことを忘れる
・数分でエピソードを忘れる

ニュース(報道)・再認
加齢による健忘(良性健忘)
大きな事件、イベントなどの具体的な概要を覚えている
・出来る(伝言の伝え忘れを指摘されたとたん思い出す)
認知症による健忘(悪性健忘)
他人事なのですぐに忘れる
・出来ない(伝言の伝え忘れを指摘されると「そんな話は聞いていない」と怒る)

再生(思い出す事)・健忘の自覚
加齢による健忘(良性健忘)
・とっさに思い出せなくても記憶には残っており、後で思い出せる
・健忘の自覚をしている
認知症による健忘(悪性健忘
・記憶に残っていないのでずっと思い出せない
・健忘の自覚が乏しい

3⃣見当識障害

見当識とは、自分の置かれた状況が分かることを言います。大きく分けて、
❶時間
❷場所
❸人物の見当識
に分けられ、アルツハイマー型認知症では進行に伴ってこの順番に障害されていきます。「今日は、何日の何曜日かわかるかどうかが❶の見当識、今自分のいる場所や建物が分かることが❷の見当識、目の前の人物が誰で、自分とどのような関係かわかるのが❸の見当識です」。

アルツハイマー型認知症では、エピソードが繋がらなくなること(記憶障害)で時間軸(時間の繋がり)が崩壊していきます。また進行すると自分の年齢を実際よりも若く答えるようになり、自分の娘を「妹や姉」などと答えることがありますが、これも見当識障害になります。

エピソード記憶の障害は加齢でも見られますが、「見当識障害」が現れたら認知症を疑います。

4⃣遂行機能障害

遂行機能とは、作業の段取りを考え効率葉く作業をこなす能力のことです。わかりやすい例は夕食の準備などです。まず、残りの食材をチェックしてそれを活用しながら献立を考え、不足しているものがあれば買い物に行き、ご飯とみそ汁とおかずが同時に仕上がるよう並行していくつかの作業を進めます。この段取りが上手くできなくなるのが「遂行機能障害」です。
同時並行で作業を進めるためには、作業記憶をフルに使う大変な作業です。よってアルツハイマー型認知症になると複雑な工程の料理が難しくなってきます。更に作ろうと思った献立をすぐに忘れてしまい、当初の計画とは異なるおかずが仕上がるといったように、遂行機能障害だけでなく記憶障害も調理に大きく影響します。

遂行機能とは?

遂行機能には、前頭前野(前頭葉前半部)の外側面が中心的役割を担っている。作業の遂行にはワーキングメモリー(作業記憶・短期記憶)を働かせる。

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kana

はじめまして(^-^)/ 介護ラボのカナです。
ブロガー歴3年超(818記事執筆)
介護のあれこれを2020年6月~2022年9/8まで毎日投稿(現在リライト作業中)

社会人経験10➡介護の専門学校➡2021年3月卒業➡2021年4月~回復期のリハビリテーション病院で介護福祉士➡2023年1月~リモートワークに。

好きな言葉は『日日是好日』
「福祉住環境コーディネーター2級」・「介護福祉士」取得
◉福祉住環境コーディネーター1級勉強中!
介護のことを少しでも分かり易く書いていきたいと思っています。
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